J-REIT投資法人債のスプレッドが高いうちに投資する

6/17の日経新聞朝刊に、REIT投資法人債の国債利回りに対する上乗せ金利幅(スプレッド)が高止まりしているという記事が掲載されていました。REITは利益の大半を分配してしまう仕組みで内部留保がしにくいために償還資金の確保が難しいのが現状です。設立予定の官民ファンドなどが、REIT投資法人債の借り換えで機能することを確認できるまで様子見の投資家が多い、ということなのだと思います。

それにしても、「AA」格の日本ビルファンド投資法人の既発10年債のスプレッドが1.9%前後もあって、「A+」格の三井不動産がほぼ同時期に出した社債の約3倍のスプレッドということはやや極端です。格付けも全く信用されていないということですか。この場合の格付け「AA」は、ただ単にキャッシュフローだけを見て符号を付けているのではなくて、おそらくは最終資産処分も考慮して総合判断で付けているものと思います。そのため比較的高い格付けとなっているのでしょう。

しかし、当面の短期的な資金繰りや債務の借り換えを考えた場合には、利益の大半を分配してしまうというREITの現状の構造特質が大きなマイナス効果を持ちますので、格付け会社としてはその点をもう少し格付け符号に織り込む必要があったものと思います。REITの「AA」格付けは、平時の格付けであるならば妥当性がありますが、債券償還に対していくら保有資産を最終処分した場合の担保的価値の裏付けがあるとしても、現在の経済情勢(不況)下での格付け符号としてはやや高すぎと見られます。

東証REIT指数連動型上場投信(1343)の価格は、ここのところやや上昇していますが、日経平均にぴったり連動した動きではなく、上昇度合いが見劣りしています。それは、様子眺めの投資家が多いということだと思います。そうであるならば、当室としては、9月以降に既発債が相次ぎ償還を迎えるのを待っているのではなくて、それまでにゆるりと仕込んでおく必要があるという立場を取ります。引き続き、ドルコスト平均投資でJ-REIT投信で利回りの高いものに資金を投下しておきたいと思います。

参考までに、ヤフー画面から、東証REIT指数連動型上場投信(1343)のグラフを転載しておきます。
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■現状当室で保有しているJ-REIT投信は、DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)です。
分配金月80円、基準価格6,367 円(6/17現在)で、表面利回り15.1%となります。6月はまだ分配金は80円が維持されましたが、オフィス中心銘柄の分配金減少が反映されて今後は少し削減されるかも知れません。しかし当室では、利回り10%が維持されている間は資金を振り向ける予定でいます。今後の経済情勢回復に伴って、次第に基準価格は上昇して行くものと思います。

■蛇足ですが、運用利回り10%以上のマンションの一棟買いで、しかも銀行フルローン案件というようなものもあるようです。しかし、これは有利なように見えて実は投資リスクが大きすぎると思います。これまでこのブログにも登場した友人の不動産屋の話ですと、こうした一棟売り物件の売却前には、売主側で満室であるかのようにお化粧を施してから売却交渉に入るのだそうです。すなわち、「満室」物件売却後、数ヶ月程度にわたって「サクラ」に相当する「入居者」は徐々に「引越し」していくのだとか・・・。そうした裏事情もあり、実際問題として、実物不動産よりもリートの方がリスクは小さいと思います。無理して借金する必要もなく、小口投資できますし、売却も自由、物件管理も不要です。リートは価格変動リスクがあるように見えますが、実物不動産は価格が変動しているのが見えにくいだけのことで、実際のところはリートよりも値動きが不明瞭な上、処分も容易ではありません。仲介手数料も高額ですし、管理料金も料率として2-3%は必要です。不動産投資を考えるのであれば、実物不動産よりはリートの方が有利だと思います。

[参考新聞記事]
◆「不動産投資信託(REIT)が発行する投資法人債の国債利回りに対する上乗せ幅(スプレッド)が高止まりしている。不動産市況の悪化や資金繰り懸念を背景に、公募の新発債が1年以上途絶え、流通市場でも積極的な買い手が少ない。9月以降に既発債が相次ぎ償還を迎えるため、こうした資金の手当てをできるかを投資家は見極めようとしているようだ。
流通市場でも格差は鮮明。格付けがダブルA(格付投資情報センター=R&I)の日本ビルファンド投資法人が2005年に発行した10年債のスプレッドは、足元の参考値で1・9%前後。格付けがシングルAプラス(同)でスポンサーの三井不がほぼ同時期に出した社債の約3倍だ。
「設立予定の官民ファンドなどが、借り換えの難しい投資法人債の受け皿として機能することを確認できないと投資は難しい」(投資顧問)との見方も多い。
野村証券によると、投資法人債の発行残高は約6300億円(私募債を含む)。」
(以上、「REIT投資法人債、上乗せ金利高止まり(マーケットウオッチャー)」2009/06/17, 日本経済新聞 朝刊, 17ページより抜粋:日経テレコン21による)

◆「【表】ニューシティ破綻以降の主な政府主導のREIT活性化策      
活性化策   主な目的   時期
日本政策投資銀行を通じた危機対応融資   資金繰り改善   08年〓12月
株式交換で生じる端数を現金決済できるよう明示   合併促進   09年〓1月
合併で発生する「負ののれん代」を配当原資から控除   合併促進   4月
ゆうちょ銀行の資金を活用した物件取得資金の供給   新規資金供給   近く?
官民ファンドによる投資法人債の償還資金などの供給   資金繰り改善   今夏?」
(以上、「REITテコ入れ、本格化へ、合併促進や融資へ道筋、市場は静観。」2009/05/26, 日本経済新聞 朝刊, 14ページより抜粋:日経テレコン21による)