割安株に流れる海外勢 ともり始めた天井サイン

世界の投資マネーは成長株の高値を追って買い上がる姿勢を改め、昨年大きく値上がりした米国や日本の株式市場から資金を引き揚げ、出遅れた欧州株や、FRBの緩和縮小の動きによって下落し割安感が強まった新興国の通貨や株式に投資する動きを強めていると見られます(※1)。

簡単に言えば、米国をはじめとする世界の株式市場が、天井圏やそれに近い高値圏にあることを示すものだと思われます。概ね強気基調の当室ですが、今年前半は弱気基調で来ています。この4月の消費税増税は、日本株にはマイナス影響大と見る必要があると思いますし、また米国株も高値圏にあり、中国経済は崩落途中(?)という印象ですから、強気となる理由が見当たりません。

これから夏場にかけて米国株の調整があるかないかは、判断の分かれるところではありますが、当室は「ある」と見ています。一度調整があれば米国株は買い進んでも可、と思います。

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(NYダウ10年間:SBI証券より引用)


[以下、引用]
◆(※1)割安株に流れる海外勢 ともり始めた天井サイン
経済ジャーナリスト・西野武彦/日経新聞WEB刊より
2014/4/24 7:00

外国人投資家は世界の株式相場の現状をどう見ていて、今後どんな国に投資しようとしているのか――。こうした視点を知ることは、日本の個人投資家にとっても重要です。そのための有力な情報を提供してくれるのがバンクオブアメリカ・メリルリンチのファンドマネジャー調査です。

この調査は機関投資家を対象に毎月実施され、4月分の結果は15日(日本語翻訳版は16日)に発表されました。株価の行方を判断するうえで注目すべき内容で、特に興味深いのが日米株についての見方です。

米国株についてはこう指摘しています。「地域別では、66%のグローバル・ファンドマネジャーが最も割高感が強い株式市場として引き続き米国を挙げた。これは3月、2月とほぼ同じ結果だ」

ダウ工業株30種平均は年初から低迷しましたが、4月4日には2013年末につけた過去最高値を一時上回り、足元もなお高い水準で推移しています。本来なら景気が絶好調のときのような高値であり、量的金融緩和やゼロ金利政策を続けなければならない経済環境での株価ではありません。

しかも米国の株価を押し上げているのは、ほかの国では見られないほど大規模な自社株買いの効果が大きく、企業の実力(業績)をストレートに反映したものではありません。世界を舞台に投資しているファンドマネジャーたちが「最も割高感が強い株式市場」として米国を挙げるのはいわば当然のことです。

では日本株は、海外の機関投資家にどう見られているのでしょうか。調査は「1年余り前に打ち出されたアベノミクスの効果が薄れ続けている」と指摘。「日本株を引き続き『オーバーウエート』にしている投資家は13%にとどまり、3月の16%、2月の30%から減少」しています。オーバーウエートとは投資対象への資産配分を基準より高くすることで、アンダーウエートは逆に低くすることです。

また日本企業の利益見通しについても「良好と判断しているのは16%と、3月の18%、2月の28%から減少し、収益の質と変動に関する見方も悪化している」としています。

アベノミクスに対する評価が急速に下がり、外国人の関心が日本株から欧州株や新興国株へと移っていることは最近の世界の株価動向が如実に物語っています。

アベノミクスへの見方が厳しくなっている理由としては、最大の功績とされた超円高の是正(円安)と株高に限界が見えつつあることが挙げられます。円安になれば日本の輸出が増えて景気がよくなると期待されたにもかかわらず、輸出量はむしろ減少。輸入ばかりが増えて貿易赤字が過去最大規模に膨らんでいます。このため最近では円安のメリットよりデメリットを意識する投資家が増えているのです。

また4月に実施した消費増税の影響で、景気が冷え込む懸念もあります。昨年までのような株高はもう期待できないと見た外国人は、今年に入り大幅な売り越しに転じています。

日米だけでなく世界の株式市場に対しても、海外の機関投資家のスタンスは変わりつつあります。昨年人気を集めた成長株から、人気薄だった割安株へと関心が移っているのです。

割安株と成長株のどちらを選好するかについて、4月調査では「今後12カ月間に割安株が成長株をアウトパフォームする(運用成績で上回る)とみている投資家は40%と、3月の3倍以上に増えた」。また「新興国株は割安と判断している投資家は55%と、3月の49%から増加」し、いずれも調査開始以来最多となっています。そして「新興国をアンダーウエートにしたいのは2%と、3月の21%から大幅に減少」しています。

昨年の株価上昇率が高かったのは日米などの先進国で、米連邦準備理事会(FRB)の緩和縮小決定を受け新興国の通貨や株価が急落しました。その結果、日米株の割高感、新興国株の割安感が強まり、海外の機関投資家の関心も先進国から新興国へと移っているのです。

つまり世界の投資マネーは成長株の高値を追って買い上がる姿勢を改め、少しでも割安な株を選別する手法に変化している、というわけです。ナスダックに代表されるIT(情報技術)やバイオ関連などのハイテク株はPER(株価収益率)が50倍や100倍以上まで買われている銘柄が増えており、値上がり期待より値下がりリスクの方がはるかに大きくなっています。

このため昨年大きく値上がりした米国や日本の株式市場から資金を引き揚げ、出遅れた欧州株や、FRBの緩和縮小によって割安感が強まった新興国の通貨や株式に投資する動きを強めているのです。

これは米国をはじめとする世界の株式市場が、天井圏やそれに近い高値圏にあることを示す動きとみておくべきです。高値をつけている株を積極的に買い上がる自信が持てず、リスクが比較的小さい割安株で安全運転しようという意思が強く感じられます。

新興国株が大きく値上がりし、米国株や日本株が大きく値下がりすれば割高になった新興国株が売られて日米株が再び買い戻される可能性はあります。とはいえ日米株に割安感が出てきて本格的な上昇に向かうには、いまの水準よりかなり値下がりすることが必要になりそうです。

それまで世界のマネーは割安な投資対象を探してきてはつまみ食いし、値上がりして割高になれば別の割安な投資先を探すという腰が据わらない投機的な行動を繰り返すことが予想されます。こうした方向感の見通しづらい相場では、個人投資家はもうけることより損しないことを優先した「守りの投資」に徹することをお勧めします。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]