マクロ経済動向と資産運用形成 研究室

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zoom RSS トランプ相場で株高・円安どこまで 市場の見方

<<   作成日時 : 2016/11/12 19:35   >>

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予想に反してトランプ米大統領が誕生してしまい、11月9日の外国為替市場と株式市場は大混乱となりました。当室もまさかとは思いましたが、予想外の事柄によって、多数の狼狽売りが出たようで、ドル円相場は1ドル=101円台にまで円高が進み、日経平均株価は1日で919円の下落となりました。

しかしながら、翌日の10日には、早くも前日の落ち込み分を埋め戻す動きとなり、ドル円は105円台となり、日経平均は1092円の上昇となっています(※3)。その後は、意外にもドル高・円安、そしてやや株高基調にあるようです。

これは、トランプの経済政策として、「減税と規制緩和」という共和党的色彩の経済政策が掲げられているということが大きく、そのテーマの結果としての財政拡張と景気拡大・金利上昇という経済予測が背後にあるからです。いい面だけ見ているということも言えますが、取りあえずは法人減税と個人減税を掲げ、インフラ整備を唱え、金融規制の緩和を予定しているようなので、景気にはプラスの効果があります。

こうしたトランプの経済政策は、どうも当室管理人のような古い人間には、かつて経験したレーガノミクスの二重写しのように見えてしまいます。

不動産屋が大統領になって大丈夫か、とは普通に言われる印象ではありますが、かのレーガン大統領就任の時も、「役者が大統領になって大丈夫か」という声が少なからずありました。しかしながら、レーガン大統領によって米国の力強い景気拡大と強いアメリカが実現されました。

レーガン大統領の経済政策は、減税と軍事支出の拡大という赤字財政政策と、マネーサプライの縮減という金融引締め政策との組み合わせであり、サプライサイド・エコノミクスという奇妙な理屈付けは一応ありましたが、やっていることはケインズ的積極財政政策であり、その結果としてマクロ経済理論通りの景気拡大がもたらされたということになります。ただし、同時に、当時問題視されていた双子の赤字(財政赤字と経常収支赤字)を拡大させる副作用をももたらしています。

トランプは高率関税や移民抑制、TPP脱退など想定困難な主張も同時にしていますので、これらの政策が今後どのように表面化して来るのか来ないのか、予想できない部分も多く、総体的にはレーガノミクスの再来と当室は見ますが、それはそれとして、揺れ戻し的な一喜一憂をはらみつつ事態は進行しそうです。先進国の投資環境的にはリスクオン基調と見て良いと思います。ただし、中国経済に対しては引き続き注視が必要、という見方は不変です。

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(日経平均株価10日分:SBI証券HPより引用)
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(ドル円相場10日分:SBI証券HPより引用)

[以下、引用]
◆(※1)トランプ相場で株高・円安どこまで 市場の見方
2016/11/11 11:25日本経済新聞 電子版

米大統領選で共和党のトランプ氏が当選したのをきっかけに、円安・株高が進んでいる。大規模な減税やインフラ投資などを掲げるトランプ氏の政策がひとまず好感されているためだ。日本からみれば関税の引き上げや環太平洋経済連携協定(TPP)離脱など保護主義への懸念もある。米利上げのペースも見通せない。円安・株高の流れは続くのか、市場関係者に聞いた。

「米インフラ投資先行で株価に追い風」
石山仁・三井住友アセットマネジメント・チーフストラテジスト

トランプ新大統領の誕生を受けた現時点の株高は期待先行の面がある。日経平均株価が9日に大きく下げたことは投資家心理の悪化を受けた動きだった。足元の政策期待による上昇も、具体的な政策の手順が出てきていない以上は今後どうなるか断定は難しい。

もっとも、大統領選で深まった米国民の亀裂を修復するには、景気や雇用を拡大するしかないだろう。最優先の政策はインフラ投資を増やし目に見える形で雇用を改善することだ。米株式相場にもプラスであることは間違いない。金融規制の緩和や減税についても株価にプラスだが、実現には時間がかかる。減税の規模も公約通りの巨額なものにできるかどうかは不透明だ。

円安・ドル高の進行は米国の金利上昇、特に年限の長い金利ほど上昇する「スティープ化」に反応している面がある。財政支出拡大への期待が原因だ。ただ米長期金利は2%台に乗せたものの、今年の初めの水準に戻ったにすぎない。3%への上昇を予想している人はほとんどおらず、円相場の下値もそろそろ堅くなるだろう。米国の利上げも12月は実施されるだろうが、来年は1〜2回とペースは緩やかになるだろう。トランプ氏が低金利主義者であることも利上げには逆風だ。

国内をみると、2017年度は輸出の改善で外需企業の利益は2ケタ伸びるとみている。業績改善を背景に1ドル=100円の想定でも来年度前半には日経平均株価は1万8000円が視野に入る。円相場が1ドル=106〜108円といった水準で安定するならば、その分株価は押し上げられる計算だ。株価上昇は一本調子ではなく、トランプ氏の発言に一喜一憂する形で相場の変動は激しくなるだろう。

「米インフレ期待で円安・ドル高加速」
村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部通貨ストラテジスト

日本株の伸びが昨日ほど大幅ではないことを踏まえると、目先の円相場は対ドルで方向感なくもみ合う展開が予想される。円安・ドル高は急ピッチで進んできたため、警戒感も出ている。

足元の円安・ドル高は米国債利回りの上昇が背景にある。減税やインフラ投資といった政策を掲げるドナルド・トランプ氏が米次期大統領に決まったことをきっかけに、インフレ期待が急速に高まった。同氏の政策は財政赤字の観点からは荒唐無稽に見えるが、インフレ期待は政策の実現性とは関係なく動く。そのためインフレ期待の持続性や円相場にいつまで影響するかについて予測するのは難しい。米長期金利の動向を注視している。

インフレ期待の高まりは、いったん火が付くと手が付けられなくなる可能性があるため、円安・ドル高は一段と進むかもしれない。心理的節目である1ドル=110円の水準を超えた場合、5月に付けた対ドルの高値である111円台も視野に入ってくるだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN) 依田翼、蔭山道子〕


◆(※2)トランプ氏勝利、日米関係や市場への影響は
2016/11/9 17:36日本経済新聞 電子版

米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補が勝利した。トランプ氏の優勢が相次いで報じられた9日の金融・資本市場は、米政策の先行き不透明感が意識され、東京市場では日経平均株価が919円安と急落し、円相場は1ドル=101円台まで急伸した。今後の日米関係や相場にどのような影響が出るのか、有識者や市場関係者に聞いた。

「対日関係は抜本的な見直しか」
渡辺靖・慶大教授

共和党のドナルド・トランプ大統領の誕生で、日米関係は抜本的な見直しを迫られるかもしれない。環太平洋経済連携協定(TPP)は漂流する可能性が高まった。日本に自動車産業の一段の市場開放を求めてくる可能性もある。トランプ氏は(政治分野の)人脈がないため、日本側の言い分をしっかりと伝えたくてもうまくコミュニケーションをとれない点が不安材料だ。周囲に知日派のスタッフが多い民主党のヒラリー・クリントン氏とは大きく異なる。

短期的に円高・ドル安が進んで輸出企業の収益を押し下げるのを通じ、日本経済に悪影響を与えることも考えられる。トランプショックを背景にした金融市場の波乱は、12月実施の観測が強まっている米国の利上げの先行き不透明感にもつながる。

日本に在日米軍の駐留経費の負担増加を求めるなど安全保障面でも圧力が強まると想定される。ただ日米間でいたずらに波風を立てることは北朝鮮や中国を利することにつながるため、結局あまり強硬な手段はとらないだろう。


「株、景気などにプラス、2万円も」
武者陵司・武者リサーチ代表

米国の新大統領になる共和党のドナルド・トランプ氏が打ち出す政策は株式市場にはポジティブだ。トランプ氏はドッド・フランク法(金融規制改革法)を廃止すると発言している。同法は金融機関のリスクを取る能力を阻害し自由度を奪っている。廃止となれば世界の金融のあり方が変わるはずだ。現時点で先行きが見えないところはあるが、雇用創造などの政策も景気にプラスだ。日経平均株価は9日の下落を底に反発しそうで、政策が確認されて市場が慣れてくれば2万円を超えていく展開となるだろう。

共和党はインフラ投資を手段として政府が国内雇用を作るという考え方だ。財政出動となれば長期金利が上昇し、為替はドル高に振れる。金融政策での利上げはその後の話だ。長期金利が上昇すれば、それに見合って利上げしていくことになるだろう。

世界の警察という国際公共財としての役割低下はリスクとみられているが、トランプ氏は米国をグレート(偉大)にするとも言っており、存在感を低下させるつもりはないはずだ。共和党としても中国が台頭する中で力の空白地帯を許すとは考えにくい。外交・国防では他国にもコストを払わせる一方、民主主義の担い手として立場維持へ方針を転換していく可能性はあるとみている。


「株、さらに5%の下げ余地」
日本株ヘッジファンド、ヴィレッジキャピタルの高松一郎・最高投資責任者

9日は米大統領選で激戦州とされたフロリダ州でドナルド・トランプ氏が勝利したと伝わった時間帯から、日本株の下落リスクに備え始めた。ダウ工業株30種平均先物は、9日の日本株の大引け後の時間帯に大きく下げている。9日の米国株の下落を受けて10日の日本株もまた下げる可能性がある。日経平均株価は10%程度下げると予想していたが、9日の下落率は5%強で、あと5%程度の下げ余地がありそうだ。

為替動向も懸念材料だ。1ドル=90円台になれば企業は為替の想定レートを見直すだろう。自動車など外需が業績を大きく左右する銘柄は手を出しづらくなる。90円台の円高・ドル安水準が続けば、日銀も何か手を打たざるを得なくなるかもしれない。今回はとにかく先が読めない。ひとまずはサービス、小売りなど内需株の物色になるだろう。


「円、米利上げ局面は終わり円高・ドル安へ」
唐鎌大輔・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト

共和党のドナルド・トランプ大統領候補が当選を決めた。安全保障分野を含め、米国の政策すべてにおいて「何が起こるか分からない」ことが一番のリスクになる。トランプ氏がドル高に否定的な姿勢を貫けば通貨政策もドル安寄りになる公算が大きい。2017年にかけて円高・ドル安の傾向が続くだろう。

米連邦準備理事会(FRB)に批判的なトランプ氏の台頭により、年内の追加利上げは難しくなったとみている。今後、FRB議長などFRB高官の人事もトランプ氏の意向を反映し「ドル安派」重視の人選になる可能性が高い。FRBは利上げには踏み切りにくくなり、利上げ局面は終焉(しゅうえん)を迎えたとみることができる。来年の円相場は1ドル=90〜95円を中心とした値動きとなりそうだ。


「国内金利、米株高・ドル安進行で上昇へ」
末沢豪謙・SMBC日興証券金融財政アナリスト

米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利した。トランプ氏はこれまでの選挙戦を通じて、大幅減税と財政出動を主張してきた。ある米シンクタンクの試算によれば、トランプ氏の公約すべてが実現すれば10年間で米財政赤字は10兆ドル(約1000兆円)拡大する半面、米国内総生産(GDP)は11.5%の上乗せになるという。議会承認を得る必要のある政策の実現には困難が伴うものの、基本的に米景気が良くなり株価にはプラスに働くだろう。一方で米財政は悪化。金利は上昇、ドルは下落する可能性が高い。

リスクとして考えられるのは、経済政策よりも安全保障だ。米大統領は米軍の最高司令官として、外交と安全保障に絶大な権限を持つ。トランプ氏は米国第一主義を唱えてきた。極東地域での「地政学リスク」が高まりかねず、注意が必要だ。

利上げを控えたFRBの金融政策への影響は限られそうだ。米金融市場は一時的に混乱するだろうが、議会承認が必要な政策はトランプ氏の主張がそのままには実現しない公算が大きい。混乱が収まれば、金融政策にはあまり影響は出ないだろう。

足元では米大統領選の開票結果を受けて、急速に円高・株安が進行した。世界的なリスクオフ(リスク資産の回避)の動きから、短期的に金利には低下圧力が働きやすい。ただ日本は日銀の長短金利操作によって固定相場になりつつある。欧米市場に比べれば金利低下の余地は限られそうだ。中長期的にはアジアに対する地政学リスクの高まりが意識される。マネーは日本から流出し、日本国債の利回りは上昇(債券価格は下落)しやすいと考えている。
〔日経QUICKニュース(NQN) 内山佑輔、石川隆彦、中村結、今 晶〕


◆(※3)日経平均1092円高、米金利が示す日本株高の芽
証券部 関口慶太
2016/11/10 16:03日本経済新聞 電子版

米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏が世界の閉塞感を打破してくれるのではないか――。10日の日経平均株価は前日比1092円(6.7%)高。前日の下げ幅(919円)を帳消しにしただけでなく、今年最大の上げ幅というオマケも付いた。トランプ氏が今後明らかにする政策への警戒感はなお根強いものの、荒れ相場の中でも日本市場に参加する投資家のトレンド変化の芽が見てとれた。第一生命ホールディングス株の動きがそれだ。

10日は第一生命HDの株価が一時、前日比203円50銭(14.3%)高となり、日銀がマイナス金利の導入を決めた1月29日以来の高値を付けた。9日に米長期金利が約9カ月ぶりに2%台に上昇したことを好感した。生保は国内外の国債を中心に運用しており、金利上昇は運用成績の好転に直結する。生保株の終値は大同生命保険などを傘下に抱えるT&Dホールディングスも13.1%高、ソニーフィナンシャルホールディングスも10.4%高となったほか、3メガバンク株も大幅高となるなど、買いは広く金融株に波及した。

では、米長期金利の上昇は続くのか。トランプ氏は9日の勝利宣言で「経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」と語った。大統領選中には、対立候補であるヒラリー・クリントン氏の「少なくとも倍」の景気刺激策を訴えてきた。加えて、最高所得税率の引き下げや相続税の廃止を提案している。ドイツ証券の村木正雄グローバル金融ストラテジストは「トランプ氏の政策パッケージを実現するには米国債の増発が避けられず、2017年末に長期金利は2.4%まで上昇するだろう」と指摘する。

米金利の上昇は金融だけでなく、為替相場を通じて日本株全体にも恩恵を及ぼす可能性が高い。シティグループ証券によれば、米大統領選とその翌年のドル円相場は「ドル高になりやすい傾向がある」(飯塚尚己チーフストラテジスト)。新大統領が景気刺激に力を入れるために長期金利に上昇圧力がかかるからだ。日本はマイナス金利政策を続けているため、「金利差が拡大すれば円安・ドル高に進む」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)。10日の東京市場でも前日の円高が一転し、ドル円相場は1ドル=105円台まで円安・ドル高が進んだ。株式市場でも輸出関連株の買い安心感につながった。

もちろん、楽観ばかりではない。トランプ氏の政策には、世界経済には逆風となりかねない保護貿易主義の影がつきまとう。米議会上院の共和党トップにあたるマコネル院内総務が「年内の環太平洋経済連携協定(TPP)の承認はない」と語ったように、TPPの早期発効は難しくなってきた。メキシコとの国境に壁を作るような動きが始まれば、自動車メーカーには大きな痛手。17年にメキシコで合弁工場を稼働させる日産自動車の株価は10日、1%高にとどまった。

米長期金利は「米国経済を映す体温計」と言われ、将来の経済成長率やインフレ見通しなどを反映する。米長期金利の上昇→米国経済の成長加速→円安・ドル高→日本株上昇というメーンシナリオで「日経平均は年末に1万8000円に上昇する」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員)との見方も出始めた。「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育つ」という。トランプ氏の政策に警戒しながらも大幅反発したこの日の株式相場は、「懐疑の中で育つ」を示しているのだろうか。
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]

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