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zoom RSS 日銀の「外債購入論」

<<   作成日時 : 2016/10/02 12:33   >>

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日銀の外債購入については、浜田宏一内閣官房参与が少し前に言及していますが(※2)、金融緩和の選択肢としては、当然あり得る手法です(※1)。

しかしながら、上手くアナウンスしながら実施しないと、為替介入だと解釈される可能性がゼロではありません。円売り米ドル債買いですと、効果としては、円売りなので為替は円安方向、米ドル債買いなので米国金利は下落方向になりそうですから、日本にとっては好都合、金利を上げようとしている米国にとっては現状やや不都合という政策となります。

現状、日本は経常収支が大きく黒字に戻りましたので、普通に考えれば流入する米ドルを円転する国内実需が優勢なはずですから、自然と円高方向に振れるものと思います。その実需の円転部分は政府が「為替介入」して円貨を供給する必要があります。

ドルにペッグする必要まではないとしても、1ドル=100〜120円の範囲で為替が落ち着くように、一定の円貨供給は必要だというのが当室の見方です。そうした為替相場安定化の理由から、外債購入もまた節度があれば日銀が実施して構わないと思います。


[以下、引用]
◆(※1)日銀への大きな不満?為替介入を嫌がる財務省、その判断は間違いです
突然「外債購入論」が浮上したワケ

ドクターZ 2016.10.02 現代ビジネスより

そもそも外債購入は可能か?

今年9月に入り、日銀の「外債購入論」が浮上してきている。日銀による現行の金融緩和政策の限界を打破する「秘策」と期待されているというが、実際にはどのような意味を持つのか。

日銀が外債を購入することによって、まず市場へ円資金を供給することができる。加えて、外債を買う過程で円を下落させる効果がある。前者で現行の日銀の金融緩和政策にプラスに働き、後者で財務省が行う「為替介入」と同様の効果もある。

この為替介入であるが、財務省の権限ということになっているため、外債購入は「法律的に難しい」といわれることがある。しかし、あまり報道されていないことであるが、外債購入自体は日銀法上では「可能」ではある。日銀法40条1項では〈日銀は自ら、または国の代理人として、外貨債権の売買ができる〉となっている。

さらに、同条2項では〈為替相場の安定を目的とするものについては国の代理人として行う〉とある。つまり、日銀法上、日銀は自ら外貨債権の売買を行うことは可能だが、為替介入目的の場合は国(財務省)の代理人として行う必要がある。

そもそも為替介入が十分な効果を生むには、財務省と日銀の連携が重要になってくるというのが経済界の「常識」。'04年の急激な円高危機の際に行われた大規模な為替介入が一例だ。

このとき、財務省はドル買いの原資となる証券を発行、日銀がそれを購入する形で進められた。これは、財務省の権限である為替介入と日銀の国債購入という「合わせ技」で、学問的には「非不胎化介入」と呼ばれるものだ。財務省は1日1兆円規模の円売りドル買いの為替介入、日銀は国債買いオペを行った結果、円安と金融緩和の効果をもたらした。

「国益」を損ないかねない

では、いまなぜ外債購入論が急浮上しているかというと、現在の財務省が為替介入にまったくもって消極的であるからだ。

今年6月に英国のEU離脱が決定したとき、ドル円相場は1日で7円(約7%)もの変動があった。過去のデータを見ると、2週間で7%程度の為替変動が20年に一度の出来事。今回は1日で7%だったから、まさに未曽有の事態であった。それでも動かなかった財務省に、日銀は不満を持っている。

もちろん、為替介入にも注意すべき点はある。それは、円安のときも円高のときも、特定の為替水準の維持を意図してはいけないということだ。あくまで急激な変動に対してブレーキをかけるのが為替介入の目的である。

財務省が為替介入に消極的な理由はまったく不透明だが、下手するとこの姿勢は「国益」を損ないかねない。というのも、為替介入はヘッジファンドにとって絶好の「攻め時」となる。日本は小泉政権時代にその攻防をしのぎ切った経験があるが、今の財務省は当時のような対策が取れないように見える。これでは海外からなめられても仕方ない。

以上のことを踏まえると、外債購入論が浮上するのも当然のこと。ただし、今後も財務省が為替介入しないことに固執するなら、「財務省の為替介入権限を日銀に移管する」という過激な議論も出てくる。これには法改正が必要だが、その際には財務省の外為利権のはく奪を目論む政治家が躍起になるだろう。
『週刊現代』2016年10月8日号より



◆(※2)インタビュー:日銀の外債購入も選択肢=浜田内閣官房参与
2016年 08月 30日 19:21 JST
[東京 30日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は30日、日銀による金融緩和強化にもかかわらず、外為市場で円高が進行しているのは、アベノミクス失敗に賭ける投機的な動きとし、政府の市場介入が難しければ、日銀による外債購入も選択肢との見解を示した。

ロイターとのインタビューで述べた。

日銀が1月にマイナス金利政策、7月に上場投資信託(ETF)の買い入れ倍増など追加緩和に踏み切ったものの、為替市場で円高圧力が継続している背景について「投機によって為替市場がゆがめられている」との認識を示した。

本来であればマイナス金利によって、低金利通貨を借りて高金利通貨に投資するキャリートレードで「ドル買いが起こるはずだが、起きなかった」と指摘。

さらに「ヘッジファンドと推察されるが、アベノミクスに正面から戦いを挑んでいると受け止める必要がある」と警告した。そのうえで「政府はどうすれば為替市場を正常化できるか考えるべき」と強調した。

具体的には「為替の過度な変動には、市場介入すべき」としたが、米国からの理解は得がたいとし「もう少し穏やかなかたちとして、日銀が外債を買うことも選択肢」と言及。市場で大規模な国債買い入れの限界も意識される中で「外債はいくらでもある。日銀も楽になる」との見方も示した。

日銀は9月の金融政策会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の「総括的な検証」を行うが、黒田東彦総裁の下での金融緩和政策は「アベノミクスの当初からうまくいっている」と評価。検証の結果として「金融緩和の縮小というのは論外だ」と述べた。

賛否両論あるマイナス金利政策については、金融機関の収益減少など「市場の神経を逆なでする面があることは否定しない」としたが、名目金利のゼロ%制約が「本質的な問題ではなくなった。マイナス金利は効く」と主張。マイナス金利と量的緩和の関係も「同じ方向を向いている」とし、必要な場合は「両方とも活用すればいい」と語った。

政府が大規模な経済対策を打ち出す中で、日銀は7月会合で追加緩和に踏み切ったが、消費再増税の先送りを含めて「財政も進める方向で舵を切ったのはいいこと。ヘリコプターマネーを1回だけ実現したと取れなくもない」との見方を示した。

ただ、変動相場制の下では「金融政策の方が経済に効く」とし、「日本をコンクリート漬けして、経済を活性化することには反対だ」と述べた。
(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]

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