持ち家(マンション)に関する留意点

金融資産投資に論点がとかく偏り勝ちな当室としても、資産構成の一部を形成している不動産に関する基本的考え方も、検討・思案しておく必要があります。その点、5月6日付けのNWESポストセブンの記事「空き家が深刻な『幽霊マンション』建て替え成功は200棟だけ」は少し参考となります(※1)。

日本における不動産投資のリスクとしては、①換金性・流動性の問題、②建物の資産価値劣化スピードの問題、③地震による被害の問題、④今後の人口減少の問題など、様々な事柄を考慮・検討する必要がありますが、その中でも一番の不可避な巨大リスクとして、今後の人口減少による住宅需要の総体的減少を認識・想定しておくことが必要だと思います。つまり、今後住宅は余って値下がりする方向であろうということです。

過去の経緯を見れば、団塊の世代が40歳前後になって住宅を取得した1987~89年頃の時期には、不動産バブルが発生して景気も過剰に良くなりました。これと比較して、その次の人口のヤマである団塊ジュニア世代が40歳前後となった平成24年前後、現在(平成26年)も含めてまだその需要拡大時期が終了してはいない段階ではありますが、特に住宅需要がバブル的に盛り上がった気配はなく穏当なレベルに留まっている印象です。

つまるところ、この両者の差は、団塊ジュニア世代には既に親の住宅があるが故に新規に住宅を購入する必要性が乏しいという事情、つまり住宅の供給量は総体的に既に概ね十分で住居は充足しているという事情が背景に存在していることが原因であると思います。

住宅需要が充足されているのであるならば、余程立地条件を厳選して購入しておかなければ、今後の人口減少に伴って不動産物件の選別が一層厳しくなることは容易に想像ができます。さらにマンションには、長期的建て替えのリスクも想定されますから、我々個人投資家としては、こうした新たな(?)人口減少要件を十分に考慮して、持ち家か賃貸かを選択する必要があります。ましてや家賃収入をアテにした賃貸物件投資は、中長期的に先細り懸念があり、より一層の立地条件考慮が必要となりましょう。

さて以下蛇足ですが、当室管理人は、以前にも書きました様に、持ち家安心主義でこれまで過ごして来ています。そうした意味では持ち家派のポジション・トークとなることはやむを得ないところなので、読者の方には割り引いて思案していただくとして、それにしても自分の定年が近くなって一層認識を強くしていますが、やはり賃貸住宅という選択肢はどうにも不安定な感じがして採用できません。

では、戸建てかマンションかと言いますと、年を取ると一戸建ては管理が面倒なのでマンションを選択する傾向があるように聞いています。とはいえ、戸建ては戸建てで土地建物が個人の裁量で自由に処置・処分できるというメリットがありますし少しながら庭木もある、一方でマンションは管理面が効率的で部屋がワンフロアにすべて揃っているというメリットがあり、一概にどちらが有利とは言い難いと思います。足腰や体力・気力のことを考慮すれば、60代までは戸建て、それ以降はマンション、ということになりましょうか。

[メリット]
戸建て・・・庭がある。土地建物の処分が個人の裁量でできる。
マンション・・・ワンフロアにすべて揃っている。管理範囲が限定されているので効率的。バリアフリーも可。

[デメリット]
戸建て・・・修繕・草刈等の管理がすべて個人負担。防犯面に不安。経年劣化で建物の価値がゼロまで低下。足腰が弱ると階段が不便。
マンション・・・土地が共同所有で庭がない。管理組合の運営負担がある。将来の建て替えに不安。


[以下、引用]
◆(※1)空き家が深刻な「幽霊マンション」建て替え成功は200棟だけ
NWESポストセブンより
2014.05.06 07:00

アベノミクスで不動産市場は都市部を中心に活況を呈している。だが、その一方で中古住宅の「空き家問題」は年々、深刻度合いを増している。

総務省の調査によれば、2008年度の全国の空き家戸数は760万戸で、全住戸の13.1%の住宅が余っていた。これは何も地方の過疎話ではない。人口が密集する首都圏でも11%台の空き家率が出ており、「国は新築住宅建設の促進をしておきながら、空き家問題の対策に手を焼いているのが現状」(大手建設業者)だ。

『年収200万円からのマイホーム戦略』(WAVE出版)などの著書がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏がいう。

「空き家が増えるのは当たり前です。新築の注宅着工戸数は年間100万戸の大台に乗せようかという勢いで増え続けているのに、日本の生産年齢人口は前年より116万人も減っている。このままいくと20年後には東京でも空き家だらけになりますよ」

老朽化した一戸建ての空き家ならば、まだ所有者の責任によって建て替えなどの決断もしやすいだろうが、問題は多くの住民が「区分所有」し、大規模修繕や建て替えに莫大な費用がかかるマンションだろう。榊氏がひとつの驚愕データを示す。

「これまでマンションの建て替えが成功した事例は約200棟。多いと思われるかもしれませんが、いま全国にマンションは600万戸近くが存在するといわれているので、1棟50戸平均だとすると12万棟。そのうちの僅か200棟だけしか建て替えられていないのです」

建て替えられない理由の大半は、やはり住民の費用負担だという。

「マンション1戸あたりの建設費は、資材費の高騰などもあり約2300万円に達しています。極端にいえば、住民の1戸でも2300万円を出せなければ建て替え話は10年以上も延びてしまうのです」(同)

周囲に容積が余っているマンションは、建て替え戸数を増やすなどして建設費を捻出することは可能だが、空いたスペースを見つけるほうが難しい都心部ではそれもままならない。

最近、建築家の黒川紀章氏が設計し、1972年に完成したキューブ型のマンション「中銀カプセルタワービル」(東京・銀座)が“廃墟”と化していることが話題となった。2007年に住民は建て替え決議を可決したが、あえなく無効になったという。

「結局、住民が負担する管理費や修繕積立費の滞納額が大きく、不動産業者が建て替えを嫌がったそうです。マンションは共存体なので、きっちり管理していないと機能しません。それができなければ、中銀タワーのように老朽化しても建て替えられず、資産価値がほとんどなくなって空き家が増えていく――という最悪の状況に陥ります」(同)
しかし、コスト負担ばかりを住民に押しつけ、いい加減な管理体制でマンションの将来図を描けない不動産会社も責任は重大だろう。榊氏はいう。

「大手デベロッパーも空き家問題には危機感を抱いていると思います。でも、彼らは彼らでマンション用地の仕入れ部隊や販売部隊を持ち、遊ばせておくわけにはいきません。とにかく自転車操業でマンションを建てて、苦戦してでも売るという作業を繰り返しているのです。

日本のマンションの歴史は、200年以上も区分所有の文化が根付くフランスとは違い、はじめてマンションブームが起きた1960年代から50余年しか経っていません。だから、50年後、100年後にどうしたらいいのかのノウハウも持っていないし、法律もうまく整備されていないのです」

あちこちに空き家が増えすぎて“幽霊マンション”が林立する未来。考えただけでもゾッとする。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]