100万円を投資し5年間で目標を達成できる確率データ

NISA関連の投資データで、日経新聞WEB刊に貴重な資料が掲載されていましたので、抜粋・引用しておきたいと思います(※1)。その核心データは、5年間ずつ集計期間をずらしながら、40年間にわたって集計した「5年間の利益目標達成確率」の一覧表です。

NISAの非課税枠は有用だとは思いますが、使い勝手がいま一つという印象があります。どうせならば、昔の預金のマル優300万円枠のように、NISAも500万円の証券マル優非課税枠で回転売買ができれば最高ですが、現実には毎年100万円ずつ5回の小出し枠で、しかも一度売ったら取引終了という1回限りのいかにもお役所的でケチな商品性となっています。

NISAの使い勝手はともかく、くだんの利益目標達成確率データに関する記事の要点は次の通りです。

①5年間で「利益3割」で良いのであれば、かならずしも株式に投資しなくても、日本債券、外国債券、4資産分散(日本株、日本債券、外国株、外国債券の均等投資)などリスクを抑えた資産配分でも、ほぼ達成できている。
②5年間持ち切って5年後の時点での目標達成を狙うより、目標達成すれば途中で売却した場合の成功確率がほぼ全てのケースで高い。
③通常の長期投資なら、株式でも国内外に分散していれば時間がたてば価格は全体ではいずれ回復する。しかし5年間という制限が付くNISAでは「変動率の高い資産の場合、目標達成なら売りという固い意志を持ち続けることが重要」。

当室が注目するのは、当然ながら上記要点の②、つまり目標利益が確保されたと判断すれば、利確に動くほうが有利という理屈です。当室は、アクティブ運用を基本としていますので、資産価格に波動がある以上、ほどほどの納得レベルでの利確はいわば当然過ぎる事柄です。

これに対してパッシブ運用の場合は、資金必要時の解約あるいは売却時点での利確となりますので、その時の株価情勢次第で、利益が大きくもなりますし小さくもなります。

当室は、アクティブ運用が基本方針でありますので、マクロ経済動向の見通しと解釈に従ってポートフォリオは極めて柔軟に変更します。また、理屈・理論だけではなく、30数年来の自分の経験則にも照らして現況の様にベアスタンス(現金ポジション比率大)を採用する場面も当然存在します。

果たしてその経験則に立脚した見通しが妥当かどうかは、各個人投資家の自由な判断に属するものです。統計データによるリスク分析という理屈も、所詮は過去の経験実績値を整理して変動範囲を予測しているものに過ぎません。③の「通常の長期投資なら、株式でも国内外に分散していれば時間がたてば価格は全体ではいずれ回復する」というパッシブ運用の基本命題もまた経験則の一つです。

当室もこれまでに様々な投資手法を試行しましたが、経験則的に言えば、結局はインデックス・ファンドを利用して波動のうねりの中から利益率の向上を図るというアクティブ運用がベストであるように思います。この方法ですと、仮に予想が外れた場合には、そのまま中長期ホールドすれば、パッシブ運用と同等の運用効果が期待できるという理屈に落ち着く気がします。


[以下、引用]
◆(※1)40年データが占うあなたのNISAの勝敗
編集委員 田村正之 2014/4/21 7:00 ニュースソース 日本経済新聞 電子版 より要点を抜粋 

計12資産に関する過去40年のデータが、NISAの勝ち負けを予測する。まずは基礎データを眺める。
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表Aは投資助言会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの集計。計12資産につき、100万円を5年間投資した結果の金額だ。1970年以降、スタート時期を1年ずつずらしながら計40年(期間)を対象にまとめた。上段が2割課税された場合、下段がNISAと同じ非課税の場合だ。

利益が出た場合、NISAはやはり大きな恩恵がある。最近のNISAの売れ筋投信の顔ぶれは「大きな非課税メリットを取る」と割り切った場合には正しいのかもしれない。ただし(1)商品選びが慎重になされているか(2)ハイリターン=ハイリスクと認識されているか――はわからない。

同じようなリターンを段違いの低コストの投信で狙える選択肢が認識されていない可能性はある。

(2)に関しては、やはり表Aでわかるように、こうした高いリターンを狙える分野は損失確率も高い。例えば日本株(国内株)は40期間で16期間、つまり4割の期間で損失だ。最低だった5年間は日本株式は48万円に、新興国株式は62万円に、国内REITは55万円に下落した。

NISAは損が出た場合は損益通算ができず、通常投資よりかえって不利だ。そうした仕組みの中では「あまり大きなリスクをとらないで勝ちたい」という戦略は通常投資より重要になる。

実際、「例えば3割程度値上がりすればいい」と考える人も多いのではないか。今回のデータでは興味深い結果が出ている。
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表Bを見てみよう。色をつけた部分が、達成確率5割以上の部分だ。「利益3割」で良いのであれば、かならずしも株式に投資しなくても、日本債券、外国債券、4資産分散(日本株、日本債券、外国株、外国債券の均等投資)などリスクを抑えた資産配分でも、ほぼ達成できている。

むしろ4資産分散の方が株式より、3割増の場合の達成確率は高い。「NISAは分散投資」という、制度開始以来言われてきたアドバイスが、長期データからも立証された形だ。

一方で2倍を狙うなら、やはり株式以外では達成確率はほぼゼロだった。「想定するリスクとリターンに応じて資産配分を考えるという投資のセオリーを、今回のデータは改めて示してくれる」(イボットソンの島田知保さん)

鮮明だったのは、5年間持ちきって5年後の時点での目標達成を狙うより、目標達成すれば途中で売却した場合の成功確率がほぼ全てのケースで高かったこと。特に株式のような変動の大きな資産ではそれが際立つ。

NISAの現状のように「5年」という制約が続くなかでハイリターン・ハイリスクな資産を選ぶなら、持ち続けた場合に結局5年後の時点で下がってしまっていたということが多くあり得るからだ。

通常の長期投資なら、株式でも国内外に分散していれば時間がたてば価格は全体ではいずれ回復する。しかしNISAでは「変動率の高い資産の場合、目標達成なら売りという固い意志を持ち続けることが重要」(島田さん)。非課税期間が英国と違って恒久化されていないため、こうした手法を半ば強制される。

今回のデータで改めて感じるのは、日本債券(国内債券)のリスクリターンの際だった優良さだ。表Aで損失の期間がゼロであるように、リスクがほとんどないまま、かなり高いリターンを達成している。

(1)80年代などにかなり高金利の時代があった(2)過去二十数年、金利がほぼ一貫して下がり続けたので債券価格が上がった――ことなどが理由。特に(2)についてはこの再現を求めるのは無理で、日本債券については過去データは割り引いて考えたい。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]