輸入インフレのデフレ効果と輸入デフレのインフレ効果

今回は投資とは関係ありません。

輸入インフレにはデフレ効果があります。用語が矛盾していますので、あるいは理解しにくいかも知れません。

輸入物価が上昇すれば、国内の所得が海外に流出・移転しますので、国内は需要が減退して不景気となり、一方で輸入物価が上昇して国内物価に波及し、両者の合成効果でスタグフレーションとなります。これが第一次、第二次オイルショックの時に起きました。

ところで、逆に考えれば、昨今の安価な中国製品の流入による輸入品価格の下落にはインフレ効果があることになります。つまり、価格の安い輸入品が大量に流入すれば、国内の所得額自体は一定だとしても物価下落で実質的に所得が増加したのと同じ効果がありますから、その所得の実質増加部分での購買量が増加して国内需要全体が増加し、輸入物価下落によるデフレと、内需拡大による景気拡大とが並存する物価上昇なき好景気状態が発生しても、何らおかしくはありません。

しかしながら現実には、近年の日本は安価な中国・東南アジア製品が流入しても、そうはなりませんでした。安価な輸入品で節約できた所得部分は、そっくり貯蓄や借金返済に回ってしまっているのだと思われ、むしろ需要が減退してデフレになってしまっています。しかも、その貯蓄超過で経常収支が黒字となり、円高に振れて製造業が不振となって、なおかつ輸入品との価格競争で賃金自体が低落する傾向にあり、デフレ・スパイラルに近い状況にあります。

これに対して米国は、安価な輸入品で節約できた所得部分が消費に回っているが故に、デフレにはならないでGDPが成長し、インフレ率もプラスとなっています。

つまり、仮に同じ様に安価な輸入品が流入しても、各国国民経済の反応はまちまちであり、節約できた所得部分が貯蓄に回る日本はデフレとなり、それが消費に回る米国はデフレにはならないという別々の結果が生じることあり得るわけです。

したがって、上記の日米の簡略な比較からも判明するように、デフレの原因は、単なる新興国からの安価な輸入品の存在だけでは説明が出来ません。経済学では、供給に比べて需要が不足するが故に物価が下落する、と考えるのが基本ですので、デフレの根本的な原因は、消費の減退(有効需要の不足)にあることは明白です。

それ故、需要不足をデフレの原因と見なさずに進める議論は無意味というもので、いつかの日経新聞、あるいは野口悠紀雄教授の様に、正解の需要不足を捨象した上でもって、その他のデフレ要因を捜し始めますと原因不明の原野をさまよう仕儀となってしまいます。