ユーログループ、100億ユーロのキプロス救済策で合意/10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税

財政赤字の穴埋め財源としては、最後は資産課税となります。つまり預金等の国民資産の一部没収です。

ブルームバーグによれば、①「キプロスが支援を受ける条件として同国は10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税を実施」し、②「預金口座からの徴税分は直ちに凍結された。3月18日は祝日で銀行が休業となる予定で、19日の営業再開前に税金として徴収される」ということです(※1)。

預金への課税料率は6.75~9.9%でやや低いと見えますが、同国の金融業界が経済規模の5倍とされていますので、GDPと比較した金融資産規模の大きさが低率の一つの理由でしょう。もちろん、キプロスの財政赤字の規模(GDPの約71%)にもよります。

報道されている限りでは、今回のキプロスの預金課税は、財産税として資産全般への課税ではなく、預金だけが対象とされている様子です。ただ、我々がここで注意すべきは、国家がいきなり有無を言わさずに課税対象と出来てしまう銀行預金というものは、必ずしも安全資産とはならないということです。平素から、保有資産の形態も「分散保有」が必要でしょう。

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(キプロスのGDP:Trading Economics:http://www.tradingeconomics.com/)

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(キプロスの政府債務規模:Trading Economics:http://www.tradingeconomics.com/)

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(参考までに日本の政府債務規模:Trading Economics:http://www.tradingeconomics.com/)日本の場合は政府資産もあり、純債務は上記グラフほど大きくありません。

[以下、引用]
◆(※1)ユーログループ、100億ユーロのキプロス救済策で合意/ブルームバーグより

3月16日(ブルームバーグ):ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は16日、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ(約1兆2500億円)規模のキプロス救済計画に合意した。

ユーログループ議長を務めるダイセルブルーム蘭財務相は会合後に記者団に対し、キプロスが支援を受ける条件として同国は10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税を実施すると説明した。ブリュッセルで15日午後5時(日本時間16日午前1時)に始まった同会合は10時間の討議の末、合意をまとめた。

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理事によると、預金口座からの徴税分は直ちに凍結された。3月18日は祝日で銀行が休業となる予定で、19日の営業再開前に税金として徴収される。同理事は銀行預金への徴税はキプロスの税収基盤を拡大する上で必要だったと述べた。

ダイセルブルーム議長は課税について、「キプロスの金融の安定に資することになり、全預金者に貢献を求めることは当然と思われる」と述べ、同国の金融業界が経済規模の5倍に上ることに言及した。

同議長はまた、キプロスの法人税が10%から12.5%に引き上げられることも明らかにした。

キプロスはユーロ圏経済の0.5%未満を占めるにすぎないものの、同国救済問題はイタリアやスペインの波及を阻止して債務危機の収拾を図りたいユーロ圏首脳の決意を試すものだった。ユーロ圏による救済はキプロスで5カ国目。
原題:Euro Area Taxes Bank Deposits in 10 Billion-Euro CyprusBailout(抜粋)
更新日時: 2013/03/16 14:14 JST


◆(※2)突然の「預金に課徴金」、ATMに行列も キプロス/日経新聞WEB刊より
EUが金融支援の条件に 2013/3/17
課徴金は国内外の預金者が対象。10万ユーロ(約1250万円)超の預金からは9.9%、それ以下は6.75%の課徴金を1回に限って徴収する。課徴金は全体で58億ユーロとなる見通しだ。

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は記者会見で、19日朝に銀行が営業を開始する前に口座から課徴金が差し引かれると説明した。キプロスのサリス財務相は「オンライン取引などで多額の資金の移動ができないようにする対策を取った」と述べたという。18日も銀行が休業するため高額の預金引き出しはできないもようだ。

同国は2月下旬の選挙で中道右派の大統領が当選して新政権を発足させたばかり。今回の課徴金に対して怒りの声が上がっているという。他の債務危機国でも同様の措置を警戒し、預金流出が進む可能性がある。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]