世界経済には三つの大きな問題が存在する

エコノミストとしての見識を当室が評価している植草元教授のブログは、必要に応じて随時閲覧していますが、最近は経済的所見よりも政治的発言の割合が多く、たまにしか経済面のコメントがなくて残念です。しかしながら、経済面のコメントがある場合は概ね的確です。

8月5日の同氏のブログ記事では、標題の通り、世界経済の次の3つの問題を指摘しています。

①欧州のギリシャを始めとする南欧諸国の財政危機
②米国の債務上限引上げ法案と抱き合わせの超緊縮財政政策強制
③日本の大震災の復旧・復興対策財源19兆円のうち、10兆円を復興増税で賄う政府方針

日本の場合は、あまり騒ぎませんが、復興対策の陰に増税が隠れていますので、復興需要の側だけに注目していますと判断を誤ります。復興需要は期待できるとしても、これまでと今後の増税効果を加味したトータルではマイナスかも知れません。

以下、植草元教授のブログより要点を引用しておきたいと思います。なお、当室とは見解の異なる部分もありますので、その部分は省略します。

[以下、引用]
◆NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり(2011年8月 5日 (金) 植草一秀の『知られざる真実』より抜粋、一部修正)
「世界経済には三つの大きな問題が存在する。欧州の財政危機、米国の債務残高上限引上げ、そして日本の増税問題である。

ギリシャの財政危機では、EUによる資金支援が決定されたが、民間金融機関にも負担を求めたため、ギリシャ国債の一部が債務不履行に陥ったとの評価が格付け機関からなされている。
ギリシャ以外のスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどの財政危機も深刻であり、これがユーロ不安をもたらすとともに、世界経済の不安要因のひとつになっている。

日本では政府が大震災の復旧・復興対策の規模を今後5年間で19兆円とし、その財源のうち、10兆円を復興増税で賄う意向が示された。経済が危機に直面するなかでの10兆円増税問題が重くのしかかっている。

米国の問題は債務上限引上げ法案とともに、超緊縮財政政策が米国に強制されるとの図式が生まれたことである。この超緊縮財政政策こそ、米国株価急落の主要原因である。

米国の政策対応は、日本の11年遅れの対応である。2000年から2003年にかけての超緊縮財政政策が日本経済を破壊したように、このまま進めば、2011年から2014年までの超緊縮財政政策が米国経済を破壊し、世界の金融市場に大混乱を引き起こす可能性が高い。

1996年に橋本政権が消費税増税を含む超緊縮財政政策の方針を打ち出してから日本株価は暴落に転じていった。97-98年と株価は暴落し、経済は急降下、その延長上に金融危機が発生した。
 
この危機を打開したのは小渕政権だった。財政金融政策を総動員し、さらに金融機関の資本増強策を実行した。この積極政策が功を奏して日経平均株価は2000年に2万円を回復、経済・金融市場は明確な改善を示した。
 
ところが、小渕元首相が脳梗塞で倒れられて、状況が急変した。後継政権となった森・小泉政権は財務省路線に完全に乗って、超緊縮財政運営を開始したのである。
 
その結果、2万円の株価は7600円に暴落し、経済は急降下、金融不安が再び広がったのだ。」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/ny-3ccd.html
[以上 引用]
画像
(日経平均2011.08.05/SBI証券より引用)
画像
(NYダウ2011.08.05/SBI証券より引用)