日銀QE2発動 総裁「デフレ心理転換の遅れ防ぐ」

平成26年10月31日、黒田日銀総裁のバズーカ砲第2弾がいきなり炸裂しまして、おそらくはこの奇襲攻撃で、売り方は壊滅したのではないかと思います(※1)(※2)。折りしもGPIFの資産構成変更発表と時期が重なりましたので、予想外の相乗効果がありそうです。今回の日銀バズーカの公表は、GPIFの放出する国債を、間違いなく日銀が吸収するという意思表示の意味合いもあるのでしょう。

いずれにしても、日銀のETF買い増しとGPIFの日本株買い増しとは、株価には大きなプラス材料となります。株価の上昇は、資産残高効果により、或る程度は必ず消費活動を活発化させます。また、量的緩和の拡大は不動産価格を上昇させ、担保価値を高めますから、銀行貸し出しの余力を高める効果もあります。

一方で、量的緩和の拡大がもたらす円安効果の方は、まだまだ輸出の増加にはつながりません。もともと長年来の円高進行で工場の海外移転が進み為替の変動を相殺する方向へ産業構造がすでに転換していますので、少しばかり円安に戻ったところで、メーカーもすぐに工場を国内に呼び戻すというわけには行きません。円安水準がある程度固定的に長期間継続することで、経営判断がそれに対応して少しずつ工場を国内に回帰させるのを待つ他にありません。円安に伴う輸出の増加には相応の時間が必要です。

むしろ、今以上の円安に期待するよりは、資源・エネルギー方面の開発支援に財政資金を投下することなどで、自前の資源・エネルギーを確保し、円貨の価値を裏打ちする手段を確立する方が大事だと思います。

なお、日銀バズーカの影響で、10月31日の株価は跳ね上がりました。まだ当面は強含みの推移となるように思います。

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(SBI証券より引用)

[以下、引用]
◆(※1)日銀が追加緩和 物価上昇の鈍化懸念
国債購入30兆円増 / 投信は3倍 黒田総裁「脱デフレ、正念場」

2014/11/1付日本経済新聞 朝刊

日銀は31日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を決めた。足元の物価上昇が鈍化していることを受けて、資金供給量(マネタリーベース、総合2面きょうのことば)を年10兆~20兆円増やし、年80兆円に拡大する。長期国債の買い入れ量も30兆円増やして80兆円にする。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の購入量は3倍に増やす。記者会見した黒田東彦総裁は「デフレ脱却へ揺るぎない決意だ」と強調した。(関連記事総合1、総合2、経済1面に)
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日銀は2015年度にかけ物価上昇率を2%に高める目標を掲げている。31日に総務省が発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品・消費増税の影響除く)は前年同月比1.0%と、今年5月以降は伸び率が縮小している。物価上昇が鈍れば「デフレマインドからの転換が遅れる懸念があった」(黒田総裁)。

この懸念を払拭するため、昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」を量・質の両面で拡充する。金融政策の目標としている資金供給量を、これまでの年60兆~70兆円から年80兆円へと増やす。資金供給量は来年末には355兆円と国内総生産(GDP)の7割強にまで増える見通しだ。

長期国債の買い入れ額も年50兆円から80兆円へと拡充するとともに、買い入れる国債の償還までの期間(平均残存期間)を「7年程度」から「7~10年程度」へと延ばす。長い期間の金利の低下を促すことで、設備投資や住宅購入を支援する。日本株と連動するETFやREITの購入もこれまでの3倍に増やす。

日銀は雇用の改善などで景気は「緩やかに改善している」との判断を維持している。だが黒田総裁は「長年デフレが続いた日本は米国のように予想物価上昇率が2%程度に固定されているわけではない」と指摘し、デフレ脱却への「正念場」(黒田総裁)と判断した。

黒田総裁は今回の策で「物価目標の早期達成をより確実にする」と強調する。日銀は同日の決定会合で中長期の経済見通しを示す「展望リポート」を発表したが、政策委員9人の物価見通しの中央値は15年度で1.7%と、2%の物価上昇を達成するというシナリオをかろうじて維持した。

だが、追加緩和を巡っては日銀内でも意見が分かれた。政策委員9人のうち賛成が5人、反対が4人となり、僅差での政策決定は極めて異例だ。一部の委員には追加緩和が景気や物価上昇に与える影響が読みづらいとの指摘がかねてあり慎重な意見も少なくなかった。


◆(※2)日銀総裁「デフレ心理転換の遅れ防ぐ」 記者会見
2014/10/31 15:47 (2014/10/31 16:39更新)日本経済新聞 電子版

日銀の黒田東彦総裁は31日の金融政策決定会合後の記者会見で、消費増税後の需要面の弱めの動きや原油価格の下落など短期的な物価下押し要因が足元で存在していることを説明した。そのうえで、追加金融緩和を決めたことに関して「着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクが顕在化することを未然に防ぐ」ためと説明した。同時に「好転している期待形成のモメンタムを維持するため、『量的・質的金融緩和』を拡大することが適当と判断した」などと語った。

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追加金融緩和について記者会見する黒田日銀総裁(31日、日銀本店)

併せて「デフレ脱却に向けた揺るぎない決意」を表明。「物価安定目標の達成のため、できることは何でもやる」と強調した。

日銀は同日の決定会合で、追加金融緩和を賛成5、反対4で決めた。マネタリーベース(資金供給量)の増加ペースを年60兆~70兆円から約80兆円まで拡大する。中長期国債の買い入れペースを年約80兆円と、現状の約50兆円から約30兆円増加。平均残存期間もこれまでの7年程度から、7~10年程度に最大3年ほど延ばす。

〈黒田日銀総裁 発言のポイント〉
・追加緩和「物価目標の早期実現を確かなものにするため」
・景気「基調的には緩やかに回復を続けている」
・物価下押し要因「増税後の需要の弱さと原油の大幅下落」
・消費「消費税率引き上げ後の反動減やや長引いている」
・「物価下押し圧力が残存の場合デフレマインド転換が遅延するリスク」
・「期待形成のモメンタムを維持するため緩和を拡大」
・追加緩和「デフレ脱却に向けた日銀の揺るぎない決意改めて表明」
・「物価安定目標達成のためできることは何でもやる」
・「展望リポート議論の中で追加緩和を検討すべきとの意見出る」
・4人反対「リスクは共有も今必要かという点で意見分かれる」
・追加緩和「相当思い切ったので、それなりの効果がある」
・政策余地「上下双方向のリスク見て必要あれば躊躇なく調整」
・追加緩和「リスクを未然に防ぐ点から必要十分な拡大をした」
・物価「見通し期間中盤頃に2%程度に達する可能性高い」
・「2年程度を念頭に早期に物価安定実現との考え変わらず」
・追加緩和「為替相場への影響を目的としたものではない」
・追加緩和「戦力の逐次投入に全くあたらない」
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]