ECBの債券買い取り策でも、世界のファンドマネジャーは引き続き懐疑的/ウォールストリート・ジャーナル

ウォールストリート・ジャーナル日本版に「ECBの債券買い取り策でも、世界のファンドマネジャーは引き続き懐疑的」という表題の記事がありましたので、転載しておきます(※1)。確かに、当室管理人もまた非常に懐疑的です。

この記事の中では、不胎化についての指摘が有益です。

「ECBによる債券購入は、他の資産の売却によって相殺される。従って、ECBのバランスシートには差し引きでは差は生じない。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)がこれまで2回にわたって実施した(そして3回目の可能性が高い)量的緩和は不胎化ではない。そのためにFRBのバランスシートは拡大している。」

つまり、米国FRBのQEと比較して、効果は薄いのではないかということです。もっとも、FRBによるQEの効果も賛否両論で、あるともないともデメリットの方が大とか、いろいろな主張がなされていますが。不胎化の究極形は、ツイスト・オペでしょうが、長期金利が少しでも低下するのであれば、効果有りということになります。


[以下、引用]
◆(※1)【バロンズ】ECBの債券買い取り策でも、世界のファンドマネジャーは引き続き懐疑的/ウォールストリート・ジャーナル日本版より
2012年 9月 10日 19:13 JST

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が6日、無制限の国債買い取り策を発表した際、世界の市場が上昇した。しかし、世界のファンドマネジャーらは、明らかに「えつ?」という反応を示した。

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このニュースは簡単に言えば、ECBがユーロ圏諸国が発行する国債を積極的に購入するということだ。そうなれば、各国による債務返済のための資金調達が一段と容易になり、各国政府が債務不履行に陥らず、全般的にユーロの下支えにつながるはずだ。MFSグローバル・ボンド・ファンドを運用するエリック・ウィースマン氏は、「全般的に良いことがだが、非常に大きな驚きというわけではない」と話す。同氏のユーロ圏の国債配分比率は20%を上回っている。ECBが優先債権者待遇を主張せず、他の投資家と同等の扱いになるというのは債券市場の参加者にとって特に安心材料のはずだ。ウィースマン氏は、「結局、これはこれまでにみられた以上に信頼できる要因だ」と語る。

フィデリティーのグローバルマクロ部門責任者のジュリエン・ティマー氏は、国債をECBに買ってほしいのであれば各国は特定の財政条件を満たす必要があるが、この政策により、スペインがユーロ圏を離脱するという最悪のシナリオとなる公算が小さくなると指摘する。スペインはまだそうなっていないが、一段と窮地に追い込まれるまで問題を先送りしている可能性もある。また、「不胎化」の問題も存在する――ECBによる債券購入は、他の資産の売却によって相殺される。従って、ティマー氏は、ECBのバランスシートには差し引きでは差は生じないと指摘する。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)がこれまで2回にわたって実施した(そして3回目の可能性が高い)量的緩和は不胎化ではない。そのためにFRBのバランスシートは拡大している。不胎化は中銀による債券購入プログラムに反対するドイツに配慮したものだ。

こうした要因のために、世界の株式ファンドマネジャーは慎重姿勢を維持している。特にバリュー株の運用者は、株式相場の最近の上昇を正当化するには不透明感が強過ぎるとみている。アーチザン・インターナショナル・バリュー・ファンドの運用者、デービッド・サムラ氏は相場の下げを見込んで、自身のポートフォリオの10%(上限に相当)をキャッシュで保有している。同氏は、「このニュースは事実上、緊急事態を避けるもので、こうした緊急事態は市場が恐れるものだ」とし、「しかし、こうした変化はすぐに実施されるものではない」と述べた。

長期的にしっかりした見通しを有する優良企業がマクロ経済の悪材料に打撃を受けるような市場では、株式の選好の際の「ボトムアップ」アプローチが特に重要だ。ファンドマネジャーらは、欧州に本拠を置いていることが嫌気され割安になっているが、実際には収益の多くを欧州以外の地域に依存する企業にますます照準を絞っている。コーズウェイ・インターナショナル・バリュー・ファンドの運用者セーラ・ケッテラー氏は、「私のポートフォリオの約70%が欧州(企業)となっている」とし、「しかし、これらは世界的に収入を得ている多国籍企業」だと語る。同氏はさらに、ユーロの対ドルでの持ち直しを受けて、利益確定のヘッジも行っている。同氏は、「われわれはユーロ安とみなす状況から株主を保護したい」としながらも、ユーロの崩壊は予想していないと続けた。

欧州株が割安かどうかは議論の余地がある。アーチザンのサムラ氏は、欧州市場は適正水準にあると指摘するが、オークマーク・インターナショナルファンドの共同運用者で、オークマークの国際調査部長、ロブ・テイラー氏は、そうではないとみている。過去1年~1年半は懸念が広がり、そのために世界の株価が低過ぎる水準に抑えられていたと同氏。同氏は、「相場が全般的にあれだけ割安になっていると、さらに割安に思える企業が見つかる」との見方を示した。

記者: BEVERLY GOODMAN
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]