配当利回りは優れた投資指標

当室では、配当利回りを投資指標として最も重視しています。キャピタル・ゲインも大事ですが、キャピタル・ゲイン狙いは当たり外れが大きく、年平均利回りに換算すると儲けは思ったほどでもありません。これまで最高に当たった年でも、年間平均利回りに換算してみたところ、差引き6.9%でした・・・。金利7%台で郵便局の定額貯金にしていたオフクロの方が半年複利で10年もの長期間よほど高利回り、ウワテでした。

6月21日号の日経ヴェリタスの特集で、「あなたの隣の大株主」という記事がありまして、その中で共感できたのは、唯一の投資指標が配当利回りであるとする佐藤氏のものです。

佐藤兼義氏は、株投資歴約50年の70歳で、「割安の高配当新興株を発掘しひたすら買い下がる投資手法でゼロから数億円の資産を築き上げた」という個人投資家です。

「唯一の投資基準は配当利回りかな。目をつけていた銘柄が安くなったときに買い、とにかく買い下がる。それである程度上がったら今度は売っていく。売った資金でまた安い株を買うだよ」という説明に佐藤氏の投資方法が要約されています(※1)。

配当利回りというのは、相当量の情報を凝縮したすごい指標であると当室は解釈しており、従って投資指標としてはかなり濃密で手堅くかつ確度の高い指標であるという考えです。

すなわち、一つの側面には、投資先企業の情報が凝縮されており、もう一つの側面には、株式市場の情報が集約されています。

企業側から言えば、配当額にはその企業の経営判断が相当量織り込まれています。たとえば、赤字に転落しても配当額が維持されるとするならば、会社側の業績見通しは強気なわけですから、多くの場合、当面心配はいらないので「投資可」と解釈することができます。一株利益のどの程度の割合を配当しているのかによって、株主を重視しているのかそうではないのかということも分かります。それ以外にも、キャッシュフロー状況や財務内容、設備投資計画や事業成長見通しなど、様々な経営計数や指標をすべて検討してからでないと、安易に配当額を決めるということはできませんので、たとえ例年と同額だとしても、企業側が相当思案検討した結果としてその額に落ち着いているというのが普通です。

また一方で、「ダウの犬投資法」で検証しましたように、配当利回りは、株価が割安であるかどうかの判断指標となります。仮に配当額が一定であるとした場合に、なんらかの原因で株価が低迷していれば、当然ながら配当利回りは高くなりますし、逆に株価が上昇すれば配当利回りは低下しますので、割安株の発掘の指標として使うことができます。しかも単純・明快です。

そうした二つの意味で、配当利回りというのは、かなり優れた投資指標であると思います。指標としての優位点を大きくまとめると、①内部情報に裏づけされた業績予想指標、②株価割安度の判断指標、ということができます。

後は投資の可否を判断するべき利回りの基準値をいくらに設定するのか、ということですが、当室としては、4~5%以上、と見ています。成長性の見込めるものが4%台で、その他は5%以上は欲しいところです。このレベルであるならば、たとえ塩漬けで長期的に保有していたとしても、損した気分にはならないものと思います。

◆(※1)「あなたの隣の大株主――配当利回りしか見ない、佐藤兼義氏、買値の半値でも心配せず。」(日経ヴェリタス 2009/6/21 2ページより)