不動産ファンド、成長へのボトルネック/日経新聞WEB刊より

ここのところJ-REITは右肩上がりで、なおかつ底堅い動きであり、少し下げてもまた戻してジワリと上昇するトレンドにある様です。指標的には少し過熱感も感じられますが、上昇スピードが緩慢であるために、下落調整幅も小さくなっています。

その原因は、利回りを重視した海外資金にある様子です。日経の記事では、「世界景気の先行きに不透明感が漂う中、安定した利回りを求めて、最近では国内金融機関や個人投資家のほか、アジアや中東の投資家なども熱い視線を注いでいる」としています(※1)。

当室としては、REITの保有比率が高くなっていますので、ここから先は11月6日の米国の大統領選挙の行方、およびその後の米国の財政の崖の影響を眺めながら判断したいと思います。一般的に、ロムニーならば株は買い、オバマなら株は売り、という雰囲気のようです。


◆(※1)不動産ファンド、成長へのボトルネック /日経新聞WEB刊より
証券部 戸田敬久 2012/11/5 20:33 ニュースソース 日本経済新聞 電子版

上場不動産投資信託(REIT)の値動きを示す東証REIT指数が年初来高値圏で推移するなど日本の不動産ファンド市場が活況を見せている。世界景気の先行きに不透明感が漂う中、安定した利回りを求めて、最近では国内金融機関や個人投資家のほか、アジアや中東の投資家なども熱い視線を注いでいる。ただ、巨額マネーを吸収できるだけの投資対象がまだ少ないとの見方もあり、優良な投資物件が今後どれだけ出てくるかが成長のカギを握りそうだ。

三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、2012年6月末のREITと私募ファンドの運用資産額の合計は27兆円と前年同月末に比べて1兆6000億円増加した。同研究所では「不動産証券化市場は新たな成長局面に入った」(加藤えり子上席主任研究員)と指摘する。

この原動力になっているのが海外マネーだ。特にアジアの投資家が日本の不動産ファンドに食指を動かし始めている。アジアの富裕層が投資先を中国大陸から分散し始めたためだ。不動産投資顧問のアジリティー・アセット・アドバイザーズでは「南麻布」、「東銀座」、「代々木」などの高級マンションを、アジアの富裕層に1棟売りした。海保欣司社長は「台湾では日本投資がブームになりつつある。中国大陸から資金を日本に環流する動き」と説明する。


資源高や経済成長によって蓄積された外貨準備や年金資金の運用先を物色する政府系ファンドも日本の不動産を物色している。中東のアブダビ投資庁は9月、豪不動産会社と日本の物流や工場に投資する合弁会社を設立した。韓国やマレーシアの年金基金なども、日本での大型不動産投資を検討しているという。「大型の優良物件への投資を希望する海外の機関投資家が増えた」(三井不動産投資顧問)。

投資マネーの流入増とは裏腹に、不動産ファンド市場の成長にはボトルネックが指摘されている。優良物件がなかなか出回らないのだ。たまに出ると運用対象に組み入れる際の入札競争が激化し、落札価格が上がって投資利回りを押し下げてしまう。一時5~6%前後だった「都内のオフィスビルの投資利回りは4%後半へ低下。(2000年代の)ファンドバブル時(3~4%)ほど過熱はしていないが、結構な値段まで上昇してきた」(三井住友トラスト基礎研の加藤氏)という。

米プルデンシャルが各国の国内総生産(GDP)を基に試算した日本の証券化可能な不動産規模は約200兆円。米国に次いで世界2位の規模だ。だが、国土交通省の調査によると、投資対象になる定期収入を生み出す賃貸物件の資産規模は68兆円にすぎない。

優良な賃貸物件が出にくい要因の一つとして、日本の企業が本社ビルや施設を自ら抱えているとの指摘がある。いわゆる自社の資産として貸借対照表に計上している状態だ。企業はこれまでリーマン危機にかけてのリストラで保有物件を売却、REITなどの投資物件供給の一定の担い手としての役割も果たしてきた。だが「こうした上場企業の保有物件売却は一巡した」(大手不動産)との見方も多い。日本企業が総資産利益率(ROA)重視など効率的な経営に取り組み、不動産資産の「オフ・バランス」化が進むかどうかが一つの注目点になりそうだ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]