社債利払い、中国で初の不履行 上海の太陽光パネル大手 政府、救済策転換か

意外にも中国政府は、中国の太陽光パネル大手、上海超日太陽能科技(上海市)が予定していた社債の利払いを救済しませんでした(※1)。

ということは、これまでの様な政府を後ろ盾とした幾分モラルハザード的な取引が排除され、社債市場はもとより、中国の金融市場で一気に自由化が進行し、市場実勢・市場実態を反映した金利形成が為されることとなります。

金利はすべての経済的取引を集約して表象する「価格」指標の一つですので、それが自由化されて正常化すれば、中国経済の実態は正確な姿で表出して来ることとなります。リスクに連動して金利形成が為されますと、もはや強権による誤魔化しは効かなくなるものと思います。

案外、今回の元安の進行も政府の政策的介入などではなく、中国資産家のキャピタル・フライトや外資の引揚げ等の集積結果としての元安であるかも知れず、マーケットの力の前には、さすがの中国政府も腕力だけでは臭いものを押さえ切れなくなっているのかも知れません(※2)。

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(ドル人民元:ブルームバーグより)


[以下、引用]
◆(※1)社債利払い、中国で初の不履行 上海の太陽光パネル大手 政府、救済策転換か

2014/3/8付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊
 
中国の太陽光パネル大手、上海超日太陽能科技(上海市)は7日、予定していた社債の利払いを実行できなかった。中国の公募普通社債市場での利払いの不履行は初めて。太陽光パネルの値下がりで資金繰りが悪化した。これまで政府は経営の悪化した企業を救済してきたが、方針を転換した可能性がある。

同社が利払いできなかったのは、2012年に発行した5年物社債。発行額は10億元(約170億円)。発行金利は8.98%だった。7日に利子を払うためには、証券決済機関の指定銀行口座に5日までに全額を振り込む必要があった。同社は予定額8980万元のうち、400万元しか調達できなかった。

上海市郊外の本社工場は7日も操業を継続した。社債の元本は支払いの可能性が残されているため、同日の株式市場や短期金融市場は比較的冷静に受け止めた。

中国では社債や信託商品が債務不履行(デフォルト)危機に陥ると、政府や銀行が様々な手段で救済してきた。金融市場の混乱が社会不安に波及するのを避けるためだ。

こうした救済は企業や投資家のモラルハザード(倫理の欠如)を招き、中国の金融システムリスクを逆に膨らませているとの指摘が出ていた。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の李国宜アナリストは、社債市場で初の利払い不履行が発生したことで「市場規律は高まる」と評価する。

中国の成長減速に伴って、足元では業績悪化企業が急増している。救済に必要な資金が銀行や政府の負担能力を上回る恐れがあることから、市場では「今年上期に債務不履行が起きる可能性がある」(UBS証券の陳李ストラテジスト)との見方が出ていた。

超日太陽能の発表を受け、社債市場では5~7日に計12社、71億2000万元の社債・コマーシャルペーパー(CP)の発行が延期となった。信用力の低い低格付け債は債務不履行への警戒から買い手が減っている。一部では利回りが20%近くまで上昇している社債もある。
(上海=土居倫之)


◆(※2)焦点:人民元が急落、元安誘導は裏目に出る恐れも/ロイターより
2014年 02月 27日 10:59 JST
[上海/北京 26日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が唐突に元安誘導に乗り出し、投機筋の間に衝撃が走っている。

一方的な元高をけん制することが狙いとの見方が出ているが、市場関係者は、人為的に元安リスクを発生させても真の自由化にはつながらず、投機筋が割安感から再び元買いポジションを膨らませる可能性があると分析。市場原理の導入に向けた大胆な改革が必要と指摘している。

元安誘導をめぐっては、元の変動幅拡大に備えた動きとの観測も出ているが、中国への資金流入は続いており、変動幅を拡大した場合、一段の元高を抑制できるのか、という疑問の声もある。

人民元のスポットレートは1月13日以降、1.5%以上急落。下落率はギリシャ債務危機以降で最大となった。

元急落は、人民銀行が基準値を連日、元安方向に設定していることが背景。市場関係者によると、大手国有銀行も中銀の要請で元を売っている。

政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの王軍シニアエコノミストはロイターに「人民銀行としては、これ以上一方的な元高が進まないことを市場に理解させ、他の主要国通貨のように元を上下に変動する体制を整える必要がある」との見方を示した。

中国国家外為管理局(SAFE)は26日午後、元急落について、市場参加者がロングポジションを圧縮しているためで、「正常」な動きだと表明したが、市場では、国有銀行の大量のドル買いで取引参加者がロングポジションの圧縮を迫られたとの見方が多い。

人民元は比較的低リスクで、利回りも高いことから、2005年の切り上げ以降、対ドルで35%以上上昇。ギリシャ債務危機で一時的に値下がりしたものの、その後は一貫して上昇基調をたどってきた。

投機筋も、元高の進行は不可避とみて、ロングポジションを大きく積み上げていた。

SAFEのデータによると、投機資金の流入ペースは、昨年第4・四半期から今年1月にかけて勢いを増していたとみられる。

市場では、このところの元急落にもかかわらず、今年も2─3%のペースで元高が進むとの見方が根強い。

<経済上のメリット少なく>

エコノミストによると、元安を誘導しても経済上のメリットはあまりない。輸出競争力は増すが、輸出業者の最大の悩みは、賃金・原材料費・賃料の急激な上昇で、元安だけでは輸出支援策にはならない。

調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、チェン・ロン、アーサー・クローバー両氏は元安誘導について、投機筋に「元高の時代は終わった」と思わせてパニックを引き起こし、ロングポジションを圧縮させることが短期的な狙いだと分析。

「一部の市場関係者は、景気減速や新興国市場の混乱を受け、政府が通貨安で輸出競争力を強化する方針に転換したと解釈しているが、われわれはそうは思わない」と述べた。

<変動幅の拡大でも、本格的な元の変動リスク生じず>

変動幅の拡大については、人民元改革の前向きな一歩になるとの見方が多いが、変動幅を拡大しても、人民銀行や国有銀行が介入を続ける限り、本格的な元の変動リスクは生じない。

人民銀行は2012年4月に元の変動幅を上下0.5%から同1%に拡大したが、その後も、基準値の設定を通じて元高を抑制し、スポットレートを狭いレンジ内で推移させてきた。

このため、市場関係者は基準値付近での取引を見送り、人民銀行が元高容認を迫られるのを待つという戦略をとってきた。この戦略はつい最近まで一貫して利益を上げていた。

香港の欧州系銀行の為替トレーディング責任者は「人民銀行は為替市場にもっとボラティリティーを注入したいのだろう。それには変動幅の拡大が最も簡単だという合意ができつつあるようだ」と指摘。

「ただ、市場が長期的な元高を予想しているのであれば、変動幅の拡大だけではとても不十分だ。もっと市場原理に基づく為替レートが必要だ」と述べた。

(Pete Sweeney and Kevin Yao記者:翻訳 深滝壱哉 編集 山川薫)
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]