米軍、フィリピン再駐留 新協定署名22年ぶり、中国けん制

オバマ大統領は、世界戦略的な軍事展開には消極的な大統領と言い得ますが、今回のフィリピンへの米軍再駐留の新協定締結は明らかな軍事的中国牽制措置であり、これまでのオバマ政権の消極的流れからは逸脱している様にも見えます(※1)。

また米国は韓国との間でも、2015年に予定する戦時作戦統制権の在韓米軍から韓国軍への移譲時期を再検討するという方針であり、これについても、軍事面での対中国牽制であることは間違いのないところです(※2)。

先に紹介しました原子力空母が近年1隻ずつ日本に増強されて来て3隻にまでなっている件といい、オバマ大統領の中東やロシアに対する消極的政治姿勢に反するような、東アジアへの軍事面での具体的な布石は、何者が指揮しているのかは不明ですが、明らかに中国に対する警戒態勢を着実に、かつ抜け目なく構築・整備して来ています。

当然ながら、日本が陸自を与那国島に配備するのもこうした米軍の動きに歩調を合わせるものと理解するのが妥当です(※5)。中国本土に接近した位置にレーダーを設置する方が監視に有利なのは明白です。

この米国が示す東アジアへの一連の軍事的布石は、中国の軍事力への牽制と見るのが表向き解釈ではありますが、実際には近く予想される(?)中国の経済崩壊に伴う政治的混乱への対処準備という裏解釈も可能です。

先に紹介した長谷川慶太郎氏の書籍「中国崩壊前夜」(2014.05.01刊)によれば、在中国日本人は14万人であるのに対して、米国人の数は現状ですでに1万人弱ということです。また、昨年2013年には、大手米金融機関(GS、BOA)は中国金融機関の株式を全株売却処分して撤退しています(※3)(※4)。

断片的に報道される個々の動きだけでなく、米国株式会社としての「全社的」動向には、我々も十分に留意して思案する必要があるものと思います。


[以下、引用]
◆(※1)米軍、フィリピン再駐留 新協定署名22年ぶり、中国けん制
日経新聞WEB刊より
2014/4/28付
【マニラ=佐竹実】米国とフィリピンは28日、米軍のフィリピン展開強化を柱とする新軍事協定に署名した。かつてフィリピンに駐留していた米軍は1992年までに撤退していたが、今回の協定で22年ぶりに復帰し、事実上再駐留することになる。米比両国には、米軍のフィリピン派遣を拡大することで、南シナ海への進出を強める中国をけん制する狙いがある。

署名式はマニラ首都圏の国軍本部で行われ、ガズミン比国防相とゴールドバーグ米大使が署名した。28日午後にアジア歴訪の締めくくりでフィリピンを訪れるオバマ米大統領は、新軍事協定を含む南シナ海の安全保障について言及するとみられる。協定は中国側を刺激し、反発を招く可能性もある。

新協定により、米軍はフィリピン軍の基地を利用できるようになる。南シナ海に面するルソン島スービックなども含まれる。物資補給のための施設の建設、航空機や艦船の派遣も可能となる。核の持ち込みは禁じる。

22年前に米軍が撤退した背景には、冷戦終結に加え反米世論の高まりがあり、フィリピンは憲法で外国軍の常駐などを禁じた。こうした事情にも配慮して協定の有効期間は10年とし、「常駐」でないことが明記される。協定の更新は可能。

米比両国は、米軍撤退後も地位協定を結んで米軍の一時滞在を受け入れているほか、共同軍事訓練を定期的に行っている。


◆(※2)米大統領、作戦統制権の移譲時期を延期

2014/4/25 22:57 日経新聞WEB刊より

【ソウル=吉野直也】オバマ米大統領は25日の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談で、2015年に予定する戦時作戦統制権の在韓米軍から韓国軍への移譲時期を再検討すると伝えた。韓国の要請に応じて延期するもので、北朝鮮情勢の緊迫が背景にある。

朴氏は共同記者会見で今年の米韓の外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)で「朝鮮半島の現在と未来を議論する」と指摘。独自のミサイル防衛網を発展させるとともに「米国との相互運用を進める」と語った。

◆(※3)UPDATE1: 米ゴールドマン 、中国工商銀行 株全て売却へ/ロイターより
2013年 05月 20日 21:03 JST
[香港 20日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックス は20日、保有している11億ドル相当の中国工商銀行(ICBC) の株式売却を始めた。今回、保有する全てのICBC株を売却する。

IFRが条件規定書を引用し伝えたところによると、ゴールドマンは、ICBCの株式を1株当たり5.47─5.50香港ドルで売り出した。これは20日終値(5.64香港ドル)から最大3%ディスカウントとなる。

ゴールドマンはICBC株を2006年から保有しているが、ここ1年数回にわたり売却を行っていた。

ゴールドマンは2012年4月にICBC株を売却し、25億ドルを調達した。売却した株式の大半はシンガポールの政府系投資機関テマセク・ホールディングス が取得した。また、今年1月には10億ドル相当のICBC株を売却した。

2006年の新規株式公開(IPO)以前、ICBCは多額の不良債権を抱え、経営が悪化していた。だがIPOを境に中国の高度経済成長の波に乗り、時価総額は米JPモルガン と英バークレイズ を合わせた規模にほぼ匹敵する2400億ドルに拡大した。

ゴールドマンは2009年以降、6度にわたりICBC株を売却。残りの保有株をすべて売却すれば、調達額は合計101億ドルに上る。

◆(※4)バンカメが中国建設銀への投資から撤退へ、最大15億ドルで株式売却/ロイターより
2013年 09月 4日 06:15 JST
[香港/ニューヨーク 3日 ロイター] - 米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)が中国建設銀行の株式20億株の売却に乗り出した。

ここ数年進めてきた中国建設銀への投資縮小の最終段階となり、同行への出資を完全に引き揚げる。売却額は最大15億ドルになる見通し。

ロイターが入手したタームシートで明らかになった。

バンカメは今回、中国建設銀の香港上場株20億株を1株当たり5.63─5.81香港ドルで売却する。3日終値(5.93香港ドル)に対して最大5.1%のディスカウントとなる。中国建設銀の香港上場株は年明け以降4.7%値下がりしている。

バンカメは2005年、中国建設銀の9.9%を30億ドルで取得。その後、保有株数を256億株まで増やしたものの、資本基盤の強化に向け、方針を転換。2009年以降、売却を進めてきた。今回の売却は持ち株のロックアップ期間が前月で終了したことなどに伴う。

発表を受け、バンカメの株価は午前の取引で一時1.6%上昇した。終値は0.9%高。

バンカメは金融危機以降、バランスシートの改善に取り組んでおり、国外の富裕層向け事業をスイスのジュリアス・ベア(BAER.VX)に売却したほか、カナダやスペイン、英国のクレジットカード資産を銀行やプライベートエクイティに売却するなど、近年は海外部門の合理化をとりわけ積極的に進めてきた。

中国の金融セクターへの投資をめぐっては、期待した戦略上の恩恵が得られなかったとの理由などから欧米金融機関の間で撤退する動きが出ており、米ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N)は今年、中国工商銀行(ICBC)の株式を全て売却している。

一方、中国交通銀行の株式19.9%を保有する英HSBCホールディングスや、中信銀行(CITIC銀行)の株式15%を保有するスペインのBBVAなどは出資を維持している。

◆(※5)陸自、与那国島に配備へ 防衛省が用地の賃貸借契約
2013/6/27 23:41 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  防衛省と沖縄県与那国町は27日、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配備するため町有地の賃貸借契約を結んだ。防衛省は施設整備を進め、2015年度末までに約100人の隊員を配備する計画だ。尖閣諸島の周辺海域で活動を強める中国を念頭に、南西諸島防衛の警戒監視の拠点とする。

陸自トップの君塚栄治陸上幕僚長は27日の記者会見で「最西端の島で情報収集にも一番いい場所だ。日本の防衛につなげていきたい」と強調した。契約は町有地約21ヘクタールを年間約1500万円で借りる内容。町有地を牧場として利用してきた農業生産法人などと移転や補償の費用を協議し、いつから借りるかを明記した契約を改めて交わす。

政府は10年に決めた中期防衛力整備計画に「南西諸島に沿岸監視部隊を新たに配置する」との方針を明記。与那国町が一時、迷惑料として10億円を要求したため調整が難航。防衛省は計画の白紙撤回も視野に交渉した結果、今回の賃貸契約にこぎ着けた。

南西諸島の陸自の本格的な拠点は、現在は沖縄本島の那覇駐屯地のみ。与那国島には今後、沿岸監視レーダーを設け、中国艦船などの動向を監視する。自衛隊は「定点的に把握できる意義は大きい」と強調している。

南西諸島防衛の重視は10年の防衛計画の大綱に方針を明記。年内に決める新大綱でも柱に据える見通しだ。自民党は提言で「島しょ防衛の強化」として離島奪還の能力向上などを掲げている。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]