REIT含み益最高の報道と「靴磨きの少年」の話

先日の日経新聞夕刊の報道のように、REIT含み益が最高となっています(※1)。日銀のマイナス金利により、さらなる運用難状態がもたらされ、リートがそこそこの利回りを確保できる数少ない投資対象として重宝されている様子が伺えます。

このような時に、先日の飲み会で「靴磨きの少年」の話を想起する場面がありました。SBI証券のホームページには、その話は次のように説明されています。

「1929年10月24日(木曜日)に大恐慌の始まりとなる米国株の最初の大暴落がありました。その少し前のジョセフ・P・ケネディ氏(第5代米国大統領ジョン・F・ケネディの父親)と靴磨きの少年の逸話は広く知られています。
ケネディ氏はその時までに株式投資で大儲けしていました。1928年冬のある日、オフィスに向かう途中で、靴磨きの少年に靴を磨いてもらいました。靴を磨き終わった後、その少年はケネディ氏に向かって「おじさん、〇△株を買いなよ」と言ったそうです。それを聞いて彼は「こんな少年までが株の儲け話をするなら、この後に株を買う人はいないから株式は暴落する!」と考え、すべての株式を売り払って難を逃れたとのことです。」(SBI証券のホームページより)

その飲み会の席では、珍しく饒舌にリートの解説をする当室管理人の部下の姿がありました。その部下は勉強不熱心なことで有名(?)なわけですが、その彼がJ-REITの利回り解説を周囲にしているわけです。彼は言ってみれば「靴磨きの少年」であるように、当室管理人には印象深く感じられました。

日銀は当面の間、マイナス金利政策を継続するものと思われ、J-REITの価格は高値で維持されるものと思いますが、しかし、平均利回り的にも3%台前半となっていて、すでに相当値上がりしています。

全REIT平均分配金利回り(前日比) 3.32% (-0.05)
全REIT時価総額合計(前日比) 11,939,844百万円 (+160,996百万円)
(IBRC Inc. & Japan REIT Inc.のホームページによる)

J-REITのTMAX P/NAVインデックス推移(加重平均値)を見ても、割高水準にあることが理解できます。
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(株式会社ティーマックスのホームページより)

「靴磨きの少年」がリートの解説(おそらくはポジショントーク)を始めるようでは、現在はどうやらリート相場の最終局面ということで間違いなさそうです。もっとも、当室はしばらく以前からリートは保有しておりません。保有されている方は十分ご注意ください。


◆(※1)REIT含み益最高 運用手段広がる
昨年度下期、2倍の1.5兆円 賃料期待で価格上昇

2016/6/2付日本経済新聞 夕刊

オフィスビルやホテルなどで運用する不動産投資信託(REIT)の保有物件の含み益が拡大している。2015年度下期は上場銘柄の合計で約1兆4800億円に達し、1年前の2倍に膨らんだ。需要が旺盛な東京都心部の物件を中心に、不動産価格の上昇が続いている。REITが上場した01年以降、過去最高で、個人など投資家に還元する分配金が増える可能性がある。新規物件の取得などREITの規模拡大も後押ししそうだ。
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多くのREITは半年ごとに決算をまとめている。今回、15年10月期から16年3月期までの各銘柄の期末の含み益を公表数値をもとに合算した。

REITは投資家から幅広く集めた資金でオフィスビルなどの不動産を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配するファンド。保有する不動産物件は鑑定会社などが評価する時価(鑑定評価額)と、取得時の価格に近い簿価との差が含み益となる。堅調なオフィス需要や訪日外国人客の増加に伴うホテル稼働率の上昇で鑑定評価額が上がっており、含み益拡大につながっている。

特に利便性の高い都心オフィスの需要は強くなっており、空室率が低下傾向にある。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、東京都心5区のオフィス空室率は12年に9%台まで上昇したが、16年には4%台前半まで低下している。高まる需要に伴い、鑑定評価額が上がっている。例えば、森ヒルズリート投資法人の「六本木ヒルズ森タワー」(東京・港)の16年1月末時点の含み益は127億円で、1年前から3割増えた。

ホテル系のREITは訪日客増加が追い風だ。保有するホテルの稼働率が高く、ジャパン・ホテル・リート投資法人の含み益はこの1年で約2倍になった。

個人投資家にとってREITへの投資妙味は増している。REITは通常、利益の9割超を配当に相当する分配金に回すため、分配金利回りが高い。全銘柄の単純平均は3.5%で、日経平均株価の採用銘柄の1.8%より高い。

また上場REITの総合的な値動きを示す東証REIT指数は昨年末から6月1日まで9%上昇した。日経平均が同期間で11%下げたのとは対照的だ。ニッセイ基礎研究所の岩佐浩人氏は「長期金利がマイナスに陥る中で魅力があり、年金運用などの投資資金が向かいやすい」と話している。

ただREITは株式と同じく値下がりリスクがある。オフィス市況の悪化や長期金利上昇が下落要因となるほか、08年のリーマン・ショックのような投資家がリスクを取りにくい状況下では株式とともに売られやすい。
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]