「死期」前兆ちらつく中国経済

断片的情報をつなぎ合わせるしかない中国経済の実態情報からは、その正確な総合的判断は困難ですが、大まかな方向性の様なものは見当が付けられます。今般ZAKZAKに掲載されていました石平氏の論評は、判断の参考となりそうです(※1)。

同氏の論評はやや偏りが内在する場合があるのでそれを割り引いて考慮するとしても、事実関係の認識部分は信用しても良さそうですから、概略の動向としては、中国経済はやはりマイナス成長と理解しても大過ないものと思われます。少なくとも中国政府公表通りの7~8%という成長率でないことは、上海総合指数の動向などから見て、当室でもこれまで何度か指摘している通りです。7%といった高度成長経済国の株価全体が、長らく横這いなどということは普通はあり得ません。

経済が成長しているということは、企業所得も個人所得も全体が増加しているということに他なりませんから、当然ながら企業利益も増加します。利益が増加しても株価が変化しなければPERが低下しますから、どうしても次第に株価には上昇圧力が掛かり、いずれは妥当なレベルまで株価が上昇します。逆に、株価総体が上昇しないということは、他に特殊要因がなければ、企業の利益の総体が増加していない(=経済が成長していない)ということになります。

昨年の6月に中国の短期金利が急上昇したことはまだ記憶に残っているところで、それから1年と2ヶ月が経過し、中国政府の腕力が有効性を持つことを期待するとしても、危険水域に入ってきていることは事実であると思います。
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(上海総合指数10年間:SBI証券より引用)


[以下、引用]
◆(※1)【石平のChina Watch】「死期」前兆ちらつく中国経済

2014.9.5 ZAKZAKより

先月20日、中国煤炭工業協会は中国経済の真実をよく表した数字を公表した。今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1・45%と1・54%の減となったという。つまり、両方ともがマイナス成長となったということである。

李克強首相が地方政府のトップを務めた時代、統計局が上げてきた成長率などの経済数字を信じず、もっぱらエネルギー消費量や物流量が伸びているかどうかを見て本当の成長率を判断していたというエピソードがある。

この物差しからすれば、今年上半期の中国経済の成長率は決して政府公表の「7・4%増」ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある。中国エネルギー産業の主力である火力発電を支えているのは石炭であり、その生産と販売がマイナスとなっていれば、この国の経済が依然、成長しているとはとても思えないからである。

「石炭」一つを取ってみても、中国経済は今や崖っぷちに立たされていることが分かるが、今年上半期の全国工業製品の在庫が12・6%も増えたという当局の発表からも、あるいは同じ今年上半期において全国百貨店の閉店件数が歴史の最高記録を残したという8月23日付の『中国経営報』の記事から見ても、中国経済の凋落(ちょうらく)ぶりが手に取るように分かるだろう。

実は今年4月あたりから、中国政府は一部銀行の預金準備率引き下げや鉄道・公共住宅建設プロジェクト、地方政府による不動産規制緩和など、あの手この手で破綻しかけている経済を何とか救おうとしていた。だが全体の趨勢(すうせい)から見れば、政府の必死の努力はほとんど無駄に終わってしまい、死に体の中国経済に妙薬なし、と分かったのである。

政府の救済措置が無効に終わったのは不動産市場でも同じだ。今年春先から不動産バブル崩壊への動きが本格化し、各地方政府は慌ててさまざまな不動産規制緩和策を打ち出して「市場の活性化」を図ったが、成果はほとんど見られない。

8月1日に中国指数研究院が発表した数字によれば、7月の全国100都市の新築住宅販売価格は6月より0・81%下落し、4、5月以来連続3カ月の下落となったという。

それを報じた『毎日経済新聞』は「各地方政府の不動産市場救済措置は何の効果もないのではないか」と嘆いたが、不動産市場崩壊の流れはもはや食い止められないことが明白だ。

現に、8月25日に新華通信社が配信した記事によると、全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの「悪性競争」が既に始まっているという。

開発業者が競ってなりふり構わずの価格競争に走っていれば、それが不動産価格総崩れの第一歩になることは誰でも知っている。

同23日、山東省済南市にある「恒生望山」という分譲物件は半月内に約25%もの値下げを断行したことで、値下げ以前の購買者が抗議デモを起こした。それもまた、「総崩れ」の前兆と見てよいだろう。国内の一部の専門家の予測では、「総崩れ」の開始時期はまさにこの9月になるというのである。

経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。

しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという「時限爆弾」を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の「死期」を迎えるのであろう。

【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]