米FRB、量的緩和を終了

掲載が前後しましたが、10月29日の米FRBのQE3終了決定の記事は掲載しておかなければなりません(※1)。

当面、ゼロ金利は維持される様ですが、FRBは2015年中にも金利を引き上げる方針を示唆しており、エコノミストなどの多くは、FRBは同年夏ごろから利上げに踏み切るだろうと予想しています。

「FRBは量的緩和に区切りをつけたが、日銀は量的・質的緩和を続けている。欧州中央銀行(ECB)はこれから量的緩和に踏み込む可能性が出てきた」(※2)という先進国間の跛行性にも注意が必要です。


[以下、引用]
◆(※1)米FRB、量的緩和を終了

2014.10.30 Thu posted at 09:58 JST CNNより
ニューヨーク(CNNMoney) 米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、2008年から実施してきた国債買い入れなどの量的緩和を終了すると発表した。これで6年に及んだ景気刺激策は終了する。

量的緩和の終了は、雇用の改善など景気回復を反映した措置。子供用自転車の補助輪を外すような措置といえる。

米市場調査会社BTIGのダン・グリーンハウス氏は「景気が回復して労働市場が改善し、インフレ関連のリスクが低くなったとFRBが判断した」と解説する。

一方、事実上のゼロ金利については「相当の期間」維持するとした。FRBは2015年中にも金利を引き上げる方針を示唆しており、エコノミストなどの多くは、FRBは同年夏ごろから利上げに踏み切るだろうと予想している。

米国の景気はこの6年で回復ぶりを見せている。現在の失業率は5.9%に改善され、量的緩和が始まった2008年11月以来最低レベル。労働局の統計によると、就労者数は850万人以上増加した。


◆(※2)危機対応 6年で区切り 米量的緩和終了
脱ゼロ金利は綱渡り 世界景気なお波乱の芽
2014/10/31付日本経済新聞 朝刊

米連邦準備理事会(FRB)が29日、量的金融緩和の終了を決めた。リーマン・ショック以降、約6年にわたる異例の危機対応はひとつの区切りを迎える。ただ世界経済には減速懸念が漂い、テロや感染症など新たなリスクも浮上する。金融政策を正常に戻す「出口」戦略は一筋縄ではいかない。
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異例の量的緩和はゼロ金利政策とともに、米経済や危機に直面した世界経済を支える補助輪だった。FRBがその補助輪のひとつを外す判断を下したのは、一時10%に達した米失業率が5.9%まで下がり、景気の足腰がしっかりしてきたからだ。

実際、30日発表の7~9月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率で3.5%増と、米景気は緩やかながら回復を続けている。

ただ2008年秋の金融危機以降、3回に及んだ量的緩和で、FRBの総資産は4.5兆ドル(約500兆円)近くにまで膨らんだ。米国債などを買い取ることで、市場に大量に出回ったお金が時に大きく波打ち、世界の市場を揺らす副作用が目立ってきた面は否定できない。

「量的緩和には金利や株価、為替などに影響を与える金融面と、安心感をもたらす心理面の2つの経路がある。心理面は金融面と同じか、もっと重要だった」と米スタンダード・アンド・プアーズのエコノミスト、シェアード氏は総括する。金融危機後に凍り付いた経営者や投資家の心理を緩和マネーが温め続けた効果は確かにあった。

一方で駆け巡るお金は実需に見合わない水準まで膨らみ、不動産や商品などの市場で新たなバブルを招く可能性がある。投機的な資金が新興国から米国に急激に逆流するリスクもある。

FRBの次の一手を巡る金融市場の関心は、ゼロ金利というもう片方の補助輪をいつ外すかに移った。利上げのペースは緩やかなはずだが、世界経済はFRB依存からの脱却を迫られる。最近のの市場の動揺には、独り立ちへの不安が浮かぶ。

世界経済には中国の減速や欧州のデフレ懸念など随所に不安の影が差す。国際通貨基金(IMF)が今月見直した経済見通しで、世界の今年の実質成長率は3.3%にとどまった。日欧がともに1%を下回り、米国も2%程度にとどまるからだ。2年前に立てた予想と比べ、世界と米中の成長率はともに1%前後も低い。日欧もじり貧だ。

FRBは量的緩和に区切りをつけたが、日銀は量的・質的緩和を続けている。欧州中央銀行(ECB)はこれから量的緩和に踏み込む可能性が出てきた。新興国では中国人民銀行(中央銀行)がほぼ動きを止める半面、ブラジル中央銀行は29日、インフレの抑制へ予想外の利上げを決めた。世界が危機対応で結束した時期は去り、ちぐはぐな政策の方向は市場に波乱の芽を生む。

利上げの道ははっきりしても、FRBはタイミングを慎重に探らざるをえない。昨年、量的緩和を閉じる方針に早めに触れて驚かせたバーナンキ前議長は「金融政策は2%が行動で、98%が言葉だ」と細心の情報発信を促す。世界の市場がイエレン議長の声に耳をすましている。
(米州総局編集委員=西村博之)
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]