中国景気、減速鮮明 住宅販売不振が波及

中国の経済状態について、日経新聞の記事を掲載しておきたいと思います。要点としては次の通りです。

①8月の工業生産の伸びが5年8カ月ぶりの低水準(前年同月に比べ6.9%増)。
②その原因は、全国的な住宅販売の不振の余波が広がり、企業の生産活動の停滞を招いたため。
③1994年12月の水準を100とする中国の鋼材価格指数は昨年11月半ばに100を超えて以来、一貫して低下し、今年9月初めに89まで落ち込んでいる。
④企業間の取引価格の全体像を示す卸売物価指数は8月まで30カ月連続で前年水準を下回り、下落幅が5カ月ぶりに拡大した。
⑤工業生産とともに発表した8月の発電量は前年同月を2.2%下回り、09年5月以来、5年3カ月ぶりの減少となった。
⑥一方、中国指導部は景気の現状を「合理的な範囲」(李克強首相)とみており、すぐに大規模な景気刺激に動く可能性は小さい。

李克強首相が重視する経済指標の一つである発電量が、8月は前年同月比▲2.2%となっており、これはかなり重症である様に思われますが、中国指導部は景気の現状を「合理的な範囲」と表明して放任する様子です。なすすべが無くなっているのか、それとも経済運営に自信があるのかは不明ですが、その台所実情もそれほど遠くないうちに判明して来るものと思います。


[以下、引用]
◆(※1)中国景気、減速鮮明 住宅販売不振が波及

2014/9/14 2:03日本経済新聞 電子版

【北京=大越匡洋】8月の工業生産の伸びが5年8カ月ぶりの低水準に沈み、中国景気の減速が鮮明になった。全国的な住宅販売の不振の余波が広がり、企業の生産活動の停滞を招いたためだ。中国政府は「景気は安定圏」との認識だが、不透明感は増しており、景気のてこ入れを求める声が強まりそうだ。

「納得できない。差額を補償すべきだ」。9月初め、大手不動産会社の重慶市内のオフィスに興奮した人々が詰めかけた。同社がこれまで1平方メートル当たり1万元(約17万円)強で販売していたマンションを一気に2千~3千元も値下げしたことがきっかけだ。先に購入を決めた顧客が不満を爆発させるといった騒ぎは各地で頻発している。

■鋼材価格「白菜並み」
不動産会社からすれば値下げ以外に販売不振の打開策が見当たらない。販売額は落ち込みに歯止めがかからず、新規投資もさえない。1~8月の不動産開発投資は13.2%増と1~7月から伸びが0.5ポイント縮み、新築住宅価格の下落は主要都市の9割に広がった。

住宅市場を見舞った「冷夏」は、景気全体を冷やし始めている。中国政府による下支え策への期待から製造業の景況感指数は7月まで改善が続いていたが、8月は新規受注の鈍さなどから半年ぶりに低下に転じた。

景気の「体温」ともいえる価格は低水準が続く。調査会社CEICによると、1994年12月の水準を100とする中国の鋼材価格指数は昨年11月半ばに100を超えて以来、一貫して低下し、今年9月初めに89まで落ち込んだ。マンション建設などに使う異形棒鋼(鉄筋)の取引価格は1年間で15%下落し、500グラム当たりに換算した価格は約1.5元で「白菜並みの低価格」(中国メディア)と報じられる。

■企業収益を圧迫
企業間の取引価格の全体像を示す卸売物価指数は8月まで30カ月連続で前年水準を下回り、下落幅が5カ月ぶりに拡大した。価格の下落と生産の鈍化の両面から、企業収益は圧迫されている。

小刻みに政策を繰り出す中国政府への信頼感もあり、今年の成長率が7%を割り込むような急激な悪化を予想する声はほとんどない。海外経済の足取りは不確かで、中国景気は政策頼みの状態がしばらく続きそうだ。


◆(※2)中国工業生産6.9%増 8月、5年8カ月ぶり低水準
2014/9/14付日本経済新聞 朝刊

【北京=大越匡洋】中国国家統計局が13日発表した8月の工業生産は前年同月に比べ6.9%増にとどまった。伸び率は7月(9.0%)から2.1ポイント縮小し、リーマン・ショック直後の2008年12月以来、5年8カ月ぶりの低い水準となった。住宅販売の不振を受け鉄鋼などの企業の活動が鈍っていることを裏づけた。
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工業生産とともに発表した8月の発電量は前年同月を2.2%下回り、09年5月以来、5年3カ月ぶりの減少となった。

投資や消費の指標にも減速感がにじむ。建設・設備投資の動きを示す固定資産投資は1~8月に前年同期比16.5%増えたが、伸び率は1~7月に比べ0.5ポイント鈍った。8月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月に比べ11.9%増と底堅いものの、伸びは前月より0.3ポイント縮んだ。

1~8月の不動産販売額は前年同期比8.9%減り、減少幅は1~7月より0.7ポイント拡大した。8月の粗鋼生産は前年同月比1.0%増と低い伸びで、板ガラスの生産は3.8%落ち込んだ。

一方、中国指導部は景気の現状を「合理的な範囲」(李克強首相)とみており、すぐに大規模な景気刺激に動く可能性は小さい。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]