毎月分配型投信への批判は、「分配はないほうが絶対トク」という観点だけでは不十分

■たとえ毎月分配という商品性が不利でも成果が上がれば良い
もうこれ以上は書かないつもりでしたが、今週の週刊ダイヤモンドが「お金入門特集」として掲載していました投資信託に関する解説記事部分で、「『高い毎月分配金』が人気も分配はないほうが絶対トク」というテーマがありましたので、今一度誤解のないように当室の立場を説明しておきたいと思います(※1)。

このダイヤモンドの記事が主張したいことの大筋は、次の事柄です。

「分配しない場合の複利運用と、毎月分配して10%税引き後の手取りを再投資して複利運用した場合とを比較してみると、明らかに毎月分配税引き後再投資複利運用のほうが損である」

当該ダイヤモンド記事は、毎月分配型投信を購入する一般投資家は、「この程度のことも分からないのか」といわんばかりに解説しているわけですが、分配金なしの税引きなし複利運用と、分配金ありの税引き後複利運用とを比較すれば、それは当然ながら税引き後複利が税金分だけ不利なわけで、その程度の事柄は、わざわざグラフを持ち出して説明してもらうまでもありません。

そうした目先の損得勘定の話ではなくて、本質的に大事なのは、当ブログで数回前から説明して来ている通り、①トータル運用として成果がどうなのか、つまり毎月分配型投信に投下した元金(100)が1年後にどの程度「総額で」増加(100+α)しているのかということと、②その年利回り(α%)が目標値(当室の場合は8%)よりも上かどうか、ということです。

仮に商品設計上不利とされる毎月分配型投信であっても、各投資家が設定している目標利回りを上回る成果が現れているとするならば、それはそれで運用としては十分な成果です。そのことにこそ第一に注目するのが本来の投資家であるはずで、有利だの不利だのと商品性にケチを付けるのは投資家としての本質的行動ではありません。

論より証拠ということで、2回前のブログでは、当室の毎月分配型リート投信実験口座の年間残高増加率が約8.5%であったことを披露し、ここ1年間では毎月分配型リート投信でまずまずの成果が得られていることを示しました。

■投資成果が上がれば運用対象は何でも良い
つまるところ、1年経過後の最終投資利回りが目標以上となるのであれば、投資対象は何でも良く、税引き前後の複利運用の有利不利などの商品性に関する理屈はあまり関係ありません。

税引き後再投資を行うがゆえに利回りがマイナスとなっているのであれば批判されても仕方の無いところですが、現実には税引き後再投資複利運用でも8%を超える年利回りが出ているのですから、「税引き後複利運用が不利だから毎月分配型投信はダメ」という商品性のみに注目した単純な主張は、運用の本質を少し外れた単なる思い込み、単なる論難に過ぎません。

本当にダメなのは、税引き前複利運用であろうがどうしようが、各投資家が設定する目標利回りに到達しない成績不振の投信だけ、と当室では考えます。税引き前後の有利不利などの目先の損得に捉われてしまいますと、本当は有利かも知れないせっかくの投資対象を狭めてしまいますので、そこにこそ惑わされないようにする注意が必要です。

その点では、同じダイヤモンド社の「ダイヤモンド・マネー 2011年新春号(12月1日発売)」の方が企画内容としては上位で、十分に参考となります。

「販社で聞く“見せかけ”の利回りに騙されるな! 毎月分配型ファンドの「本当の利回り」大公開!」ということで、毎月分配型投信の2年間の実質利回りが掲載されています。ここでも、当室が運用の主力としてる毎月分配型リート投信は、現在のところは実質利回りも好調なようですので、基準価格を注視しつつ当面は現状の持ち高維持で支障ないものと思われます。

それにしても、フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)のここ1年間の実質利回りが19.9%というのには驚きました。基準価額も値上がりしてしまったようです。

■様々な理論はあるが、実績には敵わない(2010/12/10追記)
理論、理屈は様々なものが存在しますし、投資理論にしても発展途上であるからには、あるいはまた前提条件や仮定が存在するからには、各人のパラダイムやポリシー、価値観、条件設定次第では如何様にでも調節出来てしまう部分がどうしても存在します。しかしながら、各投資家の運用残高実績の推移は厳然たる眼前の事実であり、手心の加えようがありません。毎年1年間で運用残高が増加していれば運用成功であり、それが目標利回りを超えていれば大成功です。

資産の運用対象商品は各投資家の価値観や好み、投資方針に従って選考・選別すれば十分であり、当室のようにキャッシュフローや運用利回りを重視する投資家はREITや配当利回りが高めの株式、毎月分配型投信などでの運用が中心となりましょうし、中長期的な世界経済の成長果実を狙う投資家はインデックス・ファンド中心の投資となりましょう。

その運用手法的な優劣は、以前から述べております通り、中長期的な運用実績結果の優劣でもって計測、判断すれば十分であり、かつまたそれ以外は判断が困難であると思います。限られた知識や情報でもって運用する前から商品性の優劣や運用理論を仰々しく述べ立てて一部の商品を論難しても建設的な意味合いは大きくはなく、それよりもむしろ投資対象商品の性格や投資理論の長所短所、そして現実の経済情勢とを十分できるところまで把握した上で今後の市場動向をマクロ的に予測し、運用方針を決定して資金を投下することこそ肝要と当室は考えます。

バフェットやソロス、ポールソンは多分インデックス・ファンドには投資しませんでしょうし、結構自信家であるはずのマルキール博士の著書での論考内容がいささか謙虚ぎみなのも、そうしたインデックス指数に永年来勝ち続けているビッグネームの投資家たちが現に存在するからであろうと当室では推測しています。

ひるがえって、当室の運用実績についても、1-2年程度の短期的計測実績だけではなくて、10年単位での計測実績でも胸を張れるようにしたいものです。各エコノミストや評論家、一部のブロガーの方々も、理屈や理論の主張はさておき、ご自身の理論に基づいたご自身の手元資金による運用ポートフォリオを組まれていることでしょうから、その毎年の運用実績結果を一部なりともご披露いただいて、その実績に基づいた議論を深めていただけると面白くなると思いますが、いかがでしょうか。

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◆(※1)週刊ダイヤモンド 2010/12/11