2020年夏季五輪は東京開催が決定、56年ぶり

2020年の夏季五輪は、東京開催が決定しました(※1)。五輪関係者の方の喜びも理解できますが、一方で福島第一原発事故関係の事後処理の未解決問題も気になりますので、五輪招致決定のニュースにも単純には喜べません。

当室管理人の所見としては、五輪招致に関係して、安倍総理がIOC総会での最後のプレゼンテーションで、「東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題について「状況はコントロールされており、全く問題はない」と述べるとともに抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調」(※2)した点が今回の最大の成果であると思います。

IOC総会で総理自ら原発汚染水問題の解決を世界に向けて約束してしまったわけですから、当然ながら2020年まで、世界中の監視の目が政府の原発事故処理動向に注がれますので、もはや逃げることは不可能であり、日本政府はこれまでの様な東電任せの後手後手対応では世界の国々が承知しない立場に追い込まれる結果となりました。

ところで、五輪招致の経済効果については、東京都による3兆円(7年間で)という試算値がある様です。

招致決定で目先の株価上昇は期待できますが、よく考えますと五輪開催まで7年もありますので、上昇しても短期的な上昇にとどまり、あるいは来週あたりは外人による絶好の売り場面になるのかも知れません。

五輪招致は、日本の株価には、日銀によるETF買いの様な底支え効果程度を期待しておくのが妥当である様に思います。

[以下、引用]
◆(※1)2020年夏季五輪は東京開催が決定、56年ぶり/ロイターより
2013年 09月 8日 07:09 JST
[ブエノスアイレス 7日 ロイター] - 国際オリンピック委員会(IOC)総会は7日、2020年夏季五輪の開催都市を東京に決定した。東京での開催は1964年以来56年ぶり。

東京は第一回投票を1位で通過。ともに決選投票に進んだイスタンブール(トルコ)を60対36で制し、念願の五輪開催をつかんだ。
安倍晋三首相も現地入りし、最終プレゼンテーションの場で東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題に対する懸念払しょくに懸命に努めていた。

安倍首相はロイターに対し、招致に携わったすべての関係者にお礼を述べたいとした上で、素晴らしい五輪開催を実現すると喜びを語った。
東京招致委員会の竹田恒和理事長は、東京が選ばれて光栄とし、帰国したらまず日本の国民全員にお礼を言いたいと述べた。

次期IOC会長候補のトーマス・バッハIOC副会長は、東京の五輪開催決定について「伝統的な候補者と新生との戦いだった」とし、「今回は伝統的な候補者(である東京が)が勝利した」と指摘した。
東京、イスタンブールのほか開催候補地に名乗りを上げていたマドリード(スペイン)は、第一回投票でイスタンブールと2位で並んだが、その後の投票で落選。イスタンブールが決選投票に進んでいた。


◆(※2)首相 汚染水問題「政府の責任で対策」/NHK NEWS WEBより
9月8日 0時56分 K10043712611_1309080102_1309080128.mp4
安倍総理大臣はIOC総会での最後のプレゼンテーションで、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題について「状況はコントロールされており、全く問題はない」と述べるとともに抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めました。

この中で安倍総理大臣は福島第一原発の汚染水問題に懸念が出ていることについて「状況はコントロールされており、東京に決してダメージは与えない」と述べました。
安倍総理大臣はこの後の質疑でさらに詳しい説明を求められたのに対し、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。福島の近海で行っているモニタリングの数値は最大でもWHO=世界保健機関の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ。また、わが国の食品や水の安全基準は世界で最も厳しいが、被ばく量は日本のどの地域でもその100分の1だ。健康問題については今までも現在も将来も全く問題ない」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は汚染水対策について「抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、すでに着手している。責任を完全に果たしていく」と述べ、抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めました。
安倍総理大臣はプレゼンテーションのあとの記者会見で「福島の課題や問題に対する答えはできた。懸念は完全に払拭(ふっしょく)できたのではないかと思う。会場の皆さんからは私が質問に答えたあと、拍手をもらうことができた。私たちは福島と東北を復興させていくことで、世界からの支援に応えていきたい」と述べました。


◆(※3)東京五輪開催決定、株式相場への影響は 市場の見方 /日本経済新聞 電子版
2013/9/8 6:30
2020年の夏季五輪開催地が8日早朝、東京に決まった。東京都の試算では、五輪開催による国内経済への波及効果は13年9月から20年9月までで約3兆円にのぼるとされ、株式市場にとって好材料との見方は多い。中でも建設、不動産株は競技場や選手村の建設のほか、含み資産の拡大や施設周辺の臨海部の再開発という波及効果も見込まれる。市場関係者に週明け以降の株式市場への影響と展望を聞いたほか、恩恵を受けそうな銘柄をまとめた。

「インフラ整備や日本人の意識変化で思わぬ波及効果も」
野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジスト 山口正章氏

6日までの株式市場は、五輪の東京開催を見越した過熱感はなかった印象だ。そのため週明けは五輪開催による経済波及効果を期待した買いが入るだろう。最近の夏季五輪では開催地決定後、開催国の主要株価指数は、先進国に限れば最初の営業日で1%前後値上がりした。今回の日本も同様の株価押し上げ効果が見込める。関連業種では建設、不動産、スポーツ用品店などが恩恵を受けるだろう。

五輪による経済波及効果は都の試算で約3兆円。日本の国内総生産(GDP)の1%にも満たないため、直接的な好影響は限定的と考えている。だが政府の掲げる政策を手助けすると考えれば、大きな相乗効果が見込めるだろう。例えば政府は日本文化を海外に売り込む「クール・ジャパン戦略」を推進している。五輪をきっかけに海外メディアから日本へ注目が集まり、訪日外国人が増加すれば、日本文化の発信の場が増える。日本食ブームが起きれば食品メーカーに好影響が生まれる。外国語を学ぼうとする日本人が増えれば、教育産業の需要が伸びる可能性もある。

1964年の東京五輪では景観美化への意識が高まり、ゴミ収集用のプラスチック製バケツの売り上げが増えた。イタリアンレストラン、アイビールックなど新たな文化が生まれた。スポーツ少年団員が劇的に増加した。今回も社会インフラの整備や日本人の意識変化で、思わぬ波及効果が生まれることは十分に考えられる。

五輪開催で世間が明るい雰囲気になれば景気の改善につながる。安倍首相の成長戦略を加速させるきっかけにもなる。その場合、日経平均株価は年末に1万8000円程度までの上昇余地があるとみている。
(聞き手は野口和弘)

「短期的な押し上げ要因に、中長期の資金は膨らまず」
第一生命経済研究所副主任エコノミスト 藤代宏一氏

2020年夏季五輪の開催地が東京に決まったことは、株式相場の短期的な押し上げ要因となるだろう。東京は福島第1原発の汚染水問題に対する懸念を払拭しきれていなかったほか、海外メディアで「五輪開催都市はマドリード優勢」との報道もあった。東京に五輪は来ないとの見方が直前に台頭し日経平均株価は前週末に200円安となっていただけに、反動で先高期待が高まりそうだ。

8月最終週の材料難となった局面では、開催地の決定に先回りして建設株が買われていた。五輪開催が決まったことで、インフラ整備がさらに前倒しになるとの見方から改めて追随買いが入る余地はある。ホテルなど観光株についても、五輪招致の恩恵を受けるとの期待から物色が広がる可能性が高い。円安を背景に外国人の訪日観光客が増えていることも追い風となる。

ただ、買いはいずれも短い期間になりそう。あくまで個人の短期物色に限られる公算が大きい。五輪開催まで7年もの期間があり、年金など機関投資家としては即座にポジションを形成しづらく、中長期マネーが一気に膨らむきっかけとはなりにくい。9月中に1万4000円台を大きく上抜くような上昇は考えにくいのではないか。(聞き手は竹内宏介)
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]