オバマ大型財政出動は成立からどれくらいで効果が出るか

財政政策は方針決定から実行されて経済刺激効果が発現するまでに、やや時間がかかるわけですが、具体的にはどれくらいかかるのか、前回2008年2月の米ブッシュ減税を例に取って見ますと、1月に政策表明、2月に法案が成立して、4月から実施に移され、小切手配付は8月までの予定でしたが、経済的に有効と見なされていたのは7月一杯まででした。つまり、単独減税の場合は政策表明から約8ヶ月間が政策期間で、経済の実質的プラス効果自体は4月から7月までの4ヶ月間だったようです

今回のオバマ大統領の場合も、日程的には似ています。1月20日の就任演説で財政出動を表明するとして、議会を通過して書名・成立するのが2月。4月からの実施と仮定すれば、種類と規模にもよるでしょうが、減税であれば大体8月までが第一弾の経済効果の有効期間ということとなりそうです。公共投資や企業減税で経済効果が2年程度有効であるような方策が打ち出されれば、下支え効果が大きく、市場心理もかなり好転して米経済が回復軌道にまで乗ってくる可能性が高くなります。それに期待したいところです。

経済規模の大きい先進国の財政政策は、いわゆる「呼び水」的な要素が大きく経済成長の下支えの役割ですので、中国のように大型財政投資でグイグイ経済を引っ張るのは無理です。中心エンジンである民間消費、民間投資が回復するのを促すのが目的となります。

[ブッシュ減税について報道された順序]
08/01/09 ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)は、米政府が景気対策として、個人向けの税金還付と法人向けの優遇税制を検討していると報じた。
08/01/18 ブッシュ米大統領と議会指導部、1500億ドルの経済対策協議。
08/01/24 ブッシュ大統領が減税について議会と合意。
08/02/13 減税案が議会を通過して大統領が署名、発効。
◆対策規模は2年間で1680億ドル、2008年だけで1520億ドル。個人所得税の「戻し減税」などが柱で、税還付は調整後総所得7万5000ドル以下で1人あたり最高600ドル、夫婦で1200ドル、子ども一人につき300ドル。
08/04/25 4/28から戻し減税開始。
◆「米国では、緊急経済対策に盛り込まれていた戻し減税(所得税の還付)が当初予定を前倒して28日から開始される。ただ消費者は還付分を借金返済やガソリン代・食費に充てると予想され、小売各社への恩恵は小さい見通し。個人への戻し減税は1000億ドル以上に達し、6月末までには対象者すべてに届く見込み。小切手の送付は当初5月初めとされていた。」
08/07/31 税還付ほぼ終了。
◆「税還付は4月末から7月中旬にかけて、1億3000万世帯に総額1070億ドル(約11兆4000億円)が配布された。しかし、7月の税還付額は137億ドルで、6月の279億ドルの約半分となっている。また、5月の481億ドルと比べて分かるように、税還付はピークを過ぎている。」「7月の個人所得は、前月比0.7%減となり、超大型ハリケーン「カトリーナ」による災害が起きた2005年8月の2.3%減以来、3年ぶりの大幅下落となった。市場予想の同0.2%減を大幅に下回っており、5月の1.8%上昇や6月の0.1%増から一転して減少に転じた。」

[参考:まとめ]
◆「減税法案は、2月13日にブッシュ大統領が署名、成立した。1月18日にブッシュ大統領が指針を示してから成立まで1カ月もたたないスピード成立となった。その中身は、所得税の戻し減税(1067億ドル)と設備投資減税(450億ドル)の2本立てである。
所得税の減税は、2007年の年収が7万5000ドル以下(夫婦世帯では15万ドル以下)の低・中所得者(全世帯数の7割)が対象となる。2008年5~8月に小切手で還付額が郵送される。1人当たりの金額は600ドル、夫婦では1200ドル、子供1人につき300ドルが追加される。一方、設備投資減税は、2008年年内に設備投資を実施した場合、減価償却の損金算入枠を拡大し、課税コストが半減されるという内容である。
特に、所得税の戻し減税では、送られてきた小切手を使って消費を行うという即効性の高い景気押し上げ効果が見込まれているが、低所得者層ほど、いわゆる「ぎりぎりの暮らし」をしているため、所得を消費に回す比率(消費性向)が高くなる。小切手を貯金せず、消費に回すことになり、景気の押し上げ効果は強くなる。」
→(以上、「所得減税は米国を救うのか」日経ビジネスオンライン 08/02/22より抜粋)http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20080213/147195/

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[以下①~⑥は上記本文の①~⑥に対応した参考記事です。]
◆①「米政府、税金還付・法人向け優遇税制を検討=WSJ」(08/01/09 ロイター) http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK807903620080109
◆②「米大統領と議会指導部、1500億ドルの経済対策協議」(08/01/18 ロイター) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-29829920080118
◆③「ブッシュ米大統領と議会、景気対策で合意」(08/01/25 ロイター) http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-29966820080125
◆④「米景気対策法案、ブッシュ大統領が署名し成立」(08/02/14 ロイター) http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT812269720080213
◆⑤「米景気刺激策の戻し減税開始、小売各社への恩恵は不透明」(08/04/28 ロイター) http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK814807620080428
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◆⑥「米7月個人消費、予想以上に伸び鈍化=減税効果遅れ」(08/08/31増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル) http://www.gci-klug.jp/masutani/2008/08/31/003542.php