中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている

中国経済が変調をきたしていることは、だれもが薄々気付いてはいますが、その確たるデータがありませんので、成長率鈍化で2~3%の成長か、程度の推測が大勢です。

当室も、上海総合指数の推移から見て、高成長国の株価推移ではないということで、低成長である実態を推測してはいましたが、最近、高橋洋一先生が貿易統計という誤魔化しの利きにくいデータから、中語句経済のマイナス成長を推定しています(※1)。現代ビジネスの掲載記事を転載しておきたいと思います。

記事の要点は次の通りです。
①中国の輸出入額を合計した貿易総額は4兆ドルをこえて、世界第一位である。輸入額については、アメリカに次いで世界第二位。輸入のうち、アジアからが5割を超えている。
②貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響は大きなものになる、ということだ。しかも、その影響は、中国との貿易依存度が大きい、アジアでより深刻になる。
③輸出入統計は、相手国があるので、そう簡単には誤魔化せない統計である。その数字をみると、今年1月から7月までの中国の輸入は前年比14%も減少している。
④輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、かなり安定的な正の関係(GDPが伸びているときには、輸入が伸びている)がある。
⑤世界の先進国のデータから、その安定関係を推計して、中国の輸入の伸び率からGDPの伸び率を算出すると、今年は7%成長どころか、マイナス3%成長である。
⑥リーマン・ショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少、輸入も15%程度減少した。今の中国の経済減速は、リーマン・ショック後のアメリカと似ている状況だ。
⑦今の景気の足踏みに加えて、「起こりうる」中国ショックに備えるために、この秋は大型の補正予算が必要だろう。

中国は、不動産市場は停滞か崩壊、株式市場は崩落、輸入は14%減少ということであれば、リーマン・ショック後の米国、という例えもハズレではないと思います。

株式ポジションとしては、慎重な構えで臨むのが無難であると思います。日経平均が戻ったらそれで安心ということではなく、下手に動くと損が拡大しそうな場面です。リーマン・ショックの時も、本当の暴落に至るまでには少し時間が必要でしたので、今回の下落はその予行演習という可能性もあります。

ただ、米国経済は好調を維持している様子が伺えますので、米国株に「避難」しておくことは有効な選択肢と考えることも出来ましょう。

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(日経平均6ヶ月:SBI証券より引用)


[以下、引用]
◆(※1)衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている データが語る「第二のリーマン・ショック」
日本経済の沈没を回避する手はあるか?
 2015年08月24日(月) 高橋 洋一/現代ビジネス  高橋洋一「ニュースの深層」

中国経済の落ち込みは、実に深刻

先週の本コラムの冒頭で、4-6月期GDPが悪い、ということを書いた。

17日に発表された4-6月月期GDPは、前期比で▲0.4%。その内訳を寄与度でみると、民間消費▲0.4,民間設備など+0.1%、公的消費・投資+0.2%、純輸出▲0.3%である。「民間消費」と「純輸出」が悪かった。

「民間消費」が悪いのは、2014年4月からの消費増税の影響である。1997年の時にもそうだが、消費増税は恒久的な影響があるので、そう簡単に悪影響はなくならないのだ。

ただ、アベノミクスの円安のおかげで、外為特会の“20兆円”が使えるので、政府として手の打ちようはある。今のところ、GDPギャップは10兆円くらいあるので、5~10兆円の対策をしても、財源の心配は必要ない。

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深刻なのは、「純輸出」の減少の原因となっている、中国経済の落ち込みである。上海株が再び下落し、製造業の景況感指数も悪化するなど、中国経済への懸念が広がっている。その不安は、世界の株安にまで広がっているようだ。

もちろん株価に一喜一憂しても意味ない。中国の株式市場は管理相場なので、下がると次は上がるかもしれない。

ただ、当面の株価ではなく、中期的な中国経済の先行きがどうなるか、リーマン・ショックのように世界経済に悪影響を及ぼすおそれはあるのかを考えておきたい。

世界経済に与える影響は?

まず、世界貿易における中国の位置を確認しておこう。

中国の輸出入額を合計した貿易総額は4兆ドルをこえて、世界第一位である。輸入額については、アメリカに次いで世界第二位。輸入のうち、アジアからが5割を超えている。中国の輸入は相手国から見れば輸出であり、国別でみると、韓国、日本、台湾、アメリカの順である。また、東アジアの高成長国も中国への輸出が多く、中国依存度は大きい。

中国経済が不調になった場合、輸入の減少につながるが、相手国では輸出の減少となって、GDPを低下させる。その輸出国のGDP低下は、その国の輸入を減少させることになり、それがさらに第三国の輸出を減少させるといった「波及効果」がある。

要するに、貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響は大きなものになる、ということだ。しかも、その影響は、中国との貿易依存度が大きい、アジアでより深刻になるだろう。

現在の中国の株式市場は、ほとんど機能不全に陥っている。もっとも、海外投資家から見れば、中国市場への投資は、個別に中国企業の財務諸表をみたりして行っているわけではないだろう。そうしたデータはほとんど信用ないからだ。投資戦略としては、中国当局の色のついた投資家が買っている銘柄を、後追いして買うだけだ。

そうした状態になると、外国人投資家はいつでも中国から逃げ出してもおかしくない。個別企業のみがわからないのではなく、中国経済全体も統計数字があてにならない。

筆者のようにデータをベースに分析する者にとって、中国経済の統計データは鬼門である。しばしば、GDP統計はあてにならず、電力消費、貨物輸送量、銀行融資だけがまともな統計といわれる。これは、中国の統計の実態を告白したとされている李克強氏による「ウィキリークス」での有名なエピソードである。

これらの数字は中国国家統計局が公表しており、その動きはGDPの数字とかなり連動している。統計的に見て、電力消費、貨物輸送量、銀行融資が正しいのであれば、GDPが捏造されているとはにわかに言いがたい。

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本当は「マイナス成長」という衝撃

実は、筆者が注目しているのは、輸出入統計である。これは、相手国があるので、そう簡単には誤魔化せない統計である。その数字をみると、今年1月から7月までの中国の輸入は前年比14%も減少している。

輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、かなり安定的な正の関係(GDPが伸びているときには、輸入が伸びている)がある。GDP統計が比較的正しいと思われる先進国の2010-2012年の輸入の伸び率とGDPの伸び率をプロットしたのが、下図である。

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これを見ると、輸入が前年比10%以上も減少しているときに、GDPがプラス成長ということはまずあり得ないということだ。

世界の先進国のデータから、その安定関係を推計して、中国の輸入の伸び率からGDPの伸び率を算出すると、今年は7%成長どころか、マイナス3%成長である。もしこの推計が正しければ、中国経済は大変な減速局面になっている。

リーマン・ショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少、輸入も15%程度減少した。今の中国の経済減速は、リーマン・ショック後のアメリカと似ている状況だ。

日本経済は完全に沈没

日本の場合、2017年4月からの10%への消費増税を控えている。中国ショックの可能性を考えれば、とても増税を行える環境ではない。

かりに中国ショックがなかったとしても、今年の経済財政白書では消費増税の影響が分析されているが、その分析を参考にして成長率試算をすると、2017年度は再びマイナス成長になってしまう。

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中国ショックがあれば、ダブルパンチになるので、日本経済は完全に沈没である。そうなると、金融緩和でもっている雇用のいいパフォーマンスも確実に失われるだろう。

今の景気の足踏みに加えて、「起こりうる」中国ショックに備えるために、この秋は大型の補正予算が必要だろう。その財源はアベノミクスの成果である外為特会の含み益“20兆円”であるので、安倍政権の意向ひとつで容易に組める。

やるかやらないかは、安倍首相次第である。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]