GMは国有化で軟着陸

GM株式の60%を米国政府が保有し、GMが国有化されたことによって、悪材料出尽くしという感じでNYダウは上昇しています。チャプター11を申請して倒産したとは言っても、負債の株式化によって債務が軽減され、また車種も4種類に絞りこまれてコスト高の過剰生産力が解消されるため、実質的には政府による救済ということになります。やはり、完全に倒産しますと雇用へのマイナス影響が大き過ぎるという政策判断であると思います(※1)。

「600億ドル(約5兆7900億円)を優に超えていたGMの債務は、170億ドル(約1兆6400億円)前後まで圧縮される」ということで、かなり身軽となり、財務体質が強化されることとなります。「再建計画によれば、60~90日内と比較的短期間での破産法の手続きが完了後、“新GM”が誕生する」予定ですが、その後の業績が黒字化するとは限りませんので、引き続き注視して行く必要があるものと思います(※2)。

ともあれ、とりあえずは軟着陸したということで、上首尾でした。

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◆(※1)[デトロイト/ワシントン 1日 ロイター] 米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は1日、連邦破産法11条の適用をニューヨーク州マンハッタン破産裁判所に申請した。破産法11条適用申請の規模としては米国史上3番目、米製造業部門では過去最大となる。
オバマ政権は、300億ドルの追加支援を決定。大きな賭けに出た。
政府によるGM再建計画では、速やかな売却手続きにより会社規模を大幅に縮小し、破産法手続きの60-90日以内での完了を目指す。GMは今後、「新生GM」と「旧GM」に分離され、「旧GM」は余剰となった工場や機器を引き受け、裁判所の保護下でいずれ清算される見通し。
GMはこれまで、政府の支援で生き延びてきた。注入額は合わせて500億ドルに上る予定で、政府は新会社の株式の60%を取得する。
GMには、カナダ政府とオンタリオ州当局も95億ドルを投入する。
GMは11カ所の米工場を閉鎖、3工場を遊休化する。最新の人員削減計画は示されていないが、組合加盟の米従業員5万4000人のうち、工場作業員2万1000人を削減する予定。全米自動車労組(UAW)加盟の従業員は1万8000-2万人減少することになる。
UAWは新生GMの株式の17.5%を保有する。また、カナダ政府が12%、GMの債権者のグループが10%を保有する。GMの大口債券者は、スターコム・メディアベスト・グループや、デルファイなど。
米国がリセッション(景気後退)から脱却できないなか、GMの清算は雇用保護の観点からどうしても避ける必要がある。GMは米国内で9万2000人を雇用、年金などで間接的に関与している退職者は50万人にも上る。」
 (以上、「米GMが破産法の適用申請、早期の再建目指す」 09/06/01 ロイターより抜粋)http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38346420090602?sp=true

◆(※2)「今後販売する車種は、これまでの8ブランドでなく、「シボレー」「GMC」「ビュイック」「キャデラック」の4ブランドに絞り込まれる。
再建計画によれば、60~90日内と比較的短期間での破産法の手続きが完了後、“新GM”が誕生する。一方、「ハマー」「サーブ」「サターン」「ポンティアック」などの不採算ブランドは、工場などの不要資産とともに、“旧GM”に残されて清算される。これらのブランドは、消滅させる予定のポンティアックを除き、売却先を模索中だ。
米政府は新生GMの株式の60%を保有する代わりに、既存債権のうち90億ドル(約8700億円)を超える債権をすべて放棄する。カナダ政府とオンタリオ州もGMに95億ドル(約8900億円)融資する予定だが、そのうち17億ドル(約1600億円)を超える債権は返済を求めず、その代わりに新GM株の12%を取得する。
GMが復活を遂げるまでに、米政府の融資額は約500億ドル(約4兆8300億円)に達する見込みだ。破産申請の発表で時価評価10億ドル(約970億円)に満たないGMの資本は消滅したが、690億ドル(約6兆6600億円)前後まで反騰しなければ、米・カナダ両国の政府は融資額を回収できない。米政府高官は、「公的資金をどれだけ回収できるかは不明だが、可能な限り回収したい」と述べている。
GMの再生に命運を託すのは、社債保有者と全米自動車労組(UAW)も同様だ。UAWは、自らが運営主体となる組合健保基金「任意従業員福利厚生基金(VEBA)」へのGMの拠出義務200億ドル(約1兆9300億円)と引き換えに、新GMの普通株17.5%と2.5%分のワラント(株式購入権)、現金25億ドル(約2400億円)、毎年5億8500万ドル(約560億円)の配当金を受ける権利を持つ優先株65億ドル(約6300億円)を取得することで合意している。
また、社債保有者も、債権272億ドル(約2兆6200億円)を放棄する見返りとして、新GMの普通株10%に加え、最大で株式の15%を購入できるワラントを受け取る。
600億ドル(約5兆7900億円)を優に超えていたGMの債務は、170億ドル(約1兆6400億円)前後まで圧縮される。さらに、従業員への医療費給付負担をVEBAに移管し、基金への拠出金の大半を現金でなく株式で賄う条件としたことにより、GMは、医療費の負担額を年40億ドル(約3900億円)以上削減できる。」
 (以上、「米GM破綻が意味するもの」(09/06/03 日経ビジネスオンラインより抜粋)http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090602/196494/