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zoom RSS トランプバブル崩壊でドル98円へ、市場は「はき違えている」とUBS

<<   作成日時 : 2016/12/10 10:20   >>

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当室は購買力平価にドル円相場が収斂するという微妙に不正確な説を採用しておらず、それよりはまだチャートの方が確度が高いと考えていますが、いずれにしても今回のトランプ相場の上昇程度はスピード違反の領域にあるものと思います。

その点の反転によるリスクは下記のブルームバーグ記事の指摘する通りです(※1)。しかしながら、1ドル98円のような円高もまた示現しないと思います。以前からの所見通り、当面は100円〜120円のレンジで動くものと考えます。

ここのところの日経平均の上昇は、かなりの相関度で円安に連動していると言えます。そのドル円相場は、12月10日朝の時点で、1ドル115.24円まで円安となっています。
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(ドル円相場6ヶ月日足:SBI証券HPより引用)
これに連動して日経平均は、12月9日の終値で18,996.37円まで来ました。
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(日経平均6ヶ月日足:SBI証券HPより引用)
ドル円相場の成り行きを観察していれば、その日の日経平均が上がるか下がるかが予測できてしまうという印象です。そうすると、ここで参考になるのは、むしろRSIなどのチャートによる指標だと思われます。ドル円相場の反転がいつになるのかは分からないとしても、その兆候はRSIなどでおぼろげに分かります。

日経平均の方を見ますと、チャート的には追加での買いは入れにくいと思いますが、ドル円の方は三角持合いの後に115円に来ていますので、もう少し円安があり、それに連動しての日経平均上昇があるのかも知れません。

とはいえ、ここから先の円安はオーバーシュートの印象が強くなりますので、もし万一、仮に120円近辺が示現するようであれば、当室としては売り方に回るとともに、手持ちのドル建てETFはすべて売却したいと思います。

ところでその前に、NYダウを見ますと、これはかなり急激に上がり過ぎの印象です。RSIも高いので、短期的には、利確のできるものは、日本株も含めて、ひとまず利確しておくのが無難であり、最高値で売却という考えは捨てた方が良さそうです。
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(NYダウ6ヶ月日足:SBI証券HPより引用)

以下蛇足ですが、それにしても購買力平価で現在の妥当なドル円水準が「78−88円のどこかにある」という見解は、何かがおかしいと思います。多分、起点の採り方が間違っているのではないかという感じです。仮に1ドル88円が妥当な中心レート水準だとしますと、現在の実際のレートは115円レベルにまで一時的に円安にブレているということですから、反対の円高方向にも同水準のブレが生じる可能性があるわけで、その場合は1ドル60円台が示現してもおかしくないはずです。それはさすがにありそうもない水準だと思います。1ドル80円はまたあるかも知れませんが、それは中心レートとしてではなく、円高方向へブレたレートとしての示現だと考えられます。当室としては、中心レートはおそらく1ドル105円レベルではないかと思います。


[以下、引用]
◆(※1)トランプバブル崩壊でドル98円へ、市場は「はき違えている」とUBS

野沢茂樹、Kevin Buckland/ブルームバーグより
2016年11月29日

市場はドナルド・トランプ氏の唱える「アメリカ・ファースト(米国最優先)」の影響をはき違えている−。預かり資産が約2兆ドルに上るUBSウェルス・マネジメントは米大統領選挙後の相場展開を踏まえ、為替見通しを円高・ドル安方向に修正した。

UBS証券ウェルス・マネジメント本部でジャパン・エクイティ・リサーチの責任者を務める居林通氏は28日のインタビューで、トランプ次期米政権の経済政策について「皆が良いところ取りで絵を描いており、過度な幸福感に包まれているが、その解釈は誤解に近いのではないか」と指摘。「期待先行で買われ過ぎた相場は、思わぬところで急にはげ落ちる。対外政策と国内政策の時間差をよく考えるべきだ」と語った。

同社はトランプ氏勝利後の世界的な株高・米金利上昇・ドル高の中で、3カ月後の円相場見通しを1ドル=104円から102円に上方修正。6カ月後は102円、12カ月後は98円に据え置いた。市場で焦点に浮上している昨年6月の13年ぶり安値125円86銭の更新はないとの見方だ。
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主要10通貨に対するブルームバーグのドル指数は24日、データでさかのぼれる2004年末以降で最高を記録。円相場は25日に113円90銭と約8カ月半ぶりの円安・ドル高水準を付け、9日の高値から12.5%下落。月初からの下げは09年以来の大きさとなった。

トランプ氏が公約した大型減税や1兆円規模のインフラ投資への期待を背景とした円安・ドル高進行で、為替アナリストは円相場の見通しを相次ぎ下方修正。来年9月末の予測中央値は米大統領選直前の105円から約半月で109円50銭に下がった。仏銀BNPパリバは125円と予測。100円突破を見込む円高予想は90社のうち10社に満たない。

居林氏は、市場はトランプ氏の「国内政策の効果が先に出て、対外政策は後から妥当なところで折り合うと期待している」と言う。しかし、トランプ氏の経済政策は「国内向けは財政出動で成長促進的だが、米議会の承認プロセスが必要だ。影響の顕在化までには時間がかかる」と指摘。一方、「対外政策は貿易に逆風で成長を抑制する方向だ。議会を通さずに執行する権限を大統領が持っているので、早く実施される可能性がある」とみる。

トランプ氏は選挙戦で、オバマ政権が日本などと進めてきた環太平洋経済連携協定(TPP)を米国内の雇用を守る立場から批判。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は20日、貿易を歪曲(わいきょく)する措置と保護主義の撃退を訴えた。しかし、トランプ氏はその翌日、就任初日にTPPから撤退する意思を公表する方針を表明した。

大統領選の勝利演説で米国の成長を倍増し、最強の経済にすると語ったトランプ氏。大統領首席補佐官や財務長官人事、知日派で資産家のウィルバー・ロス氏の商務長官への起用見通しなどの現実路線で米国政治をめぐる不透明感が後退し、為替市場では円安・ドル高要因となってきた。このため、トランプ氏のTPP撤退表明が伝わると、市場は短時間ながらも円高・ドル安に振れた。

居林氏は、米景気を押し上げるというトランプ氏の公約は実現するだろうが、「その原動力は海外はひとまず置いておき、米国内にとって良いことをやる、良くないことはやらないという政策だ」と指摘。市場は過激な言動の封印や減税・インフラ投資を好感するあまり誤解しているが、「ドル高は米企業収益にマイナスで、ひいては雇用に逆風となるので受け入れられない」と言う

榊原英資元財務官は米大統領選直後の10日のインタビューで、アメリカファーストを掲げるトランプ次期政権は「恐らくドル安政策だ」と分析し、「今後6カ月程度で90円もあり得る」と述べた。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は17年末に99円と予想。来年は日本銀行の金融政策から米欧の政治に焦点が移り、保護主義の流れが波及する中で円高が再燃する可能性があると読む。

ドル高は「うれしくない」

トランプ氏の積極財政で米国の経済成長とインフレが加速し、利上げが進むとの観測から、米10年物国債利回りは先週、昨年7月以来の水準となる2.41%台に上昇。当選当日から約2週間の上昇幅は約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達し、日本国債との利回り格差は232bpと11年2月以来の大きさとなった。

居林氏は、米金利上昇について、トランプ氏の「米国内重視で考えると、上昇がこれ以上続くと住宅ローンにマイナスになるので、米国民にとってうれしくない」と指摘。「過去のデータによれば、日米金利差が2.1−2.2%の時は円・ドル相場は100−103円程度に収まる」傾向があり、足元の金利差でも「妥当な水準はせいぜい105円程度だ。現在の円安・ドル高は長続きしない」とみる。

米金利先物市場は、FRBが来月14日に約1年ぶりの追加利上げに踏み切ると完全に織り込んでいる。今月1、2日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、金融政策当局者らは労働市場が引き締まる中で利上げの論拠が強まっていると判断し、一部は12月に利上げすべきだと主張した。一方、近い将来における政策金利の変更は経済データ次第で、緩やかな利上げに限って正当化されるとの認識を示した。

UBSウェルス・マネジメントは米利上げが来月あると見込むが、居林氏は「既に織り込み済みだ。ドルはその後、FRBが示すフォワードガイダンスの影響を受けやすくなる」と指摘。来年1月に次期政権が発足しても財政拡張策の実施とその効果を早急には期待しにくい中、FRBは「先行き不透明感から慎重姿勢を強める」とみられ、円高・ドル安圧力が高まると予想する。

みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、トランプ政権の財政要因のみでのインフレ上昇には限界がある上、米金利上昇とドル高は財政拡張の効果を相殺しかねないとみる。米国がドル高を容認してまでインフレを抑える必要性には乏しいと考えられ、利上げペースの抑制によってドル高を抑制する方向に舵を切ると予想。米金利も目先はともかく、中期的にはピークアウトしていくとみる。

居林氏は日銀の金融政策も円高要因になると言う。12年から昨年までの円安局面では、13年4月に導入した異次元緩和下で「日米金利差の拡大は緩やかだったが、円安・ドル高は急速に進んだ。この動きの約6割は日銀の量的緩和策によるものだ」と分析。「日銀は来年のどこかで、好むと好まざるとにかかわらず、国債買い入れ規模を徐々に縮小するテーパリングを始めるリスクがかなりある」と言う。

日銀の国債等保有額は6月末時点で398兆円と発行残高の36%に達し、異次元緩和開始前の約3倍となった。日銀は9月に金融緩和強化のための新たな枠組みとして、日銀当座預金の一部にマイナス0.1%の利息(付利)を課すとともに、10年債利回りをゼロ%程度に誘導する「長短金利操作」を導入。年間約80兆円の国債保有残高の積み増し目標は「めど」に格下げした。

居林氏は日銀による国債買い入れ規模の縮小は円高を促すと指摘。「円・ドル相場が1%動くと日本の企業収益は0.5%動く関係にある」ので、市場の一部にある「120円で日経平均2万2000円」といった楽観論には無理があるとみる。12カ月後に98円という予想は、日米の長期的な物価格差を反映した円・ドル相場のPPP(購買力平価)が「78−88円のどこかにある」ことが主な根拠だと語った。
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]

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