投資信託の手数料と運用成績の関係/日本経済新聞による

日本経済新聞の12月28日付けの夕刊に、投資信託の手数料と運用成績の関係を要領よくまとめた紹介記事が掲載されていました(※1)。

[記事の要点]
①アクティブ(積極運用)型投信の信託報酬は、日本株なら平均で年に1・5%前後。一方、野村アセットマネジメントの代表的なETFなら約0・12%ですむ。

②コスト差は長期的には運用成績に大きな差をもたらす。アクティブ型投信は成績が市場平均を上回ることもあるが、こうした大きなコスト差を取り返すのは難しく、長期ではインデックス型に負けがちであることが、国内外で実証されている。

③ETFで個人に特に歓迎されたのは、今年東証に上場された「上場MSCIコクサイ株」と「上場MSCIエマージング株」。「コクサイ」は日本を除く先進国に、「エマージング」は新興国のそれぞれ二十数カ国の株に幅広く投資できる。信託報酬はともに年0・26%。

④投信では信託報酬の半分弱が、「代行手数料」として、その投信を販売した金融機関にずっと入り続けるのに対して、仕組み上、ETFには代行手数料が発生しないことが低コストの大きな要因。

⑤ETFには難点もある。例えば一定金額ずつ積み立てる投資が原則的にできない。これも株式と同じだ。このため積み立てしたい期間中は通常のインデックス型投信を使い、ある程度まとまった金額になれば運用コストの低いETFに変える「リレー投資」をしている個人投資家も多い。

⑥注意点はETFの市場価格は、実質的な価値である基準価格からかい離することがあること。特に海外資産が対象の場合はかい離が大きくなることがある。

やはり一番の注意点は、ETFは信託報酬手数料は割安である一方で、ETFの市場価格は、実質的な価値である基準価額から乖離している場合があることでしょう。

なお、その乖離状況については、東証のホームページにて、「ETFの基準価額と取引価格の乖離状況」の一覧表が掲載されています。→ http://www.tse.or.jp/rules/etf/etfinfo.html
結構乖離率の大きいものもありますので、該当するETFをお持ちの方はご留意ください。当ブログの末尾に1ページだけ掲載しておきました(※2)。

(以下引用)
◆(※1)上場投信「分散」に一役--積極型より低コスト、株式感覚で取引可能(おさいふナビ) (2010/12/28, 日本経済新聞 夕刊)

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積み立ては原則できず
日銀が金融緩和の一策として買い取りを始めたことで改めて注目の集まる上場投資信託(ETF)。日経平均株価など様々な指数に連動して動くインデックス(指数連動)型投信の一種で、コストの低さで知られる。うまく使えば個人の分散投資の有力な道具になる。
12月初旬に開かれた投資信託協会と報道機関の意見交換会。「ETFは銀行ではまだ取り扱っていないし、大手証券会社も販売に熱心ではないことが多い」。そんな報道側からの指摘に対し、投信協会の幹部からは「手数料(コスト)が低いことが、特に対面型の金融機関ではあまり積極的に売られていない要因の一つかも」との声が漏れた。
金融機関の利点が少ないというのは、裏を返せば投資家に有利ということ。まず図Aで、投信を持っている間ずっと差し引かれ続ける運用コスト(信託報酬)の違いをみてみよう。
運用の専門家が組み入れ銘柄を工夫するなどして市場平均を上回る成績を目指すアクティブ(積極運用)型投信の信託報酬は、日本株なら平均で年に1・5%前後。一方、野村アセットマネジメントの代表的なETFなら約0・12%ですむ。
コスト差は長期的には運用成績に大きな差をもたらす。グラフBは100万円を年率5%で運用できた場合。コストがゼロなら20年後に100万円は約265万円になる。しかしアクティブ型投信で1・5%の信託報酬を払い続けると、実質利回りは年3・5%に落ちるので、20年後に約200万円にしかならない。
しかしETFでコストを0・12%に抑えて実質年に4・88%で運用できれば、20年後には約260万円だ。もちろんアクティブ型投信は成績が市場平均を上回ることもあるが、こうした大きなコスト差を取り返すのは難しく、長期ではインデックス型に負けがちであることが、国内外で実証されている。
投資対象広がる
ETFで投資できる対象は国内外の株や債券、金などにも大きく広がっている。個人に特に歓迎されたのは、今年東証に上場された「上場MSCIコクサイ株」と「上場MSCIエマージング株」。「コクサイ」は日本を除く先進国に、「エマージング」は新興国のそれぞれ二十数カ国の株に幅広く投資できる。
信託報酬はともに年0・26%。新興国に投資するアクティブ型投信は年に1%台後半の信託報酬がかかるものが多かったので、投資コストは劇的に下がった。「個人からの要望が特に強い商品だった」(日興アセットマネジメントの今井幸英ETFセンター長)
国内の証券取引所に上場されているこうした「国内ETF」は原則どこの証券会社でも売買可能。一方で海外市場で上場されている「海外ETF」も楽天証券、SBI証券、マネックス証券などインターネット証券で数多く取り扱われている。例えば楽天では130弱の海外ETFが買える。
なぜETFは低コストなのか。通常の投信では信託報酬の半分弱が、その投信を販売した金融機関にずっと入り続ける(図A)。商品説明などの手間に対して支払われるもので「代行手数料」といわれる。「仕組み上、ETFには代行手数料が発生しないことが低コストの大きな要因」(日興アセットの今井さん)
実質とかい離も
運用会社の取り分も通常の投信より低い。コスト競争が激しい商品なので意識的に低く抑えている側面もあるようだ。
こうした仕組みにできたのは、ETFは組み入れ銘柄をパッケージにまとめて、あたかも1つの銘柄のようにしてから上場された「株式のような投信」だからだ。株を買ったときに販売会社に対して保有期間中手数料を支払い続けることはないのと同じだ。
「株式のような投信」と考えると、通常の非上場投信とは異なるETFの様々な特徴も分かりやすくなる(表C)。通常の非上場の投信は、1日1回だけ決まる基準価格(資産の時価を口数で割って算出)で売買する。基準価格は基本的には申し込んだ日の終値で計算されるので、申し込んだ時点ではいくらで買えるのか正確には分からない。
一方、ETFは上場しているので、株式と同じように取引時間中に変化する市場価格で売買される。取引時間中に日経平均が急落し始めた場合なども、通常の投信ならその日の終値でしか売れないが、ETFなら下がり切る前に市場で売ることも可能なわけだ。
ETFには難点もある。例えば一定金額ずつ積み立てる投資が原則的にできない。これも株式と同じだ。このため積み立てしたい期間中は通常のインデックス型投信を使い、ある程度まとまった金額になれば運用コストの低いETFに変える「リレー投資」をしている個人投資家も多い。
注意点はETFの市場価格は、実質的な価値である基準価格からかい離することがあること。特に海外資産が対象の場合はかい離が大きくなることがある。
「かい離の原因が、海外市場が閉まった後の経済情勢の変化を反映したものであることもある」(野村アセットマネジメントの田畑邦一シニア・マネージャー)が、単に人気の過熱で割高になっていることもある。
そうした時期に買えば、運用コストの小ささという利点が吹き飛んでしまいかねない。かい離の状況は証券取引所などのサイト(東証の場合「ETFって何?」のページの下部)で確認できる。
(編集委員 田村正之)
(以上引用)
◆(※2)「ETFの基準価額と取引価格の乖離状況」の一覧表
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               (東証ホームページより/2010.12.30付)