輸出持ち直しの兆し 10月、数量2年半ぶり高水準

ドル円相場は円安が進行し、11月22日の早朝段階で117円台の後半となっています。

買・売 117.71-117.73↓(14/11/22 05:59) 前日比 0.00 (0.00%) (SBI証券より引用)

これは10月31日の黒田バズーカ第2弾(日銀QE2)の発動によってもたらされた結果ではありますが、予想よりは早いペースでの円安水準到達という感じがします。日銀のQE2がなければ、もう少し緩やかなドル高・円安の進行であったはずのものです。

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(ドル円相場5年間:SBI証券より引用)

とはいえ、日経新聞の報道ですと、日銀QE2の発動前の10月段階の輸出数量指数(季節調整値、2010年=100)は前月比2.2%上昇して92.7となっています(※1)。これは、安倍政権への移行(H24.12.26(※3))に伴う円安の進行により、その効果が2年ほど経過した今頃、ようやくにして輸出現場に浸透・発現したものと言い得ます。経済効果とはこうしたもので、効果が浸透するには幾分の時間が必要です。

しかしながら、まだこの程度では円安効果が十分なものとは言えません。上記のチャートの通り、日銀QE1によって第一弾の円安が進行して1ドル100円前後の水準となり、この10月の輸出数量指数改善につながっているわけですから、その後の日銀QE2による更なる円安レベルによってもたらされる輸出改善効果は、まだ発現されておりません。

円安によって輸入物価が上昇すれば、国内製造業は間違いなく競争力が上昇して復活します。現在の117円レベルが維持されるとするならば、これは製造業の国内設備増強、国内回帰に大きく寄与するものと思います。日本経済は元気を取り戻すことになります。


[以下、引用]
◆(※1)輸出持ち直しの兆し 10月、数量2年半ぶり高水準
円安で現地価格下げる
2014/11/21付日本経済新聞 朝刊

輸出に持ち直しの兆しがでてきた。内閣府が20日まとめた10月の輸出数量指数(季節調整値、2010年=100)は前月比2.2%上昇して92.7となった。2カ月連続で前月を上回り、指数の水準は12年6月以来、約2年半ぶりの高さとなった。海外での販売価格を引き下げて輸出量を増やす動きがあり、ようやく円安の効果が少しずつ表れてきた可能性がある。
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財務省が20日発表した貿易統計速報では、10月の輸出額は前年同月比9.6%増、輸入額は同2.7%増となった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7100億円の赤字となり、前年同月に比べ35.5%減った。

輸出数量指数(季節調整値)でみると、米国、欧州連合(EU)、アジアいずれの地域向け輸出も前月を上回った。3地域そろってプラスになるのは1年ぶりだ。前月まで低迷していたEU向けは自動車などの輸出が増えて前月比9.5%上昇と大きく伸びた。米国向けも自動車部品などが伸びて0.7%上昇し、半導体が好調なアジア向けは0.5%上昇だった。

日銀の大規模な金融緩和などによって直近2年間は大きく円安が進んだ。ただ日本企業の多くは収益性を重視するため、現地での販売価格の引き下げをためらってきた。足元ではもう一段の円安が進んでおり、一部に販売価格を下げる動きも出てきた。

現地販売価格を示す日銀の輸出物価指数(契約通貨ベース、10年=100)をみると、10月の指数は前年同月比1.7%低下の97.5となり、09年7月以来の低い水準になった。品目別では電気・電子機器が3.9%低下したほか、金属・同製品も3.3%下がった。

輸出価格が下がればライバル企業に比べて市場で有利になるため、輸出量が増える。10月の輸出額をみると、半導体などの電子部品はアジア向けが好調で前年同月比8.7%伸びた。鉄鋼も11.8%増で全体の伸びをけん引した。「円安による日本製品の価格競争力の改善が、ようやく輸出に波及してきた」と伊藤忠経済研究所の三輪裕範所長は述べる。

輸出の持ち直しが遅れていたのは欧州など海外経済が減速していた要因もある。ただ国際通貨基金(IMF)の見通しでは15年の世界輸出全体の伸びは前年比5.0%と、14年(3.8%)から加速する見込みだ。とりわけ米国経済が堅調で、アジア全体の輸出を押し上げている。停滞気味だった輸出が再び増勢に転じるか、分岐点にある。


◆(※2)貿易赤字、10月は35%減 輸出2カ月連続増
外需回復・原油安で
2014/11/20付日本経済新聞 夕刊

財務省が20日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7099億円の赤字だった。貿易赤字は28カ月連続だが、額は前年同月に比べ35.5%減った。輸出が中東向け自動車などの好調で1割近く増えた一方、輸入は原油安の影響で3%弱の伸びにとどまったためだ。円安が続くなか、海外需要の回復で輸出に持ち直しの兆しが出ている。
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貿易赤字の減少率は10月までの28カ月間でみると最大だった。これまでは2014年5月の8.1%が最も大きかった。

赤字の減少につながったのが、2カ月連続となった輸出の増加だ。10月は前年同月比で9.6%増え、輸入の伸び(2.7%)を大きく上回った。輸出は数量でみても4.7%増と、2カ月連続で拡大した。数量が2カ月以上続けて前年同月を上回るのは、2013年10~12月以来となる。

輸出額が伸びた主な品目は自動車だ。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)向けを中心に6.2%拡大した。シンガポール向けの貨物船やタイ向けの鉄鋼も好調だった。
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国・地域別では、アジア向けが船舶や電子部品の増加で10.5%伸びた。対米は自動車部品や建設用・鉱山用機械の好調で8.9%増えた。

輸入は中国からの携帯電話など通信機器が29.6%増えたほか、デンマークや米国からの肉類の伸びが目立った。携帯電話は米アップルが9月に発売した新型スマートフォン「iPhone6」が増えたとみられる。

一方で輸入数量は2.1%減った。外貨建て取引の基準になる円相場の公示レートが平均1ドル=108.36円と前年同月より10.3%の円安になり、輸入価格が上昇したことが響いた。

近年、輸入額を押し上げてきた原油は金額で10.8%、数量で8.8%減少した。原油価格の下落で通関単価が下がったほか、国内の電力需要が少なかったためだ。

国・地域別の貿易収支は対米が6144億円の黒字で、黒字額は6.8%増えた。対アジアは1383億円の黒字で、2カ月ぶりに黒字に転換した。アジアのうち中国とは5867億円の赤字。携帯電話や太陽光発電に使う部材の輸入などが増え、赤字額は15.1%拡大した。

輸出の動向について、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「米国の景気の持ち直しで、米国向け製品をつくるアジアの工場に向けて日本からの輸出も増えている。米国で労働市場が改善し、需要が高まるかが日本の輸出の焦点になる」としている。

◆(※3) [注意: 2年前の記事です。]
「強い経済へ総力」 安倍首相が就任会見、成長を重視

2012/12/26 23:21日本経済新聞 電子版

自民、公明両党の連立による第2次安倍晋三内閣が26日夜、発足した。自公両党の政権復帰は2009年9月に退陣した麻生内閣以来、約3年3カ月ぶり。安倍氏の首相就任は前回の06年9月以来2度目。首相は首相官邸での就任後初の記者会見で「政権に課せられた使命はまず強い経済を取り戻すことだ」と述べ、財政・金融政策を総動員して景気回復をめざす考えを表明した。

首相は今回の内閣を「危機突破内閣」と命名したと説明。経済再生と東日本大震災からの復興、危機管理の3点に全力で取り組むよう指示したことを明らかにした。経済再生にあたっては「大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の三本の矢で力強く経済政策を進める」と強調。大型の12年度補正予算案を編成し、デフレ脱却を実現する考えも示した。

政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を巡っては、前回の第1次安倍内閣で設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者から再び意見を聴取すると表明。「内閣をあげて外交・安全保障体制の強化に取り組む」として日本版NSC(国家安全保障会議)の設置をめざすと強調した。

社会保障と税の一体改革に関しては、自民、公明、民主の3党合意を踏まえて対応する考えを改めて強調。インターネットを活用した選挙活動については来年夏の参院選までに解禁をめざす意向を示した。

首相は同日午後の衆参両院本会議の首相指名選挙で第96代の首相に選出され、その後、直ちに官邸入りし、公明党の山口那津男代表との会談で協力を要請した。その後、麻生太郎副総理ら18人の閣僚を任命した。同日夜の皇居での首相の親任式、閣僚の認証式を経て内閣は正式に発足した。

首相は同日夜の初閣議で12年度補正予算案と13年度予算案の策定を指示するとともに、成長戦略を検討する日本経済再生本部の新設を決める。13年度予算編成にあたっては、各省庁に概算要求の再提出を求める方針だ。

内閣・党役員人事では来夏の参院選をにらみ党人事で清新さをアピールする一方、閣内は安定感を重視し、枢要ポストに有力者や政策に詳しい議員を多く配置した。首相は経済再生を最優先課題に掲げており、実績を重ねて景気浮揚を実現し、参院選で自公両党で過半数を確保したい考え。金融政策を担う日銀にも一段の金融緩和を求めている。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]