自治州の財政問題、スペイン政府の長期的な足かせに/ロイターより

「スペインの各自治州が財政赤字削減目標を達成できる見通しが立たず、新たな歳出削減にも抵抗する構えをみせるなか、同国が全面支援を受ける事態に追い込まれる可能性が近付いている。」とは、なかなかに不気味な内容のロイター記事ではあります(※1)。

スペインの債務危機で一番被害を受けるのはドイツとフランスです。容易ならない事態となりそうな予感もします。ドイツだけでは、おそらくユーロを支え切れないでしょうし、なおかつ日米中ともに他国を支援する余力はありません。IMFも半分逃げ腰です(※2)。

引き続き様子見を基本とし、下手に動かない方が得策と思います。何もしない中央銀行のおかげで、放っておいても円高でしょうから、外貨投資は当面不要でしょう。

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 (ロイターより転載)


[以下、引用]
◆(※1)自治州の財政問題、スペイン政府の長期的な足かせに/ロイターより
2012年 07月 24日 11:38 JST
[マドリード 23日 ロイター] スペインの各自治州が財政赤字削減目標を達成できる見通しが立たず、新たな歳出削減にも抵抗する構えをみせるなか、同国が全面支援を受ける事態に追い込まれる可能性が近付いている。

東部のバレンシア州は20日、中央政府による地方政府向けの180億ユーロの緊急融資枠が決定されたことを受け、全17自治州の先陣を切って中央政府に金融支援を要請した。他の複数の州も後に続くと見込まれている。

アナリストは、大半の州が財政危機に陥り、一段とスペインの国家的な信用を傷つけることになるとみている。

低迷する銀行業界を抱えるスペインをめぐっては、過去数カ月にわたって自治州による金融市場からの資金調達が実質的に不可能となっており、中央政府のクレジット・ラインに頼っている状態だ。投資家らは、スペインが国際的な支援を要請する立場に追い込まれる可能性があるとみている。

スペインの国債利回りは23日、10年債利回りが7.55%をつけ、過去最高に跳ね上がった。

ムーディーズのアナリスト、マリソル・ブラスケス氏は「財政赤字を2012年の国内総生産(GDP)比1.5%までとする自治州全体の目標は1%ポイント逸脱する可能性が高く、今後数年間で必要な財政再建の範囲が一段と拡大するとみている」と述べた。

スペイン政府が公表した今年1─3月のデータによると、財政赤字削減目標に届かない可能性があるのは17自治州のうち9州(アンダルシア、カンタブリア、カタルーニャ、エストレマドゥーラ、ガリシア、マドリード、ムルシア、ナバーラ、バレンシア)。

ムーディーズは、スペイン政府による自治州支援を歓迎。一方、緊縮策が同国を一段と景気後退に陥らせ、税収入が枯渇し、財政バランスの維持がさらに困難になると警告した。

<地方の反発>

ムーディーズはまた、スペイン政府が各自治州に財政赤字削減目標を順守させる手段、もしくは順守させようとする気がないのではないかと指摘。同社は「中央政府は折に触れて、目標に届かない地方財政をコントロールするとの考えを示してきたが、その場合にどのようにそうしたコントロールを行うのかについては依然として明らかにしていない」と指摘した。


◆(※2)深まる危機、スペイン地方財政とギリシャ不安-株空売り禁止/ブルームバーグより

7月23日(ブルームバーグ):欧州は新たな市場混乱期に入った。スペインの地方政府が中央政府の支援を要請することへの懸念で、スペインの国債利回りは急上昇。また、スペインとイタリアは株式の空売り禁止を再導入した。

スペインではバレンシア州が中央政府への支援要請の方針を固めたことに続き、カタルーニャ州もこれに加わる恐れがある。これらの懸念を背景にこの日の10年物国債利回りはユーロ導入後の最高を更新した。一方ギリシャでは欧州連合(EU)欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の通称トロイカの代表団が24日にアテネ入りする。ギリシャの改革進展の査定を控え、ユーロ圏分裂の懸念が再燃している。

インベステック・アセット・マネジメントの債券部門責任者、ジョン・ストップフォード氏(ロンドン在勤)は「域内の問題は根が深い。一方、対応策の歩みは遅かった」と指摘。「スペインの銀行救済は同国の問題を十分に解決するには程遠い」と述べた。

ユーロ圏の財務相らは先週、1000億ユーロ(約9兆5000億円)規模のスペインの銀行向け救済を最終承認したが、ユーロの下落には歯止めが掛からない。スペインとイタリアがこの日、株の空売り禁止を発表したことはユーロ圏債務危機の収束が遠いとの懸念の深さを示唆している。

ユーロはこの日、ドルに対し誕生来の平均を割り込んだ。スペイン10年債利回りは7.57%に達し、ロンドン時間午後4時35分のストックス欧州600指数は2.5%安。

150億ユーロの債務償還

スペインの地方政府は今年7-12月に150億ユーロの債務償還を控えている。債務負担が最大のカタルーニャに加えてカスティーリャ・ラ・マンチャ州とムルシア州、カナリア諸島、バレアレス諸島もバレンシアに続く可能性があるとスペイン紙パイスが報じた。

スペインのデギンドス経済・競争力相は24日にベルリンを訪れ、ドイツのショイブレ財務相と会談する。記者会見は予定されていない。

スペインとともに国債利回り上昇に見舞われているイタリアのモンティ首相は先週、緊縮財政措置に対するスペインでの抗議行動もユーロを不安定化させる要因だと指摘した。

スペイン証券取引委員会(CNMV)はこの日、全ての株式について3カ月にわたり空売りを禁止すると発表した。「極端なボラティリティ(変動性)」を指摘した。イタリア証券取引委員会(CONSOB)は1週間の予定で一部の銀行・保険株の空売り禁止措置を導入したとし、「最近の株式相場の動き」が理由と説明した。

「恐怖はとっくに失われた」

昨年8月にはフランスとベルギー、スペイン、イタリアが一時的に金融株の空売りを禁止した。欧州の銀行株が2008年の信用危機以降の安値に落ち込んだことから市場安定化を図った。

トロイカの査察を控えたギリシャについては、救済合意履行への疑念と同時に追加支援に関するドイツなどの抵抗が強まっている。ドイツのレスラー副首相兼経済技術相は22日に独ARD放送とのインタビューで、「ギリシャが条件を満たさないなら、これ以上の資金の支払いはない」と言明。ギリシャを救済できる可能性について「極めて懐疑的」だとし、同国のユーロ圏離脱見通し対する「恐怖はとっくに失われた」と付け加えた。

IMFは3月に、ギリシャ向けに追加資金を割り当てることはしないと表明しているが、次回の支払いについてはトロイカの査定結果に基づき最も早い場合で8月下旬に決定するとしている。

「さよならアクロポリス」

独誌シュピーゲルの今週号は複数のEU当局者の話として、IMFがギリシャへの今後の融資実行を停止し、これにより同国が9月に支払い不能になる確率が高まったと報じていた。IMFはこの報道に対応して23日にコメントを出し、IMFは「ギリシャが経済困難を乗り越えるのを支援する」と表明した。

かつてはタブーだったギリシャのユーロ離脱の議論は欧州当局者の間で、永久に続く危機よりはましかもしれないと考えられつつある。ドイツ紙ビルトの政治コラムニスト、ヒューゴ・ミューラフォッグ氏は23日の同紙で、「ギリシャの時計はとっくに真夜中の5分を過ぎている」とし、「IMFがブレーキを踏めばドイツを含めEUの債権国にとって『さよならアクロポリス』が言いやすくなる」と書いている。

原題:Euro Crisis Deepens as Spain Regions, Short-Sale Ban Addto Woes(抜粋)原題:European Stocks Sink Most in Three Months as Debt CrisisReturns(抜粋)

更新日時: 2012/07/24 01:59 JST
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]