中国不動産価格の下落、北京にも波及 景況感下方修正、輸出や内需も失速…

経済の失速は、建物が倒壊するように一気に崩壊の様相が見えるものではなく、何年かの時間が必要ですので、或る程度の年数が経過してみないことには、失速あるいは崩壊の程度やレベルは明確に把握できませんが、現在のところ、中国経済は急減速している途上にあると当室は見ています。

以前指摘しました様に、上海総合指数の動きを見るならば、7~8%の高度成長を遂げている経済国の株価の動きとは到底見えません。日本以上に実態経済が停滞しているとも見えます。

今回取り上げたZAKZAKの記事では、中国不動産価格の下落は北京にも波及しているという内容となっており、まさしく想定通りの展開が進行しているように読み取れます(※1)。

要点としては、次の通りです。

①中国製造業の景況指数は下方修正され、輸出や内需も低迷、そして不動産価格の下落は地方都市だけでなく、ついに首都北京にまで及ぶなど泥沼状態。
②4月の製造業購買担当者指数(PMI)の確定値は48・1で、景況判断の節目となる50を割り込んだのは4カ月連続。
③中国で年2回開かれ、今後の輸出動向を占うとされる貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」の輸出成約額は、前年春との比較で12・6%減だった。
④4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比1・8%と1年半ぶりに2%割れ。
⑤中国の1~3月期の住宅販売面積は前年同期比5・7%減、新規着工面積も27・2%減少。市場の減速は鮮明だ。
⑥ドル資金の米国環流が本格化すれば、不動産のバブルは瞬時に破裂する運命だ。もはや、残された時間は幾ばくもない。


現在のところ、米国FRBによる金利引上げはまだ先延ばしの様子ではありますが、来年2015年前半の利上げが視野に入っていますから、確かに今後の資金の米国への世界的還流が、中国の不動産バブルに対してもトドメを刺すことは十分に想定されるところです。

昨年2013年6月に中国の短期金利が急騰して以来、シャドーバンキング問題や理財商品問題などが噴出し、中国の経済情勢が変調を来たしていることは間違いなく、今後のプロセスを注視しておく必要があります。

中国が経済的変調から政治的動乱へ移行することを警戒し、米国が軍事力を日本周辺に展開していることはすでに説明した通りですが、中国政府も腕力がありますので、意外に延命してしまって中長期的停滞・ソフトランディングという武者氏の説が当たるのかも知れません。そのいずれが正しいかは、上海総合指数の動向が或る程度表象・反映することとなりましょう。

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(上海総合指数10年間:SBI証券より引用)


[以下、引用]
◆(※1)中国不動産価格の下落、北京にも波及 景況感下方修正、輸出や内需も失速…

2014.05.12 ZAKZAK by夕刊フジ

習近平国家主席を狙ったとみられるテロが発生するなど大揺れの中国だが、経済の悪化も深刻だ。製造業の景況指数は下方修正され、輸出や内需も低迷、そして不動産価格の下落は地方都市だけでなく、ついに首都北京にまで及ぶなど泥沼状態だ。

英金融大手HSBCが発表した4月の製造業購買担当者指数(PMI)の確定値は48・1で、速報値の48・3から下方修正された。PMIは中国経済の先行きを示す指標で、50を上回ると生産や受注の拡大、下回ると縮小を意味する。景況判断の節目となる50を割り込んだのは4カ月連続。HSBCのエコノミストは「製造業、経済全般の勢いが引き続き失われている」と指摘した。

輸出の失速も止まらない。中国で年2回開かれ、今後の輸出動向を占うとされる貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」の輸出成約額は、前年春との比較で12・6%減だった。東南アジアなど新興国向けが大きく減ったほか、日本向けも不振続きだ。

内需も厳しい。中国国家統計局によると、4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比1・8%と1年半ぶりに2%割れ。政府の今年の抑制目標(3・5%)を大きく下回った。消費者の購買意欲が高まっていないことがわかる。

そして、最大の懸念材料である不動産バブルの崩壊はいよいよ本格化してきた。北京市で大手開発業者が発売したマンション価格は1平方メートル当たり2万2000元(約36万円)前後と、購入希望者に伝えた予定価格より約3000元値下げしたのだ。シンクタンク研究者は「天安門の周辺以外は、値下がりがあり得る。みんな目を覚まし始めた」と話す。

上海市や浙江、広東省でも値下げが伝えられた。中国の1~3月期の住宅販売面積は前年同期比5・7%減、新規着工面積も27・2%減少。市場の減速は鮮明だ。

中国の地方政府は土地の使用権を大手開発業者などに売却して収入を得る「土地財政」に頼ってきた。不動産価格の下落で収入が減れば、過剰投資で増えた借金が返せなくなる。中国メディアは「不動産業者よりも地方政府の方が慌てている」と報じる。

このため地方政府は住宅購入支援策を打ち出すなど必死だが、中国の経済学者は「地方政府に任せると、再び不動産投資が過熱しかねない」と懸念する。

中国の不動産バブルに以前から警鐘を鳴らしてきた東洋経済新報社元編集局長の勝又壽良(ひさよし)氏は「中国政府はこれまで景気刺激策として、中国人固有の過剰な投機マインドを刺激してきた。常軌を逸した経済政策のなれの果てとして過剰債務が積み上がっている」と語る。

勝又氏は、新興国に投じられてきた世界の投機マネーの逆流が中国にトドメを刺すと分析する。「ドル資金の米国環流が本格化すれば、不動産のバブルは瞬時に破裂する運命だ。もはや、残された時間は幾ばくもない」

沖縄県の尖閣諸島や南シナ海などで領土拡張の野心をむき出しにする中国だが、国内ではウイグルやチベットなど少数民族の弾圧政策への反発は強まっている。

「中国共産党の一党支配を支えてきたのは急速な経済成長だった。経済が失速すれば習近平体制の正統性も揺らぎかねない」(国内シンクタンクのエコノミスト)との見方もある。中国の政治と経済の混迷は始まったばかりだ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]