欧州通貨同盟、崩壊の瀬戸際

ユーロについては、詳しく研究していないので、大雑把な認識しかありませんが、通貨統合だけでは不十分で、財政的統合の欠落している点が、経済危機増幅の本質であるようです。しかしながら、財政統合はまだ当分の間、構築が難しそうな印象で、したがって欧州経済危機も当面継続しそうな感じです(※1)。

金融政策面は、政治からの中央銀行の独立性確保を勘案すれば、各国中央政権とは無関係と言えなくもなく、分離統合することも比較的容易であったかも知れませんが、財政面は各国政権主体の根幹部分ですから、簡単には統合できないということでしょう。財政面を統合すれば、欧州合衆国となり、EU参加各国の政治的独立性は制限を受けてしまいます。

とは言え、財政と金融は経済政策運営の両輪ですので、いくらドイツが渋っても、マーケットの圧力でいつかは統合せざるを得ないでしょうし、当面は次善の策としての欧州共同債の発行でワンステップ駒を進め、お茶を濁す以外にはないものと思います。ソロス氏の言う通りです。

経済政策は、「金融政策だけで何とかなる」と考えるのは間違いで、事実、経済危機に直面したユーロの経済的困惑がそのことを如実に示しています。当ブログの主張通り、マンデル・フレミングモデルの想定が特殊だということも、ユーロの現実を直視すれば明らかでしょう。


[以下、引用]
◆(※1)欧州通貨同盟、崩壊の瀬戸際 独、共同債発行めぐり苦渋の選択 (2011.8.27 海外情勢ニュース - SankeiBiz(サンケイビズ):総合経済情報サイト )

ギリシャのユーロ圏離脱という犠牲を払ってユーロ圏を存続させるか、それを避けるためにユーロ圏共同債の発行に同意するか、ドイツが二者択一を迫られている。欧州通貨同盟は債務危機によって崩壊の瀬戸際に追い込まれている。

ウェストLBの債券ストラテジスト、マイケル・レスター氏(ロンドン在勤)は「ユーロ圏を現在の形で存続させるべきかどうか決断する必要がある。市場のセンチメント悪化は、政治家、特にドイツの政治家にその点をはっきりと訴えている」と分析。「存続させるべきだという答えなら、ユーロ圏共同債の構想こそ実行可能な唯一の選択肢だ」と話す。

ドイツのメルケル首相は、ユーロ圏共同債の発行を拒否する姿勢を崩していない。高債務国は現在よりも低い金利で資金を調達できるようになるが、ドイツの資金調達コストは年間470億ユーロ(約5兆2400億円)増えるとドイツのIfo経済研究所は試算している。

ギリシャ第2次支援策への拠出でフィンランドが担保の提供を要求し、これがギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)の引き金になるとの不安が台頭。ギリシャ10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)はユーロ導入後の最高水準を更新し、銀行の保有する国債の損失を懸念し、金融債の保証コストも今週、過去最高を記録した。
英HSBCホールディングスの債券調査グローバル責任者、スティーブン・メージャー氏は「ユーロ圏の崩壊の脅威が共同債プロジェクトの推進を政策担当者に促す動機になる」と予測。「十分な時間をかけて正しい情報と知識を与えれば、これがドイツ再統一によく似ており、恩恵と犠牲の両面があることに人々は気づくのではないか」と主張する。

米著名投資家のジョージ・ソロス氏もユーロ圏が崩壊すれば、世界的な金融危機を招くと警告し、ユーロ圏共同債こそ欧州債務危機の「最終的な解決策」との見方を示している。

共同債発行に関しては、オーストリアのフェクター財務相が先週、時期尚早だと発言し、ドイツに同調。フランスも、欧州の財務・予算体制の統合が進むまで考える余地はないと、仏政府当局者が明かしている。(ブルームバーグ Anchalee Worrachate、Lucy Meakin)」
[以上 引用]