「資産運用」の概念とアクティブ投信の本来像

■当室の資産運用の概念
「資産運用」という言葉の概念、解釈については、結構バリエーションがあるように思いますが、結局のところ「利殖活動」のことであり、「目標としている一定期間の間に資産総額が増加している」ということが必要です。タンス預金や当座預金のように利息なしで年間残高増加額がプラスマイナス・ゼロであったり、あるいは株価下落などで投資残高が減少している場合には、資産運用とは言えません。もちろん、分散投資を実行している場合には、個別の対象資産によってはマイナス利回りとなってしまうものも存在しますから、「資産全体」として残高が増加していれば、増加率の差はあっても「資産運用」ができていることとなります。

資産運用の定義としては、「自身の持つ資産を貯蓄・投資し、効率的に資産を増やしていくこと」(ウィキペディアによる)、という定義が分かり易く、「資産運用≒投資ポートフォリオ構築」という解釈でもいいと思います。

「ウォール街のランダムウォーカー」の著者であるマルキール博士によれば、「投資」の定義として次のように説明されています。

(1)配当や金利、賃貸料など、かなり確実性の高い収入の形で利益を上げること(=「インカムゲイン目的投資」)
(2)長期間保有して値上がり益を得ることを目的とした金融資産の購入(=「キャピタルゲイン目的投資」)

そして、①期間的投資リターンの明確な意識と、②リターンが合理的に予測できること、の2点、言い換えれば、「予測計算された期間利回り目標の設定」が、投資の前提だとしています。

同博士は、株式投資などの「キャピタルゲイン目的投資」を比較的メインとして念頭に置いているため、プラスの年もあれば、マイナスの年もあるという考え方が背景にあって、上記(2)のように「長期間保有して値上がり益を得ることを」と表現しているものと考えられます。

しかしながら、ここから先は好みの問題となりますが、たとえばインデックス投信主体の「キャピタルゲイン目的投資」は不確定要素が強いため、当室の「資産運用」の概念は、上記(1)「インカムゲイン目的投資」に近いものであり、マイナス利回りの年があるようでは不本意で、一歩譲っても、2年以上連続でマイナス利回りとなるようでは「資産運用」とは言えないと考えています。

すなわち、「毎年のプラスの利回り確保」が当室の「資産運用」の定義であり、また基本概念です。そして、その利回り目標は、これまで検討し、説明しております通り、「8%以上」という設定にしています。

■プロによる株の買いっ放しは運用放棄に等しい
以下、自戒を込めての話となりますが、過去の当室の投資運用実績に関してよくよく考えて見ますと、何年かにわたってマイナス運用となるような事態が発生する原因というのは、「投資」と称して株などの対象資産を買いっ放しにすることにあるように思います。仮に長期保有に徹したとしても、必ずしも投資対象がプラス成長して増価するとは限りません。

たとえば個別株ですと、当室でも過去にボロ株の長期保有とそのナンピン買い下がりとで、金融資産残高の1/4に相当する大損失を出してしまった経験があります。そのボロ株は結局のところ上場廃止で一円も戻らずに全損でした。(しかしながら蛇足説明しますと、それに懲りて取りあえず全額キャッシュ・ポジションとし、次の投資対象をしばらく思案している最中にリーマンショックの暴落が発生したため、当室はリーマンショックでの被害は受けておりません。「人間万事塞翁が馬」といったところでしょう。)

あるいはまた個別株ではなくて、分散投資された投資信託でも油断はできません。当室でイメージしているアクティブ投信での典型的な失敗例は、「ノムラ日本株戦略ファンド」です。

「ノムラ日本株戦略ファンド」は、名前の通り「戦略」的アクティブ運用投信でありながら、チャートを見ますと10年来TOPIXとほぼ完全連動しているのですから、これではアクティブ投信とは名ばかりで、われわれ個人投資家がインデックス・ファンドをドルコスト平均購入しつつ、世界経済の成長を期待して、意図的に相場お任せで長年継続ホールドしておくのと大差ありません。

運用のプロとしては、たとえばマクロ経済的に株価の下落見通しが立つのであれば、相場任せでTOPIXと一緒に沈没してしまうのではなくて、現金ポジションを増やすなり、デリバティブを利用するなりして資産減価を防止する相応の作戦があるはずですし、また逆に上昇見通しの場合は全面ロング・ポジションにして稼ぐといったことは十分可能なはずです。

アクティブ投信に対しては、そうしたプロとしての戦略的運用による毎年のプラス利回りをこそ期待していますが、実際には、期待される「本物」のアクティブ運用をほとんど全くせずに株を買いっ放し(=運用放棄)にしてインデックス運用をしているとしか思えないアクティブ投信が散見されます。

■むしろヘッジ・ファンドこそ「アクティブ運用」
その点では、ソロスやポールソンの運用するヘッジ・ファンドの方が、一般のアクティブ投信よりも何百倍も対応能力が上であり、かつマクロ経済的運用所見も確かだと言わざるを得ませんし、何よりも彼らは株の買いっ放しではなくて、われわれが期待している経済情勢を読んだ「アクティブ・ファンド」本来の動きを見事に具現しています。事実、当室としても多数のヒントをヘッジ・ファンドの動向から得ているのが本当のところです。

■今回のまとめ
①資産運用は、一定の目標期間の間に資産額全体が増加していなければ、本当の運用とは言えない。
②アクティブ投信は、現金対株式の適切なポジション調整と、株価の下落防止対応などをマクロ的経済動向予測に基づいて実施し、インデックス指数に勝つべく作戦展開をするべきもの。
③既存の一般アクティブ投信ではそれが十分にはできておらず、むしろヘッジ・ファンドの方が市場対応技能が上である。

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               (ノムラ日本株戦略ファンド10年チャート:ヤフーファイナンスより引用)
◆ノムラ日本株戦略ファンド・ファンドの特色・・・ファミリーファンド方式で運用。日本株式を主要投資対象とし、「大中型バリュー」「大中型グロース」「小型ブレンド」それぞれの投資スタイルに応じた専門の運用チームが個別銘柄の選定、投資比率の決定等を行う。スタイル・アロケーションにより、各投資スタイルへの資産配分比率を適宜決定。ベンチマークはTOPIX。3、9月決算。(ヤフーファイナンスより引用)