自宅購入の検討条件としての「災害」/ 広島土砂災害 死者・不明87人

当室管理人はその昔、広島市に10数年住んでいたことがありますので、今般、水害の被害に遭われた地域の状況は或る程度理解しています。少し遅れましたが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被害を受けられた方々にはお見舞いを申し上げておきたいと思います。

さて、当該被害地区は、当室管理人が幼稚園生だったはるか昔の時代(50年ちょっと前)には、遠足で行った丘陵地帯でした。そこを100万人都市を目指した市町村合併で環境整備が不十分なまま市街地化してしまい、今回の様な豪雨による被害が発生してしまったということになります。

広島市近辺の土壌は、非常にもろい風化花崗岩であり、ボロボロと崩れ易い性質の土壌であることは、短期間でも住んでみれば直ぐに分かります。この土質で、かつ山が迫った地形で、そのふもとを住宅地としたならば、大雨の場合には結構危ういと素人ながら思います。

それはそうとして、当室管理人は小学1年の時に、同じく広島市で洪水に遭いました。自宅が太田川放水路の近くにあり、当時はまだ放水路が工事中で完成する前でしたので、台風の大雨で通学路の大半が冠水してしまい、太ももまで水につかりながら帰宅した記憶があります。放水路完成後は水害は消滅していますが、それ以来、当室管理人が住居を構える上でチェックする最優先事項が、「水害の可能性の有無」となっていることは言うまでもありません。当室管理人は、川の近隣、海を含めた水辺、低地など、水害の発生しそうな場所には、絶対に住まないこととしています。

すでに東日本大震災で被害が発生した浦安市などの土壌流動化現象は言うに及ばず、今後もウォーターフロントに発生が予想される高潮や津波などの被害は、水害恐怖症の当室管理人には脅威です。そうした意味から、当室管理人は事情が許すようになって以来、20年以上埼玉県に住んでいるわけで、眺めと利便性はウォーターフロント地域には勝てませんが、個人的な安心感はそれを打ち消して余りあります。

ところで、水害の観点から、通勤途上などの機会に電車から周囲を眺めていますと、結構危うい住宅地というのはたくさんあるように思えます。特に危ういと思うのが、荒川の支流の河川敷に立ち並ぶ住宅地で、よくよく観察しますと、現在の河川敷と、昔の川岸であったであろう小高い土手のような川べり地との高低段差が、数メートル明白に存在しているのが分かります。いわゆる河岸段丘となっている地形です。おそらく、今回の広島市並みの豪雨があれば、この河川敷には相当な被害が生じるように思います。そこに住んでいる人たちは、地形まで考慮しているのかいないのかは知りませんが、住宅も株式も、すべて投資というものは自己責任です。何か被害が発生しても、他人の責任には出来ません。

それから、これも東日本大震災で判明した事実ですが、マンションの余り上の方の階はエレベーターが停止してしまうと、地上との行き来が不便であるということです。当室管理人はもともと高所恐怖症なので、5階以上には住むつもりがありませんから、震災の時もこれが幸いしてエレベーターが停止しても、普段から運動不足解消のために使用している非常用階段をいつも通り使用して不便は感じませんでしたが、上の階の人たちは階段の上り下りが大変だったと聞いています。

当室管理人の住む低層マンションでもこの調子ですから、いわゆる高層マンションの上の方の階は、エレベーターが停止してしまうと、相当に大変でしょう。持ち家は、一度買うと簡単に転居はできませんので、様々な角度から検討する必要があるという一例です。

なお、蛇足的に付言すれば、日本古代史が趣味の当室管理人は、住むならば弥生遺跡の近傍か神社の近隣、と決めていて、家族からは変人扱いを受けつつ、この方針を頑固に堅持しています。これが寺院ですと江戸時代など近世になって建立している場合が結構ありますが、神社はもっとずっと以前から近隣の村民が伝統的に集合(避難?)場所として使用していたような立地であることが多く、歴史的・経験則的に高台であったりあるいは安定的な地質であることが多いと思われます。安定的な土地柄かどうかは、本来は古老に尋ねるのが妥当ですが、都合よくそうした手段も取れませんので、当室管理人は弥生人または古社に尋ねる(?)こととしています。

ちなみに、現在住んでいるマンションは、隣の敷地から弥生遺跡が出土しています。

その他の指標としては、鉄道線路が一つの目安となります。鉄道の線路は基本的に水につからないように敷設されていますので、線路よりも高い立地の家屋は水につかる可能性は低いと思われます。

[まとめ]
自宅購入に際しては、水害・地震などの災害発生の可能性を、検討の前提条件とすること。資産価値が下がるため、役所は既存の住民に不利となる「指定」を行っていない可能性もある。


[以下、引用]
◆(※1)警戒区域、指定進まず 住民、資産価値低下を懸念 広島土砂災害 死者・不明87人

2014/8/23付日本経済新聞 朝刊

広島市北部の大規模土砂災害で22日、新たに1人の遺体が見つかり、死者は40人となった。安否が分からなかった人と連絡が取れるなどし、行方不明者は47人となった。今回の土砂災害現場のほとんどは危険箇所と認識されながら、土砂災害防止法に基づく「警戒区域」などに指定されていなかった。背景には土地の資産価値低下に対する住民の懸念などもあり、国土交通省は区域指定を円滑に進めるための支援策の検討を進める。(関連記事を社会2面に)

政府は22日午後、首相官邸で広島土砂災害の関係閣僚会議を開いた。安倍晋三首相は「被災者の生活再建に向けた支援に政府一体となって対応してもらいたい」と強調。ライフラインの早期復旧や生活必需品の供給など短期の対策とともに、被災者の心のケアといった中長期の支援にも取り組むよう指示した。

首相は24日に現地を訪れる予定。古屋圭司防災相は激甚災害の指定について「台風11、12号、前線の状況を一体的に見て対応を考えている」と述べた。

一方、今回の土砂災害現場の大半は土砂災害防止法に基づく「警戒区域」などに指定されていなかった。2001年に施行した同法では、都道府県が災害発生の可能性が高い区域を「警戒区域」と、より危険性の高い「特別警戒区域」に指定。警戒区域に指定されると、市町村は地域防災計画で避難体制を定め、住民にハザードマップなどで危険性を知らせる必要がある。

特別警戒区域に指定されると、宅地や学校などを新たに開発する際に都道府県の許可を受ける必要が生じ、住民に移転を勧告することもある。

同法は広島県で1999年6月に起きた31人が死亡、1人が行方不明となった豪雨による土砂災害がきっかけだった。だが今回被害が出た地区も土砂災害の危険箇所が多かったにもかかわらず、一部が警戒区域に指定されていただけだった。

国土交通省によると、危険箇所は全国52万5307カ所あり、広島県が3万1987カ所と最も多い。これに対して、警戒区域の指定数は広島は1万1834カ所と全国9番目。危険箇所が広島の4割にすぎない福岡県の区域指定数(1万7550カ所)よりも少なく、対応は後手に回っている。

指定作業が遅れている理由について、広島県砂防課の担当者は「指定前の住民への説明や測量などの業務に予算や人手がかかり、手が回らなかった」と話す。また「99年の被災地区への指定を優先し、今回の被災地は後回しになっていた」と悔やむ。

住民の懸念も一因のようだ。県によると、住民説明会では「土地や住宅の資産価値が下がる」「長年住んで災害がなかったのに危険区域といえるのか」などと訴える住民も少なくない。「県職員が測量のために敷地内に入るのを拒む住民もいる」という。

国交省幹部は「法律上、指定に際して住民の同意は不要だが、指定後の避難体制の策定などでは住民の協力が必要になることから、都道府県が一方的に指定することは難しい」と指摘。同省は先行している自治体の成功例を紹介するなど、区域指定を円滑に進めるための支援策を検討する。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]