中国の製造業が崩壊する日 中国発の恐慌に備えよ!

「5中全会」前に〈中国経済の近未来予測〉と題された文書が密かに出回ったという(※1)。その要点は次の様になっているそうですが、マクロ経済的に当室の抱く中国のイメージと大層よく似ています。

「中国経済は、石炭・鉄鋼・金属・石油・化学工業などの生産過剰、不動産バブルの崩壊、地方政府債務の増大によって、この先、深刻な状況に陥るだろう。

この危機的状況から脱却するベストの方法は、中国経済を牽引する「三頭馬車」(輸出、消費、投資)のうち、国民の消費を伸ばすことだが、消費は株式バブルの崩壊によって、完全に頭打ちだ。輸出も同様に伸びず、結局は政府主導の投資に頼らざるを得ない。

だがインフラ整備、不動産建設、製造業支援などの投資は、将来への借金であり、かつそれほど需要もない。つまり投資も減少させるしかなく、八方塞がりの中国経済は、かなりのレベルまで下降していくだろう。」

指摘は極めて具体的で的確です。みなさん、十分ご留意いただくのが無難だと思います。サブプライムローンの場合は、少し時間がありました。中国経済の場合は、それよりも、まだもう少し時間があるかも知れません。


[以下、引用]
◆(※1)中国の製造業が崩壊する日
もはや対岸の火事ではない。中国発の恐慌に備えよ!
2015年11月11日(水) 週刊現代経済の死角
一人っ子政策廃止の理由

10月26日から29日まで、北京で「5中全会」が開かれた。'16年から'20年までの経済発展目標である「第13次5ヵ年計画」を策定する重要会議である。習近平主席が主催し、355人の共産党幹部が、一堂に顔を揃えた。

だが今回策定した5ヵ年計画に限っては、明るい話がほとんど出てこなかった。「5中全会」を取材した中国人ジャーナリスト李大音氏が語る。

「経済状況があまりに悪いため、4日も幹部たちが議論して、決めたトピックは、国民の生産力と消費力を上げるため、一人っ子政策を完全廃止するということだけでした。そもそもメンバーの12人がすでに粛清されているため、参加者たちは『次は自分かも』と戦々兢々だったのです」

李氏によれば「5中全会」前に〈中国経済の近未来予測〉と題された文書が密かに出回ったという。

「それは、5ヵ年計画の叩き台として、財政分野を担当する中国財政部と投資分野を担当する国家発展改革委員会が、A4用紙で11枚にまとめたものです。そこには'16年の中国経済予測が書かれ、李克強首相にも回覧されたと聞いています」

以下がその概要だ。

〈中国経済は、石炭・鉄鋼・金属・石油・化学工業などの生産過剰、不動産バブルの崩壊、地方政府債務の増大によって、この先、深刻な状況に陥るだろう。

この危機的状況から脱却するベストの方法は、中国経済を牽引する「三頭馬車」(輸出、消費、投資)のうち、国民の消費を伸ばすことだが、消費は株式バブルの崩壊によって、完全に頭打ちだ。輸出も同様に伸びず、結局は政府主導の投資に頼らざるを得ない。

だがインフラ整備、不動産建設、製造業支援などの投資は、将来への借金であり、かつそれほど需要もない。つまり投資も減少させるしかなく、八方塞がりの中国経済は、かなりのレベルまで下降していくだろう。

そうなると、銀行は貸し渋りに走る。それによって民営企業が経営難に陥り、景気はさらに悪化する。だがもし政府が銀行の貸し渋りを強制的に正せば、今度は銀行が破綻に追い込まれる……〉

前出の李氏が続ける。

「すでに製造業は危機的状況で、毎年750万人もの大学生が卒業していくというのに、いまや中国企業でさえ、次々に東南アジアや南アジアの国々に工場を移転させている有り様です。

中国最大120万人の工場労働者を雇用して、iPhoneなどを組み立てている台湾の鴻海(ホンハイ)が、インドに工場を移転させた時が、中国の製造業が崩壊する時と言われています。

さらにこの夏の株価暴落が重なり、3億人から5億人いる中間所得者層が大打撃を受けた。いまや地方では、『鬼城』(ゴーストタウン)と『鬼市』(ゴーストシティ)が続出し、来年はさらに悪化すると、どの地方自治体も頭を抱えているのです」

まさに目を覆うばかりの中国経済の近未来図だ。とにかく好材料が見つからないのだから、出口が見えないわけである。

「爆買い」が「並買い」になる

だが、中国経済の悪化は、日本としても「対岸の火事」では済まされない。

まず気になるのは、「爆買い」で話題を呼んでいる中国人観光客の動向だ。

日本政府観光局によれば、今年1月から9月までの中国人観光客数は383万人を超え、前年比214%と、他国・地域に較べてトップだ。しかも、同局の訪日外国人消費動向調査(7~9月)によれば、中国人一人当たりの日本国内での平均消費額は、約21万6000円とダントツなのだ。

こうした中国人の「爆買い」によって、デパートや家電量販店、ドラッグストアなどが大いに潤っているのは、周知の通り。例えば、三越銀座店の今年1月から9月までの免税品の売り上げは、前年同期比で3・5倍にも伸びている。

「『爆買い』効果でウハウハできるのは、せいぜい今年いっぱいまでと考えておくべきです。これから中国経済の悪化が進むことを思えば、中国人観光客が急減することはないにしても、『並買い』に変わるでしょう」(北京の日本大使館関係者)

さらに、中国経済の悪化による、中国へ進出している日本企業への影響も、気になるところだ。現地の日本企業の親睦団体である中国日本商会によれば、約2万3000社の日本企業が中国へ進出し、約1000万人もの中国人を雇用している。

中国に進出している日本企業の研究が専門のRFSマネジメント・チーフエコノミストの田代秀敏氏が解説する。

「中国経済が悪化した時の影響として、訪日中国人の『爆買い』減少もたしかに問題ですが、最も深刻な影響を受けるのは、日本の自動車産業です。

中国の自動車販売が減少傾向にある中、日本企業は今年1~8月に、前年同期比5・9%増の199万台と販売を伸ばしています。特にホンダと日産は、日本国内より多く中国で販売している。中国での販売が半減すれば経営危機に陥るでしょう。

他には、現時点で中国の景気減速を受け、来年3月期の利益予想を下方修正しているアドバンテスト、オムロン、キヤノン、東芝機械、日本精工、日立建機なども、大きな影響を受けるでしょう」

前出の北京の日本大使館関係者も、警告を発する。

「最悪の場合、今後2年以内に、中国発の恐慌が起こる可能性があります。日本はいまから、その事態に備えておくべきです」
「週刊現代」2015年11月14日号より
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]