S&P:スペイン格付け「BBB+」に下げ-見通しネガティブ /ブルームバーグより

S&Pがスペイン国債の格付けを「A」→「BBB+」に引き下げたようです。当然と思いますが、経済情勢から判断すれば、もう少し下の符号でも良いと思います。

ところで、山崎元氏は、格付け会社のことを「後付け会社」と呼んで酷評していますが、確かにその嫌いがないこともありません。

そうなってしまう理由は、格付け会社の判断材料が、公表資料に拠っている比重が高いためです。本当に格付け対象先を精密に観察するのであれば、当該企業や政府などに職員を常駐的に張り付けて、常時観察させる必要が生じてしまいますが、それは実際には物理的に不可能ですし、あるいは仮に対象組織のイベントを報道発表されるよりも先に格付けに反映させて公表してしまえば、格付けの評判は上昇するかも知れませんが、市場の混乱度合いも同時にアップしそうです。

また、格付けのリサーチに行った折に、資料を大量収集して相当保守的に格付け判断するとしても、数年先までを安定的に見通すこと・予測することはかなり困難だと思います。

たとえば東京電力の「AAA」は、東日本大震災の発生で一瞬にして事実上大崩壊しましたが、結果論としてはこれなども原発事故の発生可能性を符号に織り込んで、最初から「BBB」くらいに保守的に符号付けしておけば良かったのかも知れません。しかしながら、「原発事故を織り込んでいるから「BBB」です」などと公表していれば、東日本大震災発生以前の時点ではマーケットの失笑を買っていたであろうことは間違いなく、そうした破壊的イベント・リスクの評価の困難さを勘案すれば、符号の後付け・後追いも或る程度やむなしというところだと思います。

料金を格付け対象先から得ていることは、批判的論者が指弾するほどには格付けに影響はなく、格付け符号の相対的位置付け体系を守る必要から、何らかの意図が働く余地はあっても1ノッチ程度でしょう。その1ノッチが大問題ということになるかも知れませんが、それは担当アナリストの勘違いや思い込みでも生じる程度の格差と言えます。格付けの精度とはその程度のものですが、一方で、「A」とか「AA」といった符号のゾーンに狂いはほぼありません。

それにしても、スペインの格付けがイタリアと同じ「BBB+」というのも微妙です。これは波乱の起きない寸止めの意図を含んだ符号付けと言えましょう。そうした点ではソブリン債格付けは恣意的という指摘がなされても、当たらずとも遠からずかも知れません(ソブリン債格付けは政治的意図が濃厚で恣意的と以前から当室は見なしています)。

なお、サブプライムローン組込みの仕組債(ストラクチャード)格付けについては、格付け評価および格付け手法が明らかに間違っていたと言って良いものと思います。ただ、ストラクチャード・ファイナンスの格付けは、初めに符号があってそれに合わせて条件と仕組みを整える方式を取るため、利益と財務の安定性評価を中心としたコーポレート債格付けなどとは少し手法が異なることから、ストラクチャード格付けが間違いだったからコーポレート債格付けもダメなのではないかとは単純には言えません。


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(ロイターより引用)

(以下引用)
◆S&P:スペイン格付け「BBB+」に下げ-見通しネガティブ /ブルームバーグより

4月26日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、スペインの長期格付けを「A」から「BBB+」に引き下げた。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」とした。

短期格付けは「A-1」から「A-2」に下げた。S&Pは発表文で、スペイン財政の軌道は「マイナス成長を背景に悪化していく公算が大きい」と指摘。同国の実質国内総生産(GDP)見通しを2012年は1.5%減、13年は0.5%減に下方修正した。従来は12年を0.3%増、13年は1%増とそれぞれ予想していた。

原題:Spain Cut to BBB+ From A by S&P; Outlook Negative(抜粋)

更新日時: 2012/04/27 06:54 JST

◆S&Pがスペイン格付けを引き下げ、見通しは「ネガティブ」/ロイターより
2012年 04月 27日 07:46 JST
[ニューヨーク 26日 ロイター] スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、スペインの長期ソブリン信用格付けを「A」から「BBB+」に引き下げた。

S&Pは格下げの理由として、スペインの経済成長および財政状況に対してかなりのリスクがあることを挙げた。

スペインの短期ソブリン信用格付けも「A─1」から「A─2」に引き下げた。長期格付けの見通しは「ネガティブ」。

S&Pは声明で、これまでの予測とは対照的に、経済の縮小を背景にスペインの財政状況は今後悪化する可能性が高いと指摘した。

さらに、国内銀行セクターに対して、政府が一段の金融支援を行う必要性が高まるとし、その結果、スペインの純債務が一段と拡大するリスクが高まっているとの見方を示した。

(以上引用)マクロ経済動向と資産運用形成研究室