中国の12年末時点のシャドーバンキング(影の銀行)の債務はGDPの55%

ムーディーズの最新の推計によると、中国の12年末時点のシャドーバンキング(影の銀行)の債務は4兆8000億ドル(約500兆円)に上り、同国の同年の国内総生産(GDP)の55%に相当する、という内容の記事がブルームバーグに掲載されていましたので、備忘のために転載しておきます(※1)。前年のS&Pの推定よりも残高が当然の様に増大しています。

当室も1月末に向けて少しばかり運用ポジションを圧縮しましたが、今月1月31日に償還期限を迎える例の3年物の信託商品「誠至金開1号」は果たしてどのような結末となり、中国経済と日本株にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

その後、1月24日のロイター報道では、「中国工商銀がデフォルト危機の投資商品で責任認める」という報道がなされています(※2)。(「中国の大手銀行、中国工商銀行(ICBC)は、デフォルトの可能性が浮上した信託商品について、償還に関し一定の責任を負うと表明した。それに関する決定を28日までに投資家に通知する。上海証券報が24日伝えた」)

仮に今回は何とか延命したとしても、もはやシャドウバンキング関連商品自体、多数存在する中のどれかが破裂する時期に来ているものと思われます。


[以下、引用]
◆(※1)中国の信託商品の窮状、ソロス氏指摘の08年危機との類似点/ブルームバーグより

1月24日(ブルームバーグ):中国で30億元(約510億円)規模の信託商品がデフォルト(債務不履行)寸前の状態に陥っている。この商品をめぐる経緯は、米資産家ジョージ・ソロス氏が先に指摘した2008年の世界金融危機と中国の債券市場との「不気味な類似点」を想起させるものだ。

世界で最も利益率の高い銀行である中国工商銀行は、同行が販売を手掛けたこの信託商品について、損失補償の要求を拒否している。同商品は中誠信託が炭鉱会社の資金調達のために組成。米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは典型的な銀行バランスシート外の金融商品だと指摘している。資金調達先の炭鉱会社、山西振富能源集団は、筆頭株主が違法な預金受け入れで逮捕された後、12年に破綻。この3年物の信託商品「誠至金開1号」は今月31日に償還期限を迎える。

ムーディーズの最新の推計によると、中国の12年末時点のシャドーバンキング(影の銀行)の債務は4兆8000億ドル(約500兆円)に上り、同国の同年の国内総生産(GDP)の55%に相当する。投資家は23日、工商銀の上海支店での会合で資金の払い戻しを求めた。米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻で同社の仕組み商品「ミニボンド」に損失が出た時、投資家は同じように香港の銀行に払い戻しを訴えていた。

ムーディーズのシニアクレジットオフィサー、クリスティーン・クオ氏(香港在勤)は、「複雑なクレジット連動商品が銀行の販売網を通して個人投資家に販売されており、今回の件はリーマンのミニボンドを想起させる」と指摘。「透明性の欠如により不適切な販売が行われていたかどうかは明確ではなく、誰が損失を負担するかも不明だ。事情がどうであれ、商品の組成者と販売者の評判は低下した」と説明した。

ソロス氏は論評用ウェブサイト「プロジェクト・シンジケート」への2日の投稿で、米国の危機前の金融情勢と「不気味な類似点」があるとしながらも、中国政府は銀行を管理し、中国人民銀行(中央銀行)の提唱する構造改革よりも、経済成長の確保を優先していると指摘。「溶鉱炉の再稼働は急激な債務拡大の再燃を招くが、それはせいぜい2年程度しか持続できない」というのが中国の政策の矛盾点だとしていた。

原題:China Trust Products Gone Awry Evoke Soros ’08 CrisisEchoes (2)(抜粋)
更新日時: 2014/01/24 16:22 JST

◆(※2)中国工商銀がデフォルト危機の投資商品で責任認める=報道/ロイターより
2014年 01月 24日 14:32 JST
[上海 24日 ロイター] - 中国の大手銀行、中国工商銀行(ICBC)は、デフォルトの可能性が浮上した信託商品について、償還に関し一定の責任を負うと表明した。それに関する決定を28日までに投資家に通知する。上海証券報が24日伝えた。

問題の信託商品は、中誠信託が組成し、中国工商銀が富裕層に販売した。1月31日の償還期日に履行できない可能性が取りざたされているが、中国工商銀は償還について「主な責任」は負わないとの立場を示していた。

同紙によると、中国工商銀上海支店の幹部は、自行が一定の責任を負うと表明。この幹部は「中国工商銀が風評問題を無視することはない」と述べた。

同幹部によると、1月31日に償還されない可能性が報じられたことを受け、問題の信託商品「中誠誠至金開1号集合信託計画」を購入していた投資家約700人の大半が中国工商銀に保証を求めていたという。

この幹部は「中国工商銀は自行の責任を逃れておらず、投資家に中誠信託へ行って弁済を求めるよう促していた。この点において、中国工商銀は責任を負うだろう」と述べた。

ロイターは中国工商銀にコメントを求めたが、今のところ回答は得られていない。

問題の信託商品は2010年に販売され、集まった資金は非上場の石炭会社「山西振富能源集団」向け融資に充てられた。しかし、同社は、銀行免許を持たずに預金を集めたとして2012年に副董事長の身柄が拘束されたことを受け、破綻した。

また、これまでの報道では、同社が本拠を置く山西省政府が投資家救済に乗り出す可能性があるとも伝えられている。

この問題は、中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」セクターのデフォルト(債務不履行)事例になる可能性があるとして、注目を集めている。

中国工商銀の香港上場株式は1.3%安で前場の取引を終えた。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]