日本経済3四半期連続マイナス成長下での野田内閣増税

植草元教授のブログは、政治的発言はあまり賛同はできませんが、経済面では参考になるものが多く含まれています。9月18日付けの同氏ブログの指摘(※1)も概ね妥当なもので、野田内閣の増税方針は明確ですから、日本経済の低迷は継続し、日本株は現状よりもさらに沈没するものと当室も思います。

これまでの経験では、財政政策の動向把握とその影響については、株価は驚くほど正直・正確であり、通常のエコノミストの予測などよりは、余程的確であります。

なお、東日本大震災の復興資金調達については、建設国債が穏当な手段ですが、一方で、日本政府の外資資産取り崩しによる復興資金の調達を主張する人もいます(植草氏、野口悠紀雄早大教授など)。しかしながら、この説には一概には賛同できません。米ドル金融資産売却により米国金利が急上昇するという世界的マイナス経済効果を持つ点で現実的ではありませんし、なおかつ米ドルの円転で更なる円高を招来してしまいます。

また、外為特別会計の外貨資産を取り崩して円転するのであれば、その円貨は本来は同特別会計の借入れ返済に充当するべきものです。それを復興資金の原資に流用するのは邪道と言えますから、やはり目的の明確な建設国債での復興資金調達が穏当なところです。

当室としては、政府の外貨資産の取り崩しでも可と言えるのは、これを日銀が買い取って円貨を供給する場合だけ、と述べておきたいと思います。

ともあれ、以下に植草元教授のブログの主要部分を引用しておきますので、注意深くご検証ください。日本株投資についても慎重にならざるを得ないところでしょう。


[以下、抜粋して引用]
◆(※1)不況に庶民巨大増税強行どじょう首相の前後不覚(2011年9月18日 (日)/植草一秀の『知られざる真実』)

「被災地では、半年の時間がたって、ようやくがれきが撤去されつつあるが、荒れ果てた大地はそのままに放置されている。被災者の多くが仕事を失い、日々の生活も大いなる不安に包まれたままである。
 
日本経済の実質経済成長率は、昨年の10-12月期以来、
-2.4%(2010年10-12月)
-3.7%(2011年1-3月)
-2.1%(2011年4-6月)
(いずれも季節調整済み前期比年率換算比)
と、3四半期連続の大幅マイナス成長を記録している。
 
米国の景気後退の定義は、2四半期連続のマイナス成長である。日本の現状は3四半期連続のマイナス成長である。つまり、日本経済はいま、極めて深刻な不況の只中にあるのだ。昨年10-12月期からマイナス成長が続いていることが端的に示すように、不況は震災によって新たに生じたものではない。震災以前に日本経済は不況に突入していたのだ。

日本経済が大不況のなかにあり、そこに大震災・原発放射能放出事故が重なり、日本経済は存亡の危機に瀕している。この状況下で、一般庶民に標的を定めて11.2兆円もの巨大増税を実行するなどは、血の通った人間の行うことではない。そもそも、震災復興事業はその支出の性格に鑑みて、建設国債発行で実行するべきものである。

国内経済への中立性を重んじるのであれば、政府の対外資産を取り崩して支出に充てるのが、経済学的にはもっとも適正な資金調達方法になる。この点は、大蔵官僚出身の経済学者である野口悠紀雄氏も強く主張していることだ。

現在の経済情勢の下で、この巨大増税政策を強行実施すれば何が起こるのかは明白である。増税規模は、今回の復興増税だけで、一般庶民直撃で11兆円を突破する。他方、野田政権が強行決定しようとしている消費税大増税は、1年間だけで増税規模は10兆円を超える。5年間で50兆円を超えるのだ。つまり、今後の10年間で、一般庶民だけを直撃する60兆円巨大増税が計画されているのだ。

メディア各社(マスゴミ)は、今回の政府方針決定について、野田首相の指揮で消費税増税は排除されたとの説明をしているが、野田氏が2010年代半ばに消費税率を10%に引き上げる方針を撤回したのなら、これを説明に加えるべきだろう。
 
しかし、野田佳彦氏は消費税大増税方針を撤回していないではないか。
 
1996年に橋本政権が巨大増税を提案したとき、この政策方針が日本経済の崩壊と金融危機を招くことを、もっとも強く警告したのは私である。現実にその後、日本経済は崩壊し、金融危機が表面化した。
 
2000年の日銀によるゼロ金利政策解除、2001年の小泉政権の超緊縮財政政策を、もっとも強く警告したのも私である。経済崩壊と金融危機を招くと警告した。実際、その後、経済崩壊と金融危機が現実のものになった。

 
今回、野田政権が超大増税を強行実施してゆけば、三度目の崩壊になることは確実である。今回は、超緊縮財政による経済縮小に世界が足並みを揃えているから、その影響は、さらに深刻なものになる可能性が高い。」
[以上引用]
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 (日経平均月足10年間/SBI証券より引用・2011.09.20/下のチャートはRSI)