人民元、「国際通貨」に仲間入り IMFが正式決定

経済史的に相応の画期となるニュースですので、人民元がSDRの一つとして採用された記事を備忘的に転載しておきたいと思います(※1)。

経済規模はともかくとして、通貨の自由化の進行度合いはいかがなものでしょうか。


[以下、引用]
◆(※1)人民元、「国際通貨」に仲間入り IMFが正式決定

2015/12/1 10:56日本経済新聞 電子版

【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は30日の理事会で、通貨危機などに備えてIMFが加盟国に配るSDR(特別引き出し権)に中国・人民元を採用することを正式に決めた。世界的に決済や投資に使われる国際通貨のお墨付きを与えたかたちで、実際の組み入れは2016年10月。元はドルや円などに次ぐ5番目の通貨としてSDRに加わるが、構成比でみると巨大な経済規模を映して円を上回る3位に一気に浮上した。

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 中国 人民元

IMFがSDRの通貨構成を見直すのは現在の仕組みが発足してから約35年ぶり。中国が世界第2位の経済大国に台頭したことで、元も主要通貨にふさわしい貿易量や取引の広がりがあると判断した。日米欧の主要先進国が主導してきた戦後の国際通貨体制は、大きな歴史的節目を迎える。

SDRに入っていないスイスフランやカナダドルでも現実には準国際通貨としての機能を持つ。SDRになるとIMFからいつでも換金可能な「自由利用可能通貨」とみなされる点で信用度が高まる利点がある。

5大主要通貨に位置づけられることで貿易・投資で中長期的には元の利用に弾みがつきそうだ。ただ、中国の金融資本市場の改革は道半ばで、SDR入りに伴い、通貨取引の自由化や市場の透明性向上など厳しい課題をつきつけられる。

IMFのラガルド専務理事は理事会後の記者会見で「中国当局は数年にわたって通貨・金融制度を改革してきた」と一定の評価を示した。

一般の投資家らは実際に市場でSDRを購入できない。IMFは一定の比率で加盟国にSDRを配分し、もしある国が資本収支危機などに陥ったら、手持ちのSDRを米国や日本などに持ち込んで現金に換えてもらい、外貨繰りをしのぐ。

ドル不足などに見舞われた際にこうして主要通貨国から現金を「引き出せる」仕組みから、加盟国の間で有事に備えて取り決めておく一種の「通貨の請求権」の性格をもつ。現行はドル、ユーロ、円、英ポンドの主要4通貨で、ここに来年10月から元が入る。

SDRには国際準備通貨としての象徴的な意味合いも濃く、採用されてもただちに元の取引市場が拡大したり、使い勝手がよくなるわけではない。それでもSDRに入ることで外国政府の外貨準備への元の組み入れが増え、市場シェアが伸びる可能性がある。加盟国はSDRとの交換に備え、構成通貨を積み増す傾向があるためだ。

通貨ユーロの発足で構成を見直した01年を除けば、新しい通貨の採用は1981年1月からの現制度で初めてだ。

採用審査をクリアするうえで「貿易量」と「通貨取引の自由度」の2条件を満たす必要がある。課題だった「自由度」を巡っては、中国が欧州やアジアで元建て商品に投資できるよう自由化を徐々に進めるなどした取り組みを評価した。

SDRの価値はドルや円など構成通貨を組み合わせて決める「通貨バスケット方式」で計算する。30日には来年10月以降の新たなバスケットの構成比も公表し、ドル(41.73%)、ユーロ(30.93%)、人民元(10.92%)、円(8.33%)、ポンド(8.09%)とした。人民元の構成比は円を上回り、3位に入った。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]