マイルドな円安局面

FRBによる政策金利運営に関連して、「中立金利」なる単語が使用されていますが、この単語は最近初めて知りました◆(※1)。中立金利とは景気を冷やさず過熱もさせない金利のこと、という定義の様です。

その概念は分かりますが、実際の計測は極めて困難ではないかと思います。それが分かれば苦労しないので、その水準まで短期間に金利を上げるという荒業も可能となります。

いずれにしても、米国金利は強含みの様子ですので、短期的には緩やかにドル高円安方向という印象です。こうしたマイルドな円安局面は、日本株にとっては穏当な運用機会となりそうです。


[以下引用]
◆(※1)米「中立金利」揺らぐ パウエル氏「不確実」と指摘
利上げ加速でドル上昇余地
2018/6/21付 日本経済新聞 朝刊

2月に米連邦準備理事会(FRB)議長に就いたパウエル氏の金融政策運営に関する姿勢がみえてきた。キーワードは中立金利だ。市場は利上げの目安としてきたが、パウエル氏は「不確実な幅がある」と指摘する。推計が難しく、市場の「ものさし」になりにくいとの見立てだ。米景気が強ければ、市場の想定より利上げが進み、ドルの上昇余地が出てきそうだ。

中立金利は景気を冷やさず過熱もさせない金利のこと。FRBは年に4回、「長期的な政策金利見通し」として名目中立金利を示し、最近6月は2.9%だ。グラフのように実際の政策金利との差が緩和度合いを映し、政策金利が上回れば景気を冷やすことになる。

市場はこの数値を利上げの天井とみている。たとえば、3年先の政策金利予想は2.7%。FRBが中立金利としている「2.9%」を明確に意識していることを表す。だが中立金利の位置づけが米国で揺らぎ始めた。

13日の記者会見で質問が相次ぐと、パウエル氏は「中立金利に近づいているが中立金利が将来どうなるかはわからない」と言及した。推計がそもそも難しい中立金利について「観察できない変数に過度に執着できない」とも述べた。ボスティック・アトランタ連銀総裁も18日の講演で「中立といえる政策金利は正確にわからない」と続いた。

実は中立金利はもとからつかみにくかった。FRBは長期的な物価上昇率と実質成長率の見通しも出している。2つを足した名目成長率見通しは3.8%。教科書では、長い目でみた名目成長率は長期金利や中立金利とほぼ一致するとされる。だが、FRBが示す名目成長率(3.8%)と中立金利(2.9%)は1%近く離れている。

金利正常化を始めたころとは異なり、いまの政策金利は1.75~2.00%だ。中立金利に近づいていることは確かだが、推計が難しい数値だけでは政策判断はできない。パウエル氏は「物価、金融、雇用の新たなデータを注意深く見ていく」と強調している。

13日には来年からFRB議長の記者会見を年4回から8回に増やすことを決めた。パウエル氏は将来の政策変更の時期やペースを「示唆するものではない」というが、市場との対話強化を通じ、政策運営を柔軟に進めるねらいがありそうだ。

米景気の拡大はまもなく10年目に突入する。いずれ後退が訪れるとの懸念はくすぶるが、足元の景気は好調。少なくとも米国内に大きな不安要素は少ない。むしろ物価見通しは6月に上方修正している。新興国不安など急変がなければ、市場が想定した「天井」が外れてもおかしくはない。利上げペースが速まれば金利差に着目したドルへの資金流入が続く可能性が高そうだ。
[以上引用。マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]