原油価格はしばらく低迷する

日経新聞の記事で、原油価格については、現在は1986年の状況に似ているという指摘があります。

「当時、北海やアラスカで大規模な新規の油田開発が軌道に乗り供給過剰になったところに、シェア低下を恐れたサウジアラビアが価格調整役を放棄。原油価格は10ドル台までに急落して、その後、長期にわたり原油安が続いた」ということで、現在の情勢とそっくりです。

今回も、米シェールや深海油田など非在来型の資源開発が進み、供給源が多様化した情勢下で、サウジは再び調整役を放棄しています。


[以下、引用]
◆メジャー、石油開発投資絞る 業績悪化で見直し

2015/2/14 1:30日本経済新聞 電子版
【フランクフルト=加藤貴行、ニューヨーク=稲井創一】原油価格の低迷を受け、石油関連会社が経営戦略の見直しに動いている。原油安の長期化を見込む石油メジャー(国際石油資本)は開発を抑制。業績が急降下している米シェール企業も投資案件を絞り込む。業績格差も広がっており、再編に向けた動きも活発になりそうだ。

「原油価格はしばらく低迷する」(英BPのダドリー最高経営責任者=CEO)。「過去のレベル(1バレル90ドル相当)に戻る時期を予測するなど不可能だ」(英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルのファン・ブールデンCEO)。米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格は一時の1バレル40ドル台から50ドル台に戻しているが、各社は価格の先行きに慎重な姿勢を崩さない。

背景にあるのが構造的な供給過剰だ。ダドリーCEOは「現在は1986年の状況に似ている」と話す。当時、北海やアラスカで大規模な新規の油田開発が軌道に乗り供給過剰になったところに、シェア低下を恐れたサウジアラビアが価格調整役を放棄。原油価格は10ドル台までに急落して、その後、長期にわたり原油安が続いた。

今回も需給環境が緩んでいることが相場の重荷となっている。21世紀に入り米シェールや深海油田など非在来型の資源開発が進み、供給源が多様化した。サウジは再び調整役を放棄した。

原油安はすでに業績に響いている。2014年10~12月期決算では開発部門の採算悪化などでBPと仏トタルが最終赤字に転落。14年7~9月期まで堅調だった米エクソンモービルとシェブロンも14年10~12月期に最終減益に転じた。

「新たに大規模な開発を進めるには、50ドル周辺の原油価格は(採算を取るには)十分ではない」(シェブロンのワトソンCEO)。一段の業績悪化を防ぐためメジャーは新規投資に慎重だ。

シェブロンは北極海の資源探索を無期限に延期したほか、ポーランドでのシェール探索も打ち切ると発表。15年は13%投資を削減する。BPも15年の投資は200億ドル以下と14年に比べ1割以上絞り込む。

財務基盤が安定した企業はM&A(合併・買収)の好機をうかがっている。「最適な事業ポートフォリオ構築のため常に機会を探っている」とエクソンのウッドベリー・バイスプレジデントは今月2日の決算発表でM&Aに意欲を示した。

メジャーはここ数年採算重視の経営を徹底し、エクソンの場合、14年の純現金収支(フリーキャッシュフロー)が180億ドル(約2兆1000億円)と現金創出力が強化されている。一方、BPが業績不振で株価が低迷するなど、企業体力の格差が出ている。このため、今回の原油安局面がエクソンとモービルの合併などがあった90年代後半以来の大型再編につながるとの見方もある。

一方、米シェール企業は業績の悪化が鮮明だ。14年10~12月期決算では最終赤字に転落するシェール企業が相次ぎ、投資縮小が加速している。

全米有数のシェール鉱区、ノースダコタ州バッケン地区で強固な基盤を持つヘス・コーポレーションは14年10~12月期決算で最終損益が800万ドルの赤字(前年同期は19億ドルの黒字)に転落。15年の投資を前年に比べ16%減の47億ドルに引き下げた。オクシデンタル・ペトロリウムも四半期ベースで13年ぶりの赤字転落と15年の投資削減を公表した。

ただ、シェール企業の高水準の原油生産量は続きそうだ。15年に約3割投資を削減するコノコフィリップスは15年も生産量を前年比で2~3%増やす。先物を使ったヘッジ効果もありシェール企業は既存の開発案件では最大限生産して現金化を急いでいる。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]