円安に賭ける投資家―年初の円下落局面再来か

今後の米FRBによる金融緩和縮小開始が、時期は不確定ながら、2014年3月を一応のメドとすれば、その後の米国金利の上昇に伴う日米金利差の拡大を根拠とした円安予測が当然出てきますから、その円安を見越した投機的動きが現在既に開始されていても不思議ではありません(※1)。

短期的には、現在の日米欧の金融情勢が静々と継続しそうな気配ですので、日銀クロダ緩和とFRBの出口戦略開始との需給関係から、幾分かの円安傾向を想定し、これに連動する日本株は堅調であると解釈して、やはり微速前進という方針で良いかと思います。円安→日本株上昇の相関関係はまだかなり高そうです。

それにしても、購買力平価説に基づいて、一頃1ドル=60円説を主張していたエコノミストたちはどこに隠遁してしまったのでしょうか。現状のような円安トレンドの折にこそ、その理論的状況を上手く説明してもらいたいものです。購買力平価説なるものは、当室は以前から疑問視していますが、同説を当室流に端的に言えば、単なる移動平均線に基づいて傾向チャート分析しているだけのことではないかという心証を持っています。

物価修正後の通貨価値の相対比較で、通貨相互の交換レートが決まるという理屈で説明できる通貨とそうでない通貨とが存在すること自体、理論としては一貫性を欠いています。具体的に言えば、ドル円というメジャーな為替相場が説明できると主張するだけではダメで、オーストラリアドル・円などの為替相場も統一的に説明できなければ、説得力の或る学説とは言い得ません。

 → 「購買力平価説では為替動向は説明できない」http://toshukou.at.webry.info/200912/article_11.html
 → 「中長期的には外貨(外債)投資は儲からないか(2)」http://toshukou.at.webry.info/201107/article_4.html

ヤマ勘ですが、おそらく、ここ1~2年で1ドル=110円程度までは円安となり、日本の製造業は次第に復活するのではないかと思います。しばらくは(中期的に)、1ドル100円~120円のレート水準が維持されると見ます。

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(ドル円相場10年間:SBI証券より引用)


◆(※1)円安に賭ける投資家―年初の円下落局面再来か/ウォールストリート・ジャーナル日本版
2013年 11月 29日 09:32 JST

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円売りポジション額(左表)とドル円レートの推移(米CFTC/WSJ調べ)

投資家たちは円安が今後進むとの見方に賭けており、外為取引で円売りを仕掛けている。業界でも最大級の投資会社にとって儲けの大きかった今年初めの取引が再開された形となっている。

一部ヘッジファンドやその他の投機家の先物ポジション(通貨先物建玉の売り越し・買い越し枚数)を追跡している米商品先物取引委員会(CFTC)の最新統計によれば、円が対ドルで下落すると見越している投資家の円売りポジションは今年最大の水準に達し、2007年以来の高水準にあと一歩に迫っている。

実際、円安を見越した投資家の賭けは、既に報われつつある。円の対ドル相場が今週、6カ月ぶりの安値に落ち込み、今月はほぼ4%下落したためだ。それは1年前の下落局面を思い出させる。円は昨年10月末から今年4月末までに22%下落した。この結果、ジョージ・ソロス氏など著名投資家は大きな利益を懐にした。

円安を見越した賭けは、米連邦準備制度理事会(FRB)が月間850億ドル(約8兆7000億円)の債券買い入れプログラムを近く縮小すると予想していることが大きい。縮小すれば、ドルは他の諸通貨に対して上昇する一因になるからだ。円はとりわけ大きく下落する可能性がある、と投資家はみている。日銀が経済テコ入れ努力を強化せざるを得ず、追加的金融緩和で円売り圧力が加わるとみられることもある。

資産4350億ドル前後を管理しているロンドンのインサイト・インベストメント社の通貨部門のトップ、ポール・ランバート氏は、円を今年大半の期間にわたって自らのベンチマークと比較してアンダーウェイトにしてきたと述べ、今月はこの円売りポジションを積み増したと語った。

同氏は「日銀は大規模な緩和を実施したが、今後さらに大幅な緩和をせざるを得ないだろう」と述べ、「成長の勢いを維持するには、一層の円安と一層の刺激策を必要とする」と語った。

東京に本拠を置くへッジファンド、シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズの共同最高経営責任者(CEO)デービッド・バラン氏は、今年に入って円安ポジションを解消した後、再び円安ポジションに傾けたと述べた。同氏は、ドルは110円まで上昇すると予想していると語った。28日のニューヨーク市場でドルは102円24銭をつけた。

バラン氏は、FRBが量的金融緩和の「テーパリング」開始の時期、つまり債券買い入れプログラムの規模を縮小し始める時期がもっと明確になれば、ドルの対円レートは「かなり早めの時期に」さらに押し上げられる可能性があると述べた。

この種の円売り・ドル買い取引は、年初にうまく行き、通貨取引を中心とするヘッジファンドにとって数少ない強いトレンドの1つとなった。春にはドルは1ドル=103円74銭まで上昇した。

しかし5月半ばにはこの取引はうまく行かなくなった。投資家が円に乗り換えたためドルは6月初めには同94円を下回った。

円が反発したのは、FRBが金融緩和策にブレーキを掛けると示唆し始めたことに伴い、投資家がセーフヘイブン(安全な避難先)を求めたからだ。しかしFRBの政策をめぐる懸念は現在では総じて落ち着いており、投資家は円売りポジションを積み上げ始めた。

シドニーのプラチナム・インベストメント・マネジメントの副CIO(最高投資責任者)、ジェイコブ・ミッチェル氏は「極めて積極的な緩和策を推し進める日銀vs.テーパリング(緩和縮小)のFRBという構図だ」と述べた。「通貨供給量からみれば、状況は円安に向かっているのは確実だ」。

一部の投資家はまた、日本企業の輸出拡大に寄与する円下落と、安い借入コストから恩恵を享受するため日本株投資に戻っている。外国人は11月半ば以降、約2兆円の日本株を購入した。これは4月半ば以降、2週間単位で最大の購入規模だ。この結果、日経平均株価指数は今月、9.8%上昇し、28日には終値ベースでほぼ6年ぶりの高水準となった。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]