毎月分配型REIT投信の実験口座による運用実績結果

当室としましては、毎年運用資産が適度に増加していれば、それで十分「資産運用」ができているわけで、それ以上の事柄は説明しても仕方のないことだとは思いますが、中には繰り返し毎月分配型投信をダメ商品の典型のように説明するエコノミストがいたり、あるいは11月18日付の日経新聞が心配したり(※1)もしていますので、ここで実績値だけを提示しておきたいと思います。

当室は金融資産の1/4を楽天証券の口座に投入しておりまして、この口座では純粋に毎月分配型REIT投信のみを保有しています。毎月分配型REIT投信以外の取引は行っておりませんので、いわば、毎月分配型REIT投信に関する当室の運用実験口座です。

したがいまして、論より証拠、この口座の運用資産残高が、1年間でどの程度増加しているかを調査すれば、自ずと毎月分配型REIT投信に投資した場合の損得や有利不利の度合いが、総合的に正確に判明します。つまり、運用残高の年度間総額比較なので、蛸足配当だの、信託報酬が割高だの、毎月の分配金にかかる税金が損だのという議論は捨象できてしまいます。

ただし、残念なことに、まだ実験を開始してから2年程度であるため、期間的には長期的観点での検証はできませんので、取りあえず2009年10月末から、2010年10月末までの運用実績値を提示しておくこととします。

ちなみに、この口座で保有しているのは次の2銘柄だけです。

①DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)(オーナーズ・インカム)
②ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)

また、両者の保有残高構成は、概ね6:4となっています。

そこで早速、残高を調べて見ましたところ、この口座の2009年10月末の残高を100とし、資金移動による増減を除外して、2010年10月末の口座残高は次の通りでした。

■2009年10月末残高・・・100
■2010年10月末残高・・・108.49(ただし、含み損益を含む。また若干のMRFも存在)

つまり、1年間の投資利回りは、約8.5%ということになります。

この運用結果をどのように解釈するかは、読者諸賢の判断次第ということになりますが、当該証券口座は、純粋に毎月分配型REIT投信専用口座であって、他の取引による損益が排除されていることと、積立入金(ほんの少額)による追加投資はあるものの、基本的に投資したまま放置に近い状態で1年間経過していることから、上記の投資実績は、すなわち純粋に毎月分配型REIT投信の運用実績に他ならず、様々な運用理論や憶測、理屈、ポリシー等の入り込む余地はゼロと考えられます。

年率8.5%の投資利回りが稼得できていれば、当室としては十分な成果であり、引き続き基準価格(※2)の推移を十分に注視しながら、当分の間は、毎月分配型REIT投信主体の運用を継続する方針でいます。

ところで、株価に「配当落ち」が存在するように、分配金が多い運用資産の価格にも「分配金落ち」が存在するのは自然なことだと思います。毎月分配型リート投信についてもそれは当然当てはまりますので、分配金が多めでしかも毎月分配がある以上は投信基準価格が停滞傾向にあるのは或る程度やむを得ない商品性質であって、むしろ基準価格がぐいぐい上昇することを想定する方に無理があります。従いまして、基準価格が次第に下落して行くのはダメですが、投資時点維持くらいの水準で推移するのであれば、当室は容認する考えでおります。

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◆(※1)投信の分配金、競争過熱--過去の運用益・元本取り崩し、無理な分配、持続困難。(2010/11/18, 日本経済新聞 朝刊より)
「上昇が続く投信の分配金利回りだが、投資家は利回りがあくまで過去の分配実績から計算されている点に注意する必要がある。「将来の確定した利益と誤解する投資家も多いが、利回りは運用成績次第で変動する。販売会社はその点をしっかり顧客に伝えるべきだ」とファイナンシャルプランナーの福田啓太氏は話す。
現在の高利回りが「実力以上」の分配という見方もある。投信評価会社モーニングスターが、1年以上の運用実績があり、分配金利回りが高い毎月分配型投信20本(15日時点)を調べたところ、9割に当たる18本が過去1年の運用収益を上回る分配金を支払っている。運用損益がマイナスなのに、年率で20%に迫る分配金利回りを出す投信も4本あった。
運用益以上の分配金を出している投信は「貯金」に当たる過去の運用益を取り崩すか、投資家に投資元本の一部を払い戻す「特別分配金」で分配を実施している。特別分配金の場合は分配を受け取るごとに元本が目減りしてしまう。
個人の間では分配金利回りの高さで購入する投信を選ぶ傾向が強まっている。だが投信の無理な分配は長期間は持続できそうになく、「現在の投信の高分配競争は限界に近づいている」(大手証券の投信販売担当者)との指摘も出ている。」
(以上引用)

◆(※2)投資信託の「基準価格」と「基準価額」との差異については、証券用語としての正確性の優劣を梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー氏が気にされていましたが、当室で最近確認した銀行研修社刊の「証券用語辞典第五版」(H22.6.23刊)では、次の説明がなされています。なお、同辞典では「基準価額」という項目立て自体が無く、「基準価格」という項目立てのみとなっています。

「基準価格(投資信託の)  投資信託の運用成果を端的に示すのが個々のファンドの基準価格である(法令・約款上では基準価額という)。これは、信託財産の中に含まれているすべての資産を毎日の時価で評価し、利息や配当などの収入を加えたもの(資産総額)から信託財産の運用に必要な諸費用、未払金を控除した信託財産全体の時価、すなわち純資産総額(投資信託の)を受益証券(投資信託の)の残存総口数で割った1口(1口1円の場合は1万口、ないし1,000口)当りの財産価値を示すものである。」(以上引用)

当室としては、ややグレー見解ではありますが、日々の投信取引価格的意味合いとして使用するのであれば、「基準価格」という用語で良いのではないかと考えています。

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               (DIAMJ-REITオープン(毎月決算コース):ヤフーファイナンスより引用)