欧米は自国通貨安を放置したが日本は通貨安政策取っていない=麻生財務相

麻生さんも、たまにはいい事を言います。「欧米は自国通貨安を放置したが日本は通貨安政策を取っていない。」(※1)

確かに、日本は民主党政権の前の自民党政権時代からこれまで、自民党日替わり総理大臣による政治的混乱や、その後の民主党政権の迷走(鳩山・菅)、そして谷垣自民党総裁による揚げ足取りレベルの低次元の政争継続、同時に東日本大震災と原発事故の勃発、それに並行する日銀の職務放棄によるデフレ先送り政策などにより、財政金融政策ではずっと無策でしたので、国民経済の現状はガタガタになっています。

そういう意味からすれば、日本は通貨安政策を取っていないことにはなります。意図的に取っていないのではなくて無策だったのですが、ものは言い様で、結果からすれば抗弁として麻生氏のように言えなくはありません。チャート的にも、ここ5年来見事に円高となっていますから、欧米も麻生発言に苦情を言う余地はありませんでしょう。

ただ、優先順位としては、円安政策よりも、大型の財政政策をお願いしたいと思います。首都高の補修でも4兆円規模しかかからないそうなので、震災対策として早急に対応するべきものと思います。日本強靭化の中心は、まずは首都圏強靭化であり、人口密度順に施工するのが真の公平というものでしょう。

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 (ドル円月足10年間:SBI証券より引用)

[以下、引用]
◆(※1)欧米は自国通貨安を放置したが日本は通貨安政策取っていない=麻生財務相 .記事 原文(英語)/ウォールストリート・ジャーナル日本版より 2012年 12月 29日 12:51 JST


【東京】麻生太郎財務相が、円高に対する言葉による攻撃をさらにエスカレートさせている。ここ数年米国や欧州が自国通貨の大幅安を放置したことに苦言を呈し、また、米国に対してはドルを上昇させることを要望する発言をしている。

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麻生太郎財務相
安倍晋三首相率いる政権の通貨政策を握る麻生財務相によるこの批判は、現在は通貨引き下げ競争になっていると同政権が解釈している世界各国の潮流に対決姿勢を強めていることを改めて示すものだ。

今月中旬の総選挙では安倍氏が、円高が度を超しているとして、その是正を自民党の選挙戦キャンペーンの目玉政策の1つに掲げて大勝利を収めた。安倍氏とその周辺からの円水準に対する明確で強固な主張は、日本が世界通貨戦争をあおりかねないとの懸念を引き起こしている。

しかし、麻生氏の発言もここ数年の円高による日本産業の世界との競争力減退に対する国内に渦巻く深い苛立ちを示すものだ。

28日に行った財務相就任後の最初の報道各社向けインタビューでは、米国はドルを強くするという本来の仕事をするべきだし、その点はユーロもどうなのか、と語った。

さらに麻生氏は、各国が通貨の引き下げ競争は行わないと誓った3年前の20カ国・地域(G20)の会合以来、円はドルとユーロに対し大幅に高くなったと述べた。

その上で、G20メンバーのいくつの国がこの約束を履行していだろうかと疑問を投げかけ、日本は約束に則って適切な行動をとってきたと強調、「諸外国に言われる筋合いはない」、と述べた。

また、同日夜に麻生氏は、ガイトナー米財務長官と30分間の電話会談を持ったことを明らかにした。この会談では、長官に対しここ最近の行き過ぎた円高は修正されつつあるのは間違いないが、これがまたいつ変わるか分からず今後も円の動向を注視していくことを伝えたと述べた。

一方、米財務省のナタリー・W・アーネスト広報官も電話会談があり、ガイトナー長官と麻生財務相は日米経済関係と世界の経済金融動向について話し合ったと述べた。

近年では円の水準について懸念を示したのは麻生財務相だけではなかった。企業経営者やほかの政治家も円高に不満を漏らし、競争力喪失や減益、倒産や生産基地の海外移転の元凶と批難していた。

2000年代後半の世界金融危機以来、ドルは円に対して30%下落して現在は1ドル=86円前後で推移している。この結果、日本製品の輸出価格が上昇して競争力が失われ輸出業者に大きな負担となっている。このドル安円高は麻生氏が2009年9月までの約1年間の首相在任時代に加速しており、当時の厳しい景気後退の一因といわれた。

一方、安倍首相を始め閣僚らからの一連の発言が、通貨切り下げ競争を誘発するのではとの懸念について麻生財務相は、その心配はないと一蹴した。円を急激に下落させるようなことはしていないし、実際の政策として何かをしたわけでもないと語った。

実際、民主党の前政権時代には円売りドル買いの為替介入を実施して米国政府から厳しい非難を浴びたが、麻生氏が首相時代には為替介入は実施しなかった。

一方、麻生氏は、円安は輸出業者にはプラスだが、輸入業者には痛手となりると指摘、全産業が円安を求めているのではないと強調した。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]