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zoom RSS 本当に怖いのは、トランプよりもFRB/山崎 元氏

<<   作成日時 : 2017/01/28 08:46   >>

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山崎元さんの相場観が現代ビジネスに掲載されていましたので、転載しておきたいと思います(※1)。

要点としては、仮に今後「トランプ・ラリー」が続いたとして、ドル高でも、ドル安でも、遠からぬ時点で相場の転換点が待っている公算が大きいので、内外の株式の投資額を少し減らすような調整をそろそろ行いたい。ただし、決して、半分とか全部とかといった大きな売却はお勧めしない、ということです。

当室の場合は、米国FRBの利上げもさることながら、中国経済への疑念を根強く維持していますので、利確できるものは利確し、現金ポジションを高めていることはすでに説明したとおりです。山崎さんのスタンスよりは、やや早いポジション調整としています。

トランプ大統領の動きは派手で、かつツイッター使用というゲリラ的手法を駆使するために、マーケットはいらぬ混乱をさせられ勝ちですが、そうした目先のことに捉われず、大局的には山崎さんの指摘する通り、トランプ大統領よりはFRBの方に注目するべきものと思います。

米国の金利上昇→中国からの資金流出→中国経済の沈没、という構図が成立しないことを期待したいと思うものの、こればかりは個人投資家としては、自分の投資ポジションを圧縮しつつ、経済情勢を注視する以外にはありません。


[以下、引用]
◆(※1)トランプ相場「最大のリスク」を回避する賢明な投資法を教えよう
大統領のつぶやきよりも注目すべきこと
山崎 元/経済評論家 現代ビジネス
NYダウ、2万ドルの大台突破!

「トランプで、これからどうなる?」という論考が各方面で次から次へと登場しており、個人的には、いささか辟易してきたのだが、連載の書き手としては、トランプに全く触れないわけにもいくまい。

今回は、日本の投資家が、トランプ政権始動を受けて、今後どう行動したら良いかについて考えてみたい。

1月25日のニューヨーク市場で、ダウ平均がついに2万ドルの大台に乗った。積極的な国内インフラ投資を公約に掲げて当選したトランプ大統領がパイプラインの建設に署名し、共和党の有力者であるライアン下院議長がインフラ投資に前向きな姿勢を示したことなどが、好感されたと報じられている。

日米共に株式市場で、「トランプ大統領」を好材料と見る理由は、大統領選挙の選挙戦で、彼が、(1)企業向けの減税、(2)大規模な国内インフラ投資、(3)米国企業が海外の利益を米国に環流させる場合の減税、を訴え、これらの実現が期待されることだ。

(1)は株式の理論値にただちに効く理屈だし、(2)にも米景気の押し上げ効果がある。また、(3)は資金が米ドルとなって米国に戻るのでドル高材料であり、ドル高・円安は日本の株式にとって強力な支援材料でもあるので、日本の投資家でも期待する向きがある。

他方、「トランプ大統領」を悪材料ないし不安視する見方としては、(1)保護主義的政策が採られると長期的には米国経済のパフォーマンスを落とす、(2)中国と並んで日本が貿易摩擦の相手国として名指しされ圧力を掛けられるリスク、(3)トランプ政権が米企業の国際競争力を不利にするドル高を是正しようと動く可能性があること、などが心配材料だ。

こうした強弱二面を意識させながら、ツイッターを使っていきなり発言する大統領に、投資家も、市場も、振り回されているのが現状だ。

自分の言動が、他人に大きな影響を与え、時に相手を不安な気持ちにさせることは、目立ちたがりで交渉好きとされるトランプ氏にとっては、満足で好都合だろうから、彼は、こうした状況が継続することを願っているだろう。

「株価が上下に振れる可能性」という意味でのリスクは確かに大きい。

金融引き締めに勝てる上げ相場は無い

もともと、米国をはじめとする世界の景気は、昨年の秋頃から回復傾向にあった。

IMFやOECDといった国際機関は、昨年の秋から暮れにかけて、2017年の世界経済の成長率予想を2%代後半から3%代前半に引き上げている。米国の経済が拡大傾向にあることの影響が大きく、また昨年前半は大きな懸念だった中国経済も短期的には回復傾向にある。

米国の株価上昇には、もともと、経済回復の下地があったのであって、全てがトランプ氏に起因するわけではない。

また、トランプ大統領が好材料視される、(1)企業向けの減税、(2)大規模な国内インフラ投資といった政策は、税制や予算にかかわるので、議会がこれを認めなければ動かない側面がある。NYダウの2万ドル乗せの際に、ライアン下院議長が注目されたように、今後、共和党の有力議員の動向に注目しておくべきだろう。

トランプ氏のツイッターよりも、むしろ、トランプ氏にどれだけ議会の共和党がついてくるか、共和党議員が何をしたがるのかが本当の注目点になるだろう。

加えて、FRB(連邦準備制度理事会)の動きから目が離せない。

FRBはこれまでに2回の利上げを行い、今年は、2回ないし3回利上げを行うのではないかという観測が目下の市場の多数説だ。

最終的に、金融引き締めに勝てる上げ相場は無い、というのが、市場のセオリーだ。

既に、長期金利が10年米国債で2.5%前後と上昇傾向にあり、不動産市況にやや翳りが見られるなど、金利上昇の影響は少しずつ現れ始めている。12月の中古住宅販売は、前月比2.8%の減少であり、長期金利上昇に伴う住宅ローン金利上昇の影響が指摘されている。

「トランプ政権は、株価が下落するような事態は避けたいはずだ」と希望的観測を述べる市場関係者もいるが、金利に大きな影響を行使する主体はトランプ氏よりもFRBであり、FRBはわが国の中央銀行ほど株価に気を遣ってくれないので、特に、米国のインフレ率が上昇した場合には注意したい。

本当に怖いのは、トランプよりもFRB

日本の投資家にとって、トランプ大統領の最大のリスクは、彼が「ドル高是正」に動くことだろう。ツイッターなどを通じた発言で為替問題を取り上げて、あれこれ指示を出すと、為替市場は大きく反応する可能性が大きい。「交渉好き」のトランプ氏にとって、為替レートは使い勝手のいい交渉ツールだろう。

ドル高が進んだ場合は、1、2年のタイムラグを伴うが、米国の貿易収支には悪影響が出ることになる。これはトランプ氏の米企業の競争力と米国の雇用を優先する考え方にとって不都合だ。

しかし、ドル安に進むと、米国の物価は上がりやすくなり、この場合、FRBの利上げのペースが速くなる公算が大きい。

現時点で、米国の主な企業の株価水準は決して割安とは言えないレベルにあり、金利の上昇は、ある時点で上げ相場を終わらせるに足る悪材料になり得る。

つまり、仮に今後「トランプ・ラリー」が続いたとして、ドル高でも、ドル安でも、遠からぬ時点で相場の転換点が待っている公算が大きいということだ。

米国、日本、共に、金融緩和をきっかけに始まった上昇相場は、明らかに終盤に近づきつつある。

日本の方が金融緩和状態が長く続きそうであり、また日本株には日銀の巨額のETF(上場投資信託)買いのような「補助エンジン」がついていることもあるので、順番としては、日本株よりも、米国株が先に曲がり角を迎えることがより自然に思える。

もちろん、現実の株価が理屈通りに動いてくれるとは限らないが、投資家としては「本当に怖いのは、トランプよりもFRBだ」と肝に銘じて、米国の物価、雇用、金融政策、そして株価を注視すべきだろう。

筆者が投資家であれば、内外の株式の投資額を少し減らすような調整をそろそろ行いたいところだ。もっとも、たとえば、内外の株式を投資信託(インデックスファンドをお勧めする)で500万円持つのが「標準状態」だという投資家であれば、450万円に落とそうか、という程度の調整が現実的であり、決して、半分とか全部とかといった大きな売却はお勧めしない。

いったん持ち株を大規模に売ってしまうと、もちろん予想が外れる場合があるわけだし、予想が少々当たったとしても、これを買い戻すタイミングが難しいからだ。小さな下げを当てて株を売った後に、次の大きな上げに乗り損なう個人投資家を、これまでたくさん見てきた。

各種の見通しやリスクも含めて、株価には情報と市場参加者の判断が相当程度反映している。自分にとって許容可能なリスクに投資額を抑えつつも、資産価格に反映しているはずのリスク・プレミアム(リスクに応じた追加リターン)に期待するのが投資の基本だ。

心理的にも容易で現実的な行動としては、トランプ・ラリーで得た利益分くらいを売却して、トランプ・ラリー前のリスク資産投資額に戻すというくらいが、多くの投資家にとって実行しやすいのではないだろうか。
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]

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