日本株運用だけで十分か/さわかみファンドの見方

今週の週刊東洋経済に、さわかみ投信会長澤上篤人氏へのインタビュー記事が掲載されていました。その内容に少し興味を感じる部分がありましたので、要点を記載しておきたいと思います。

①さわかみファンドは設定以来、日本株に集中投資している。
②68億人強の人口がいる海外の方が、1.28億人の日本よりもはるかに大きく成長する。
③しかし、海外企業に直接投資する方が良いという考えは間違いだ。
④成長を狙える新興国マーケットは規模が小さいので、先進国の機関投資家マネーの動きに翻弄され易い。
⑤それよりは、新興国に進出して世界の成長の流れに乗っている日本企業に投資する方が良い。
⑥国債分散投資は、スイス、オランダなど自国に十分な産業がなく、世界に出て(=世界に投資して)行かざるを得ない国の論理だ。
⑦国内に十分な産業がある大国アメリカは国際分散投資が下手である。
⑧日本は国内にも十分な産業があり、海外に出て(=海外に投資して)行く必然性はないということになる。
⑨成熟経済には、伸びは鈍くても十分な経済活動量が存在するし、日本の人口が減少すると言っても40年後に1億人弱であるから、まだまだ人口大国と言える。
⑩さわかみの基本的投資理念としては、「儲かりそうな企業」ではなくて、「いい社会を作るために頑張っている企業を応援する」という視点で銘柄選択をしている。
⑪景気が悪化して株価が暴落しても、永久に下がり続けることはない。景気が悪化している時に株を買い進め、好景気の時に株を処分して現金比率を高める。
(以上、週刊東洋経済 2011.11.19による)

日本株のみに集中特化するというさわかみファンドの方針に対しては、世界分散という観点、および為替リスク分散という観点から、賛否両論があるものと思います。

しかしながら、よくよく考えてみますと、日本で暮らす出不精の当室管理人にとっては、確かに個人で外貨を保有する意味も乏しいですし、日本円の価値が維持され、またそこそこの運用利回りが確保できるのであれば、国内運用だけでも容認できてしまいそうな気はします。

ただ、国内で中長期インデックス運用してしまうことには、日本株の長期トレンドを見ますと、いささか抵抗感が生じます。

経験則として、個別株に分散投資しますと、いくら選別投資したつもりでも、結果的にはインデックス運用とそれほどの運用差はなくなってしまいます。さわかみファンドも国内株をあまり分散保有してしまいますと、同様の現象が現れるはずですから、やはり、上げ相場以外では利益を伸ばすのは困難であり、それゆえ、澤上氏も、「ファンド設定から12年3ヶ月を経て、確かに今は結果を出せていない」と誌面で発言しているのだと思います。

さわかみファンドの過去10年間の運用実績を日経平均と比較してみますと、若干日経平均を上回ってはいますが、基本的には日経平均に連動した成績となっており、澤上氏の説明ほどには新興国の成長成果を取り込めてはいない様子です。

また、景気が悪化している時に株を買い進め、好景気の時に株を処分して現金比率を高めるという方法は、実施判断はきわめて困難であり、さわかみファンドと言えども現状十分には対応できていないということでしょう。
画像
(さわかみファンドと日経平均の比較10年間:ヤフーフアイナンスによる)