山崎元氏も中国経済の現状をバブル崩壊期と認定

中国経済の不振については、ようやく山崎元さんも、「中国は金融危機の後、金融緩和だけでなく未曾有といえる規模の財政拡大のカードも切り、「先行」というより「フライング気味」の経済運営だった。米国よりも早く息切れして、次のバブル崩壊期に入っていると理解していい」と発言され、中国経済の現状をバブル崩壊期だと認定されました(※1)。

中国はGDP比の政府債務比率が4割程度と比較的低い位置にあるので、まだ財政政策の余地があるといった論調も存在しますが、本当に財政出動が出来るのであれば、今すでに出動しているはずだと思います。出動しないところを見ると、出来ない事情があるのではないかと考えざるを得ません。

本当はお金がないのでしょうし(それでAIIBを俄か仕立てで作った)、かつ簿外負債または不良債権がすでに相当額積み上がっている(「謎の投資家」が倒産防止資金をあちこちで出している)、と解釈するのが妥当な気がします。

中国の場合、公表資料も数字もアテになりませんから、国家ぐるみの粉飾決算を行っている可能性が非常に大であり、もう少し時間を掛けて崩れるところまで崩れないと事態は決着しないものと思います。

相場は当面様子見ということでしょう。


[以下、引用]
◆(※1)山崎元氏、政府が打つ株価対策をズバリ予測 有効な手段は「消費税率引き上げ」の延期だ
山崎 元 :経済評論家  2016年1月8日

3日連続で下げた日経平均株価。米国利上げ、中国、原油と心配材料も多い(写真:伊藤真吾/アフロ)

あけましておめでとうございます。本年もご愛読よろしくお願いいたします。さて、今年の株式市場は1月4日の大発会に年末比約580円安と、何やら波乱含みの幕開けとなった。中国の経済と株式市場の不調がダイレクトに響いたが、前途多難を思わせる年明けである。バブルの時代を知る者としては、市場最高値(3万8950円)を付けた1989年末の後、1990年の大発会が大幅安だったことを思い出すイヤな感じの年明けだ。

懸念される米国利上げ、中国経済、原油動向

思うに、今年前半は心配材料が多い。何といっても、昨年12月に行われた米国FRBの利上げが、どのような影響を与えるのかが気になる。もともと、近年の世界的な株高は、金融危機の後に米国など先進国の大規模な金融緩和がもたらしたものだった。相場展開的には、先頭ランナーだった米国が明らかに金融を引き締める方向に転換したのだし、ほとんど金利が付かなかった基軸通貨である米ドルの資金に金利が付くようになることが、世界のマネーフローに与える影響は小さくあるまい。今後、グローバルに投資している世界の大規模機関投資家の資金の流れは、徐々に変化していくのではないか。

ちなみに、中国は金融危機の後、金融緩和だけでなく未曾有といえる規模の財政拡大のカードも切り、「先行」というより「フライング気味」の経済運営だった。米国よりも早く息切れして、次のバブル崩壊期に入っていると理解していい。

急激な原油安は、中長期的には特にエネルギー原料の輸入が多い日本経済にとって追い風のはずの要因だ。しかし、資源輸出に頼る新興国の金融財政の不安や、エネルギー開発プロジェクトへのファイナンスの焦げ付きなど、短期的には株価の下げ要因につながりうるリスクを含んでいる。

今年前半、株価が大きく下がる局面があるかも知れない。

「八百長もある競馬」のごとく

さて、今年出だしの何カ月かで、大きく株価が下がったとする。たとえば、日経平均が3月に現在よりも1割程度下がり、1万7000円を割るような事態になったとしたら何が起こるだろう。

デフレ脱却を目指して金融緩和政策を継続している政府・日銀は、政策目的に照らして「まずい」と思うだろう(そのこと自体は悪くない)。何よりも「経済」(は民主党政権よりもマシであること)を看板に7月の参議院選挙を戦いたい安倍政権としては、株価が昨年末(1万9033円)だけでなく、一昨年末(1万7450円)をも割り込んでいるのでは格好が付かない。

政府として株価のために出来ることがあれば、するのではないか。そう考えるのは自然だし、政府がどのような株価対策を繰り出すのかという「読み」が必要だ。これに関しては、国民として「株価対策自体が正しいか否か」を吟味することと、投資家として「何がありえるのか、効果がどの程度あるのか・ないのか」を考える、2つの次元での検討が必要だ。

日本の株式市場は、主催者でレースと馬券の監督者でもある政府が、結果を左右しようと介入し、「八百長もありますが、その可能性も込みで考えて賭けて下さい」と言っている競馬のごときゲームなのだ。知らない土地のいかがわしいローカル競馬に参戦するような気分になりませんか(ローカル競馬自体は、それなりに風情があって良いものだが…)。

もっとも、世界の資本市場にあって日本の株式市場は、JRAよりは地方競馬に近い「ローカル・マーケット」。参加者がこうした覚悟を持つこと自体は悪くない(筆者は、株式市場への政府の直接介入はないほうがいいと思っている。これは別の機会に議論したい)。

ギャンブラーは、可能性に想像力を巡らすべし!

さて、政府にはどんな手があるか。

昨年一昨年は、公的年金の株式爆買いが話題になった。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする公的年金は、今年も大量に株式を買うだろうか。個人的見解だが、筆者は「それほど買わないのではないか」と見ている。

GPIFはチャイナショックで株価が下がっていた昨年9月末時点で「国内株式」を21.35%持っていた。その後株価が回復したので、現時点では「基本ポートフォリオ」の25%に1~2%足りない程度の組み入れ率になっているのではないかと推測される。

厚労大臣が与えている運用目標

GPIFの基本ポートフォリオでは許容乖離幅を10%認めており、政府としてはこの枠も使って株式を買ってほしいところだろうが、仮に筆者が運用責任者ならば「まったく気が進まない」。それは、基本ポートフォリオよりも少し小さい組み入れ率がもっとも「居心地が良い」からだ。なぜか?

運用管理の本来の考え方から言うと、運用パフォーマンスは基本ポートフォリオから計算される「複合ベンチマークのパフォーマンス」と比較されるのがフェアであり正しいのだが、昨年7ー9月期の7兆8000億円の運用損への報道に見るごとく、日本のアホ・メディア(言葉が過ぎるが、あえて「アホ」と言いたい)は、損の絶対額にだけ過剰反応した。

一方、厚労大臣が長期的に与えている運用目標は「名目賃金上昇率プラス1.7%」である。これは率直にいって、相場環境さえフォローなら、基本ポートフォリオのような(内外株式25%ずつに外国債券15%の計65%のリスク資産)巨大リスクを取らなくても十分達成出来そうに思える。

つまり、「24%」にとどまっていれば、相場が悪かった場合には「基本ポートフォリオよりもアンダーウェイトだった」というプロの言い訳が出来るし、相場がよかった時には「大いに儲けたし、厚労大臣が与えた運用目標をクリアしている」と言える。GPIFがどう考えているかはまったく知らないが、よほどの事情か強力な強気の相場観が無ければ、25%を大きく超えて買う気は起きないはずだ。

日銀の3兆3000億円も「準爆買い」と言えるくらいのレベルだが(取引日を250日としても、毎日100億円以上買う計算)、彼らには相場的なメリハリというものがないので、市場参加者にとってはおおむね織り込み済みで、急場の役には立たないと見るべきだろう。

国債の買い入れを増やすような純然たる金融緩和は、円安等を通じて株価にもプラスに働くかも知れないが、これも即効性が乏しい。法人税率引き下げは、理論的には株価に即効性があるはずだし、大幅に行えばインパクトもあるはずだ。しかし、税制の話なので政治的に決まる面があり、物事が進行するテンポが遅い。

こうなると、やはり、有効な手段として残るのが、2017年度に予定されている消費税率引き上げの延期だろう。これは、まずデフレ脱却が重要であり、マイルドなインフレ環境を作ること自体が財政再建にも役立つという意味で必要かつ適切な経済政策であり、選挙にも有効な政治的手段だ。

安倍政権ならやるのではないか!?
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]