欧州中銀、マイナス金利 政策金利も最低の0.15%に 低インフレ長期化警戒

「なんでもやる」ECBのドラギ総裁が、6月5日、主要国・地域で初めて、民間銀行が中央銀行に預け入れる余剰資金の金利をマイナスにする政策も導入しました(※1)。

この「マイナス金利政策」の効果が明確に発現するためには、マーケットが事態を消化するまでもう少し時間が必要なのかも知れませんが、当室の想定としては、欧州各国の国債利回り(金利)の低下効果が一番大きいと思います。

量的緩和策として、ECBの判断でEU加盟の特定国の国債をいくらか購入するとなりますと、これは政策判断の上で困難な一面を持ちますが、そうではなくてマイナス金利政策で民間銀行のECB預け金を強制的に減少させれば、不景気で貸出し資金需要が乏しい各民間銀行がそれぞれの判断によって各国の国債へ資金をやむなく振り向けるのは概ね自明ですから、今回のマイナス金利政策は、間接的ながら各国の国債消化を更に助け、各国国債利回り(金利)を低下させる頭の良い政策と見ることもできます。

なお、為替政策的には、現在のところ効果はほぼ中立的な様子です。

それにしても、たとえばスペイン国債の利回りは、米国債に比較して低下し過ぎではないでしょうか。スペイン国債の利回りが2.83%と、何と米国債利回り2.58%とほぼ同水準とは(!?)、その信用力実態と比較して余りにも値上がりし過ぎでバブリーな印象です。
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(ユーロ円6ヶ月:SBI証券より引用)
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(ユーロ米ドル6ヶ月:SBI証券より引用)

■Spain Government Bond 10Y
The Spain Government Bond 10Y decreased to 2.83 percent in June from 2.86 percent in May of 2014. Spain Government Bond 10Y averaged 6.10 from 1991 until 2014, reaching an all time high of 14.03 in October of 1992 and a record low of 2.82 in May of 2014.
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(スペイン国債10年もの利回り:10年間 Trading Economics:http://www.tradingeconomics.com/)
■United States Government Bond 10Y
The United States Government Bond 10Y increased to 2.58 percent in June from 2.46 percent in May of 2014. The United States Government Bond 10Y averaged 6.37 from 1912 until 2014, reaching an all time high of 15.84 in September of 1981 and a record low of 1.40 in July of 2012.
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(米国債10年もの利回り:10年間 Trading Economics:http://www.tradingeconomics.com/)

[以下、引用]
◆(※1)欧州中銀、マイナス金利 政策金利も最低の0.15%に 低インフレ長期化警戒

2014/6/6付日経新聞WEB刊より
【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は5日の定例理事会で追加の金融緩和策を決めた。指標となる政策金利を0.1%引き下げ、過去最低の年0.15%とする。主要国・地域で初めて、民間銀行が中央銀行に預け入れる余剰資金の金利をマイナスにする政策も導入する。ユーロ圏の低インフレが長引くおそれが強まったと判断し、包括的な金融緩和で景気を刺激する。(関連記事総合2面に)

政策金利の引き下げは2013年11月以来7カ月ぶり。ドラギECB総裁は理事会後の記者会見で「物価の上昇は予想よりも鈍い」と認め、14年の物価上昇率見通しを0.7%と3月時点から0.3ポイント下方修正した。

物価が上がらない低インフレの傾向が強まったことに加え、域内の銀行が融資に慎重な情勢をECBは問題視。ドラギ総裁は「金融緩和と銀行融資促進策の組み合わせを決断した」と説明した。

具体的には政策金利の引き下げに加え、民間銀行が余剰資金をECBに預け入れた場合、一定の手数料の支払いを求める「マイナス金利」政策の導入も決めた。利率はマイナス0.1%。

さらに域内企業への融資積み増しを公約する銀行に、低利の長期資金を最大4年間にわたって供給する。供給額は4000億ユーロ(55兆円)を想定。一連の金融緩和策の組み合わせで、低インフレの要因にもなっているユーロ高の抑制を狙う。

ただ米連邦準備理事会(FRB)や日銀のように、市場から国債を大量に買い上げて市場にマネーを供給する大規模な量的緩和策は見送った。

ECBの追加緩和を受け、ユーロは対ドルで一時1ユーロ=1.35ドル近辺まで下落し、4カ月ぶりのユーロ安水準をつけた。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]