安保関連法が成立、集団的自衛権行使が可能に-参院本会議で可決

「集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法は19日未明、参院本会議で賛成多数により、可決、成立した」ということです(※1)。

政治向きの話題は当室の守備範囲を超えていますので、詳細はブルームバーグの記事内容をご参照いただくとして、これが一つの画期をなす法案であることは間違いないために、ここで備忘的に取り上げておきたいと思います。

このブルームバーグ記事で掲載されているような写真が示す委員会採決プロセスの混乱状態は、皮肉にも、話し合いによる討議や秩序立った取り決め交渉(外交交渉も同様)が不可能である事案も存在することを野党自らが体現しています。野党議員自体が、秩序を乱して自分の主張内容を実力行使で表明する姿は、類推して当てはめれば外国が日本に対して問答無用で武力行使する姿と何ら変わりはありません。そうした情勢は十分想定できるが故の今回の安保法案なのであり、無法な侵略や攻撃に対応するのが主たる目的であると思います。

もう一つの目的は、邦人の救出です。当室管理人が以前勤務していた会社はソウルに支店があり、その当時の上司から聞いた話では、光州事件の動乱の時に米軍は次々と飛来して米国人を救出して帰って行ったが、日本はJALが1機来ただけで、我々の身は全くどうなるかと思った、ということでした。自分自身がそうした場面に遭遇したらどうなるのか、どう思うのかという想定力なしに、法案反対を唱えてみても仕方ありません。当室管理人は、やはり自衛隊に来てもらいたいと思います。

現実問題として、中国はバブル崩壊と経済不振で今後の動向は不明瞭であり、場合によっては韓国も含めて「邦人救出」の場面がまた発生する可能性がないとは言えません。もちろん、投資的にはその確率が相当に低いことを想定・祈念していますが。


[以下、引用]
◆(※1)安保関連法が成立、集団的自衛権行使が可能に-参院本会議で可決 (1)
2015/09/19 03:27  ブルームバーグより

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(ブルームバーグ):集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法は19日未明、参院本会議で賛成多数により、可決、成立した。民主党などは衆院に安倍晋三内閣不信任決議案などを提出して抵抗したが、与党側が一部野党の協力も得て押し切った。参院が否決したとみなして衆院で再可決して成立させる「60日ルール」の行使は回避した。

安倍晋三首相は19日、安保関連法について「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのもの」と説明。国民に対し、「誠実に粘り強く説明を行っていく」と語った。採決結果を受けた安倍首相の記者団への発言場面をNHKが中継した。

民主党の岡田克也代表は18日午前、国会の状況について「非常に重大な局面に来ている。法案の成立を阻止するためにあらゆる努力を重ねる」との考えを示していた。国会内で開いた維新、共産など5野党の党首会談後、記者団に語った。

成立したのは自衛隊法など10法を改正する「平和安全法制整備法」と、新法となる「国際平和支援法」。日本近海で米軍が攻撃を受けた場合などに集団的自衛権を行使できるようになるほか、国連決議に基づいた平和活動を行う外国軍の後方支援のため、国会承認を前提に自衛隊を随時、派遣することが可能となる。

東京財団の渡部恒雄上席研究員は「孤立して生きていけるほど世界は甘くない。この法律により日本の国際協力、安全保障協力の幅は広がるので、それはかなりの国に評価される」と説明。一方で、「活動範囲が広がる分だけ、日本の自衛隊が被害を受けるリスクは当然出てくる」とも述べた。今後の課題として、自衛隊派遣で必要となる国会承認の手続きについて、国会に提供する軍事機密情報の漏えいを防止する仕組みづくりの必要性を挙げた。

あらゆる手段

民主、維新、共産、生活、社民の5野党は16日、参院特別委員会で与党が採決を強行する場合には、不信任決議案など「あらゆる手段」で阻止することで合意していた。野党の徹底抗戦を受け、国会は荒れた。

与党は当初、参院特別委での総括質疑を16日夜に予定していたが、野党は人垣を作って理事会室をふさぎ、鴻池祥肇委員長が委員会室に移動できないようにした。鴻池委員長は17日午前、いったん委員会開始を宣言したが、民主党は委員会運営が強引だとして、委員長の不信任動議を提出したため、中断。その後、再開した特別委で動議は否決された。鴻池氏は直後に安保法案の採決を実施、与党と次世代、日本を元気にする会、新党改革の賛成多数で可決した。

自民党の佐藤正久参院議員は、民主党などが同意していない中での採決について「あのタイミングは一つのやむを得ない選択」と語った。民主党の福山哲郎幹事長代理は「あれで可決なんて到底認められない」と述べた。佐藤、福山両氏は特別委の採決後、国会内で記者団に語った。

与党は16日、元気、次世代、新党改革の3野党と国会内で党首会談を開き、自衛隊派遣にあたり国会承認手続きを厳格化することで合意していた。

支持率

NHKの世論調査によると、5月時点では51%だった内閣支持率は安保法案の閣議決定後は下落を続け、8月には第2次政権発足以降最低の37%を記録。9月調査では43%まで回復したものの、安保法案を今国会で成立させる政府・与党の方針に「賛成」は19%、「反対」が45%だった。これまでの国会審議で議論は尽くされたと思うかとの問いに、「尽くされた」は6%、「尽くされていない」は58%だった。

国会前では連日、法案に反対するデモが開催された。主婦の新井真知子さん(68)は17日、小雨が降る中でデモに参加し、「平和に暮らすことは当たり前の権利。それが奪われるのではないかと危惧している」と訴えた。さらに、「私は戦後すぐの貧しい日本に生まれた。その貧しさは戦争によるものだった」と振り返り、「安倍さんは国民の理解が深まっていないというけれど、そんなの国民をばかにしている」と訴えた。

来年の夏には参院選が予定されており、支持率の下落は選挙結果に影響を与える可能性がある。政府は今国会で成立させる目標を掲げてきた。

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更新日時: 2015/09/19 03:27 JST
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]