早めに動くのがバフェット氏/株から国債に乗り換え中か

バフェット氏の動きというのは、マーケットよりも一足も二足も早いのが特徴です。運用する資金額が大きいため、市場と同じ動きをしますと、市場の上下動を増幅し、思うように動けないからだ思います。このため、自然に「頭としっぽはくれてやれ」という格言通りの動きとならざるを得ないわけです。それゆえ、強力な先読みの能力が必要となります。

9月10日のサーチナの記事に、ニューヨークタイムズの関連記事として、バフェット氏の持ち株処分の記事が掲載されていましたので、以下にポイント部分を引用・掲載しておきますが、本人のコメントや理由付けは載っておりません。事実関係として、持ち株を処分して社債や国債に乗り換えているとされています。

バフェット氏は米国債はバブルだという発言をしていたはずですから、株式から国債への乗り換えというのは、何やら奇異な感じを受けてしまいます。7月10日には、「最近少し買い増ししたのが、ウェルス・ファーゴ(銀行、保険、消費者金融業務などを行う総合金融機関)。株価は3月の安値から3倍以上反発しました。他にはジョンソン&ジョンソン(製薬会社)や、バーリントン・ノーザン・サンタフェ(鉄道・輸送会社)など。いずれも以前からの保有比率上位銘柄を着実に買い増ししているようです」(サーチナ)と報道されていたばかりです。

その後のバフェット氏の発言としては、8月19日付のニューヨーク・タイムズ紙に掲載された「米国は、巨額の債務が今後引き起こす可能性のある『副作用』への取り組みを重視すべき」という発言で、「米国の公的債務の対GDP比率は、毎月1%のペースで膨らんでいる」とも指摘し、債務比率は、昨年度の41%から、今年度は最大56%に達する、との可能性を示唆した、とされています(※1)。

ロイターではこの点がもう少し具体的に、「同氏は、米連邦準備理事会(FRB)およびブッシュ・オバマ両政権が数兆ドルもの資金を金融システムに投入したことを明確に評価するとした一方、連邦政府資金が湯水のように使われたことで多額の債務がもたらされ、今後インフレにつながる恐れがあると指摘した」(※2)と掲載されており、つまるところバフェット氏の最近の心配というのはインフレであるということが分かります。

しかしながら、インフレになるならば、金利は上昇しますから、債券価格は下落するわけで、株式よりは債券の方がインフレ時には不利なはずです。従いまして、9月に入ってからの株から国債へというバフェット氏の動きは、インフレ対策ではなくて、むしろ経済情勢の悪化を見越したポジション調整だと単純に解釈する方がいいように思います。

もちろん、バフェット氏が株を売却しているからといっても、これから株価が下落するという保障はありませんので、自己判断の世界となります。当室としては、NYダウの大きな下落は予想していませんが、ボックス圏としての調整はあるものと思います。日経平均の方は民主党の政策次第ですので、引き続き民主党首脳陣の発言を注視しておく必要があります。

◆「バフェット氏“憂鬱始まる”?株式投資からじわり撤退-中国  2009/09/10(木) 12:16
8日付ニューヨークタイムズがウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ社が持ち株の売却を積極的に進めていると報じたことが、中国でも注目されている。「米国は景気が回復しつつあるというが、バフェット氏は米国の株式市場に対する懸念を膨らませているようだ」(新快報)などと指摘している。
ここ数カ月、今のところバフェット氏から株式投資からの撤退、あるいは悲観論の発言はない。しかしバークシャー・ハサウェイ社が持ち株の整理を進めていることは間違いないようだ。第2四半期、バ社の株式売却は買い入れをはるかに上回る規模で行われており、買い入れ額は同社のここ5年以上来最低水準だという。株式投資を減少させ、現在では社債や国債などに注力している模様だ。」
(サーチナのHPより) http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0910&f=business_0910_067.shtml

◆(※1)サーチナ 09/08/20 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0820&f=business_0820_073.shtml

◆「★米著名投資家のウォーレン・バフェット氏、金融危機の真っ只中に巨額の投資を断行したものの、同氏が率いるバークシャー・ハザウェイは現在、株式の購入を縮小する一方で、社債や国債の購入を拡大。」
(「ニューヨーク・タイムズ紙早版ヘッドライン(8日付)」 09/09/08 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities2/idJPnJS853995120090908

◆(※2)「[ワシントン 19日 ロイター] 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、米経済が破たんを回避し、回復に向け緩やかに進んでいるもようだが、その一方で、議会は、米国の購買力を脅かす巨額の債務に今こそ取り組むべき、との考えを示した。19日付ニューヨーク・タイムズ紙に意見が掲載された。
同氏は、米連邦準備理事会(FRB)およびブッシュ・オバマ両政権が数兆ドルもの資金を金融システムに投入したことを明確に評価するとした一方、連邦政府資金が湯水のように使われたことで多額の債務がもたらされ、今後インフレにつながる恐れがあると指摘した。
「米国経済は、現時点で緊急治療室から出て、回復に向けゆっくりとした道のりをたどっているもようだが、金融的な治療薬は引き続き大量に投与されており、まもなく、われわれはその副作用に向き合う必要が生じるだろう。現時点でそうした副作用の大半は目に見えておらず、実際のところ長期にわたり潜伏を続ける可能性もある。しかしその脅威は金融危機そのものの脅威と同じくらい不吉かもしれない」と語った。(・・・中略・・・)
さらに、経済が回復しても、赤字を埋めるだけの十分な歳入は得られないだろうとし、税金や歳出の部分を変えていくことが求められるとの見方を示した。回復に弾みがつけば、議会は対GDPの債務比率がこれ以上上昇するのを食い止め、債務の伸びをリソースの伸びと同水準に抑制しなければならないとの考えを示した。」
(「UPDATE1: バフェット氏、歯止めなき米債務は経済への脅威と警告=NYT紙」09/08/20ロイター)
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnJT853284520090819