背水のマイナス金利 日銀、異次元緩和を強化(黒田緩和第3弾)

平成28年1月29日、今年夏の参議院選挙対策、および2017年4月の消費税引き上げを予定する必要性から、日銀が黒田総裁就任後、第3回目となる金融緩和を実施しました(※1)。

今回の緩和策は、量的緩和ではなく、日銀当座預金の金利を0.1%のマイナスとするという方法となりました。日銀当座預金に滞留している金融機関の資金をマーケットへ強制放出させようとするものですが、景気が停滞している状況下、その効果は極めて限定的と思われます。しかしながら、長期金利は史上最低値を更新していますので、微妙な効果はありそうです。

付言すれば、そもそもが金融政策だけで景気対策を打とうとするマンデルフレミング・モデルに依拠した発想に誤謬があるわけで、現状の日本経済のような「流動性のワナ」状態の場合は無理でも財政政策を打つ以外にはありませんが、財務省が抵抗しているためでしょうか、それも思う通りには発動できそうもありません。

これまで何度か提示しておりますとおり、外為特会の「売りたくても売れない」米国債128.7兆円(H27.3.31現在・財務省資料による)を日銀が買い取ってその円貨代金を国庫に入れれば、それがそのまま財政政策に流用できることとなりますが、それを実行する判断力のある政治家はおりませんでしょう。

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(日経平均5年間:SBI証券より引用)

それはともかく、過去の緩和第1弾は2013年4月4日、第2弾は2014年10月31日で、その後、日経平均株価は穏当に上昇しています。それに対して今回は、量的緩和ではありませんが、追加緩和策であることは間違いないので、来週以降の株価にはやはりプラスに働くものと素直に理解しておきたいと思います。実際、1月29日の海外で為替は円安に振れましたし、NYダウも日銀緩和を好感・上昇しています。

当室も短期的に手持ちポジションを復活します。

ただし、今回の緩和効果も、おそらくは長続きはしませんので、1ヶ月程度経過したならば、その時点で情勢を再確認したいと考えます。

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(ドル円相場:SBI証券より引用)
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(NYダウ:SBI証券より引用)
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(日本国債10年利回り:年利回り 0.104 (16/01/30 03:05)前日比 -0.010 (--%):SBI証券より引用)

[以下、引用]
◆(※1)背水のマイナス金利 日銀、異次元緩和を強化
総裁「必要なら追加措置」

2016/1/30付日本経済新聞 朝刊

日銀は29日に開いた金融政策決定会合で、銀行から預かる当座預金に付けている金利の一部を初めてマイナスにする新たな追加金融緩和策を決めた。原油安や中国不安による市場動揺で企業や家計の心理が悪化し、物価上昇の基調が崩れかねないと判断した。黒田東彦総裁は記者会見で物価2%目標の達成に向けて「必要な場合は追加的な金融緩和措置を講じる」との考えを示した。(関連記事総合1、総合2、政治、経済面に)

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記者会見する日銀の黒田総裁(29日、日銀本店)
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黒田総裁は「従来の量的・質的金融緩和(異次元緩和、総合2面きょうのことば)に金利という選択肢も追加し、金融緩和を進める」と強調した。銀行が当座預金に預けるお金のうち、2月16日から新たに預ける分にマイナス0.1%の金利を付ける。マイナス金利ではお金を預ける方が金利を支払うことになり、銀行が日銀にお金を預けると預金が減る。

日銀は長引くデフレを止めるため、1999年にゼロ金利政策、2001年には市場に供給する資金量を目標にする量的緩和政策と異例の政策を導入してきた。

マイナス金利政策は「金利」から「量」に転換した政策対象に、再び「金利」を加えるという金融政策手法の転換になる。

政策対象に再び金利を加えたのは「市場に出回る国債が減り、資金量を目標にする現行政策が早晩行き詰まる」という市場の緩和限界論を払拭する思惑もある。マイナス金利政策は欧州中央銀行(ECB)などが先行して導入している。

銀行はマイナス金利で日銀に預けて預金を減らすよりも、融資や株式投資などに資金を振り向けるとみられ、企業収益や賃金の改善を通じて景気回復や物価上昇につながる効果が見込める。海外に比べて金利が下がれば、金利差による円高圧力も和らぎやすくなる。

ただ一方で、マイナス金利には副作用もある。金利の大幅低下で銀行の収益力が落ち、中小企業向け融資などが抑えられる恐れがあることだ。日銀は銀行収益への配慮で当座預金残高を3つに分け、既に預けている分は従来通り0.1%のプラス金利を付ける。

今回の会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では政策目標の物価2%上昇の達成時期を従来の「2016年度後半ごろ」から「17年度前半ごろ」に先送りした。1バレル30ドルを一時割り込んだ原油安の影響を織り込み、17年度にかけて原油価格の前提を下げたからだ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]