政府・日銀にしては新規発想/政府・日銀が新手の「指し値介入」

政府・日銀にしては珍しく少し頭脳プレーでしたが、スイス中央銀行を手本にして79円20銭近辺に大量注文を出す「指値介入」を実施した様子です。前例がなければ到底できない日本らしい横並びの二番煎じ的行動ではありますが、作戦は妥当であると思います。

80円ぎりぎりでも70円台ですから、米国には「十分円高だ」と言い訳できますし、半面、国内向けには「76円台の円高水準からは円安に振れている」と説明できます。この水準でドル円相場をペッグしてしまうのかどうかは、今後の情勢を検証する必要があるものの、安住淳財務相が「納得いくまで介入する」と言い切っていますので、かなり本気かも知れません。

もっとも、当室としては、先進国でも一定水準でのペッグは必要だという立場であり、日本の場合は1ドル=100円になるまで豪快に「両替介入」を実施して、そこで米ドルにペッグしてしまうという妄想をすでに以前説明しました。

為替介入は効果がないという人も大勢いますが、それは介入規模が少額であることが原因なだけで、例えば中国のように大量に介入すればペッグすることは当然可能です。

ただし、為替介入は日銀法第40条第2項で、「日本銀行は、その行う外国為替の売買であって本邦通貨の外国為替相場の安定を目的とするものについては、第三十六条第一項の規定により国の事務の取扱いをする者として行うものとする」と規定されていますので、日銀自身の判断ではできず、財務省の指示が必要です。

なお、このブログを書いている20時45分頃には、力尽きたのか、77円台後半まで円高に戻しています・・・。

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 (ドル円相場チャート:SBI証券より引用、2011.10.31 20:39)

(以下引用)
◆政府・日銀が新手の「指し値介入」 スイス中銀に酷似
 (2011/10/31日経新聞WEB版より引用)

「政府・日銀が31日、3カ月ぶりに円売り・ドル買い介入に踏み切り、円は1ドル=75円台から79円台に急落した。しかし、円相場は正午前あたりから79円20銭近辺で動きが止まり、午後3時にかけてびくともしなくなった。相場を膠着状態に陥れたのは、政府が用いた新手の介入手法だ。79円20銭近辺に大量の円売り・ドル買い注文を置くことで、この水準以上の円高進行を拒んだという。市場では「スイス国立銀行(中央銀行)をマネして自国通貨に上限を設けたかのような手法だ」との見方が広がっている。
 ついに政府・日銀がスイス中銀をマネし始めた――。情報端末の画面で動かなくなった円相場を見つめながら、国内銀行の為替担当者がつぶやいた。政府・日銀は午前10時25分から断続的に為替介入を実施。円は一時79円55銭まで急落したものの、その後にやや下げ幅を縮小。正午前に79円20銭近辺に落ち着いて、それから午後3時にかけてほとんど動かなくなった。
 複数の市場関係者によると、日銀は電子ブローキングシステムを使い、79円20銭よりも若干の円高水準で大量の円売り・ドル買い注文を入れたという。いわゆる特定の水準で円を売ってドルを買う「指し値注文」だ。その量は「1000本(1本は100万ドル)」(外為関係者)とも言われており、円買い・ドル売りをしたい国内輸出企業などの注文を市場で大量に吸収したという。円相場が動かなくなったのはこの「指し値介入」のためだ、との指摘が市場で相次いでいる。
 スイス中銀は自国通貨の相場上昇を阻止するために、対ユーロでスイスフランの上限を設定し、為替介入を実施している。政府・日銀が79円20銭近辺を円の「上限」にしているのと状況はそう変わらない。
 今回の介入の本気度は規模からも推察される。政府・日銀は8月に実施した円売り介入で4兆5000億円もの資金を投じ、円相場を77円台から80円台前半まで3円近く押し下げた。しかし、今回の「実弾」は、8月介入時の規模をすでに超えたとの見方が有力だ。為替介入によって動いた値幅は4円超。東京市場の1日の値幅が4円を超えるのは、実に円高と株安の連鎖を断ち切るために政府・日銀が介入に踏み切った1999年1月12日以来、約13年ぶりとなる。
 「指し値介入」という新手の手法に加え、大量の実弾を投じた今回の為替介入。円高の進行にひとまず歯止めをかけることには成功したが、円相場の上昇を引き続き食い止めることができるかどうかは、なお予断を許さない。この日午前に介入の実施を宣言した安住淳財務相は「納得いくまで介入する」と言い切った。政府の本気度が試されるのは、これからだ。〔日経QUICKニュース 大谷篤〕
(以上引用)